すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

4月下旬の読書相手

2021年05月01日 | 読書
 月並みだが、長かったような短かったような新年度最初の月が終わった。連日のニュースはコロナ感染防止が続いており、変異株、緊急事態宣言、人出と今後の予測と目まぐるしい。だから、どことなく落ち着かないままに過ぎた印象が強い。一年前と比べてどうだったか…とにかく「落ち着け」。本はいい相手になる。


『少年と犬』(馳 星周  文藝春秋)

 早く目覚めた時用にとベッドサイドにおいた。4日間で読了、昨年の直木賞候補作らしく、それなりに面白く読みやすい作品だった。「犬を愛するすべての人に捧げる感動作」がコピーで、動物苦手の自分向きではないかもしれないが、結局その中身は人間の話でしかない。物言わぬ犬と対峙し、人は物語を作っていく。

 連作6篇で構成され、表題作が最後である。後付の「初出」年月を見ると、その表題作が最初だと分かりなるほどと思う。「犬」が「少年」の居る場所を目指す道程で、「男」「泥棒」「夫婦」「娼婦」「老人」と出逢う。それは必然であったように最終篇で締め括られる。背景にある東日本と熊本の震災、皆が光を求めていた。


『読書革命』(金川彰教  総合法令出版)

 書名には「『本の読み方』で人生が思い通りになる」という形容がつく。いかにもビジネスマン向けという体裁で、内容もその通りといっていい。「知識を得るのだはなく思考を鍛える」「問いを持って本に対する」「アウトプット重視」など、特に目新しいとは言えない。ただ、読書術を細分化する提案性は高いと思った。

 「予測読み」「断捨離読み」「記者読み」「要約読み」の4ステップを4回繰り返すという。内容理解というよりビジネス力トレーニングという様相だ。ネットとの関連に興味があって手に取ったが、読書の時間確保のためのスマホの扱いなど具体的だった。要は「集中のための情報遮断」…わが師匠にも学んだことだ。


『マイノリティデザイン』(澤田智洋  ライツ社)

 残りあと数ページで読了する。刺激的な一冊だ。「ゆるスポーツ」について少しは知っていたが、その開発に携わり団体の代表理事を務めているのが著者だ。コピーライターの彼がどうして関わりを持つようになったか。目の付け所は次の一文だ。「すべての『弱さ』は、社会の『伸びしろ』」。頭の固さをほぐしてくれる。

 読み終わったら、もう一度書きたい。