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ラクをすることはラクではない

2008年11月17日 | 読書
 「ラクをしないと成果はでない」(日垣隆著 大和書房)

 不精者にとってはなかなか魅力的な書名である。
 以前読んだ『知的ストレッチ入門』もいいネーミングだったし、今回も中身は予想つくこともあるが、購読することにした。顔がいい本は私のような者には売れる、これも一つの真実だ。

 目次に並べられた100の項目だけでも結構おもしろいではないか。
 ビジネス書としてはいくつか意表をつく項目もある。

  4 お金で自分の時間は買えない。他人の時間なら買える 
 70 休暇中も仕事をしたほうが、のんびりできる 
 78 出欠を迷うイベントには行かない 
 
 読んでみれば納得の話になっている。
 多くのビジネス書や自己啓発書と重なる点はあるが、それらをスピード感を持って書き進めているところが著者の特徴かなと思ったら、なんと項目だけがあって「語りおろし」だそうである。うなずける。

 結局、仕事における「3M(あるのかな)」…ムダなことをしない、ムリをしない、ミエをはらないということに集約できるように思った。見栄をはるにしても「身の丈を知って」という前提が必要になっている。そのために周囲を分析し、自己を分析し、効果的な方法を探るという姿勢が貫かれている。

 ただ、肩の力を抜いて自在に仕事をしていくためにはそれなりの努力が必要だと思うし、著者がいう「ラク」の意味合いは結構難しいことなのかもしれない。インプット編の項目だけでも想像がつこう。
例えば
 
 74 人を待たせない。待たされても怒らない

 「待たせない」はともかく「待たされても」の所はなかなか難しい。心がけだけでは達せないのではないか。そのために筆者は「『待たされるための準備』をしておくこと」と言う。どれだけ準備の幅を持つか、そのあたりは頭の使うところだ。

 とにかく、ムダやムリやミエを積み上げてきている人間が、それを壊していくためにはかなり慎重になる必要がある。
 ラクをすることもラクではない。
 一挙にいかないで、まず何から取り崩していくかだ。