すぷりんぐぶろぐ

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勝手に生きろと言えない訳

2016年11月16日 | 読書
Volume27

 「親が子離れできないのは、大学まで、あるいは就職するまで、子どもにすごく投資しちゃうからですよ。子どもが自己実現の対象になっているから、子どもに勝手に生きろとは言えないんだよね、今の親は。」


 ゴリラ研究者として著名な京都大学総長山極寿一が、ある対談で語ったこと。

 「子どもへの投資」という言葉が出てきて、ずいぶん時が経った。
 「教育の経済合理性」などということをずいぶん考えていた十数年前、私も親相手に「子どもへの投資」などと知ったかぶりで喋ったことがある。



 しかし、今その時のことを振り返ると、やはり経済優先の時流に毒されていたと反省する。
 生身の子どもとどう向き合うかが問題なのであって、投資の対象とみるような傲慢なことは許されない。

 もちろん多くはそんなことを考えていないと思う。
 しかし、親の自己実現の対象になっている傾向は否めないだろう。

 それは、もしかしたら無関心な親に匹敵するほど、教育にとってキビシイ現実かもしれない。