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桜と絵本と豆乳と

人気作家の勝手な…

2009年07月17日 | 読書
 勝手に人気作家を読む「シリーズ」なので、せめてもう一人と思い選んだのが、伊坂幸太郎。
 『重力ピエロ』である。

 ああこれは。なかなかだ。ストーリー自体はそれほどでもないと思うが、語られる蘊蓄?の多さ、絶妙な比喩的言い回しが、妙に心地よい。

 これも映画化されているが、この主人公役が加瀬亮なのは、もうぴったりとしか言いようがない。一つ一つの言動に意味付けが必要な人、無意識であることにもふりかえりを求めてしまう人…そんな感じだろうか。

 主要な筋の合間合間に、様々なエピソードをちりばめることで厚みを増していくという構成になっている。どっぷりとつかって読むのにはいい本だ。
 自分の場合はこま切れになってしまい、少し落ち着かない感じの読了となった。けれど、どこから読み始めてもその語り自体を楽しめるので、私のような散漫な読み手には逆に似合いなのかもしれない。

 拾い上げたい言葉はいくつもある。三つほど挙げてみよう。
 台詞や独白としてどんな感じで映画化されているんだろう。見るのが楽しみになってきた。

 本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ

 仕事は一人でやるものだ・・・ボブ・ディランは永遠に解散しないぞ

 気軽に、「さようなら」が言えるのは、別れのつらさを知らない者の特権だ


 人気作家の勝手な戯言かという気もするが、もう一冊ぐらいは読んでもいいかな。