すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

意味不明な遠さを笑う

2008年11月25日 | 読書
 連休中の読書は、文庫本と新書それぞれ一冊。
 相変わらず、少し緩めが続いている。

 『同姓同名小説』(松尾スズキ著 新潮文庫)

 著名人の名前を持つ人物を登場させる短編集だ。フィクションとは言いながら、全くの同姓同名とは言いながら妙にリアリティのあるところが面白い。
 しかし、演劇人らしい?シュールさやドタバタさはなるほどで、テレビでやかましく騒ぎ立てるお笑いとは多少違うところがさすがである。

 汚れつちまった贅肉に今日もカロリーが降り積もる

 心の中で落涙しながら、腹を揺すらせる名文句である。
 また数多くの駄洒落におやじ世代としては共感してしまうが、それを突き詰めていく?と結局意味不明なものに近づいていくらしい、ということがぼんやりわかる。
 今、お笑い番組に登場するいくつかの芸人にも、そういう要素を持つ者がいることを思い起こしている。
 本質は、こういうことかな。

 笑いをわかろうとするな。わかんない。その距離がいい。
 その意味不明な遠さに人は笑うんだ。