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「ともだち」を真正面から読む

2021年05月22日 | 絵本
 谷川俊太郎という「しばり」をかけて読み聞かせ用の本を探したが、実際なかなか難しい。絵本の翻訳もレオレオニ以外は数が少ない。3年生が相手だということもあり、「ともだち」という題材が目に付いた。小学校の中でその言葉を意識し始める頃だ。真正面にその題を挙げて展開させるには、詩人の言葉が頼りだ。


『ともだち』
 (谷川俊太郎・文  和田誠・絵) 玉川大学出版部 2002.11



 全72ページ。文章が右ページにある見開き。一行か二行で簡潔に記され、それに合う和田誠の独特なイラストが描かれている。「ともだちって」「ともだちなら」「ひとりでは」「どんなきもちかな」「けんか」「ともだちはともだち」と小さいテーマが並ぶ。最後に「あったことがなくても」と広がりあるテーマで結ぶ。


 出版先もテーマもなんとなく「道徳」に使われそうだなと思ったので、検索してみたら、ネット上にいくつか実践が載っていた。いくつかの字句をチョイスして使えば、教材としては有効だろう。しかしまた、まるごと読んでいくという形も必要ではないか。「ともだち」とは、それだけの多様性をもつテーマであろう。


 読み聞かせる場合のコツは何か。くり返しの語をどう読むか…同じ調子か変化をつけるか。全体的な流れのなかで強弱・緩急をどうつけるか、この2点か。その視点で読むとまた心に刻まれることもある。いずれ、最後の写真6枚のめくりは落ち着いてやりたい。一つの字句でも残ったら、読み聞かせる価値はある。