すぷりんぐぶろぐ

桜と絵本と豆乳と

5月初めの読書相手は…

2021年05月05日 | 読書
 ゴールデンウィークはステイホーム、巣ごもり生活とだいたい例年通りなので、ことさらに強調することはない。コロナ禍のニュースはいつも以上にワンパターンで、録画したドラマ等視聴と相変わらず節操のない読書となっている。


『むらさきのスカートの女』(今村夏子 朝日新聞出版)

 一昨年の芥川賞受賞作品(ということは読了してから思い出した)。軽くいってしまえば、同性ストーカーの話じゃねえか。しかしここにある一種の滑稽さや狂気は、誰しもが抱えているのだろう。読み始めから淡々と物事が展開し、するっと終わった感じだが、結構心にズシンと残っている。映像化されてもいい。それで、主人公の「わたし」には西田尚美、「~~女」には木村多江、と勝手に決めた(笑)


『カラスをだます』(塚原直樹  NHK出版新書)

 カラス好きももちろん居るはずだ。著者の交流歴をみるとやはり変人が多いか。全国共通の鳥害という難問に挑む研究者は、幅広くカラスについての知識を披露する。しかし結局真相にたどり着かない点も多く、少し欲求不満が残る。ただ「カラス語」は鳴き声の訳語が興味深い。また「カラスを食べる」、これはかつて本県で試みた市があり、そのことを思い出した。食べ人として一度は挑みたい。


『どうやらオレたち、いずれ死ぬっっーじゃないですか』
 (みうらじゅん リリー・フランキー  新潮文庫)


 みうらじゅんが2年前「知ってた?どうやら人間って死ぬらしいよ」とNHK「最後の講義」で口にした時、さすがはサブカル界の帝王と一気に傾倒度が高まった。この諦念と覚悟は、もう10年以上前、大震災もコロナも体験していない時、この対談でリリーと語り合っていたことだ。文庫化された今になって読んだが、唯一の真実は「死」と言い切る、二人の生きざまは可笑しくもしなり強い。