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桜と絵本と豆乳と

オオカミに決めたので

2021年05月28日 | 絵本
 昨年は「クマ」を取り上げ数冊続けて読んだことがあった。今回はこの一冊に触発されて、「オオカミ」を拾ってみたい。オオカミに対するイメージは絵本であれば「赤ずきん」に象徴されるだろうが、それを思い出しただけで、つくづく面白いキャラが一般的だと想像される。この話のオオカミも、ある意味トンマだ。


『おおかみの おなかの なかで』
(マック・バーネット文 ジョン・クラッセン絵 なかがわちひろ訳)
 



 ある朝、出会いがしらにオオカミに食べられてしまったネズミ。おなかで泣いていると、静かにしろと怒鳴られる。そこにはアヒルが住んでいて…お腹の中の二匹は仲良くなって楽しく暮らすが、そうとは知らないオオカミには迷惑な話。ある日、オオカミが森に来た狩人に鉄砲を撃たれ、ねらわれる。話は急展開し…。


 動物のお腹の中の話という設定は、他の絵本でも見られることがある。この話はネズミとアヒルの会話が愉快だし、狩人が登場してからの展開に、人物に共感できる要素が強い。ジョン・クラッセンのとぼけた味わいの絵がマッチしていて、とてもいい一冊に仕上がっている。一読して、読み聞かせたいと感じた。


 この本はかなり間を意識したい。冒頭の食べられる場面、朝から昼への時間経過、オオカミが「おなかのこえ」を信じる場面、アヒルとネズミが決意し、飛び出す場面、そしてラスト。十分に立ち止まってページをめくりたい。痛快な文章と対照的に落ち着いたトーンなので絵を把握するにも時間がかかるかもしれない。


 オオカミといえば、お気に入りの一冊としてこの本を挙げたい。本格的に読み聞かせを始めた2年前から、自分の一つのレパートリーとしたい(まだ未消化ではある)と考えている。この絵本については以前書いているので詳しくは書かない。絵本を読む者にとっては素敵なテーマだし、表現の仕方も個人的に合う。