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噛むは人生を醸すために

2021年07月09日 | 雑記帳
 昨日の駄文を書くきっかけを作った冊子の一番のねらいは、最終的に「ガムを噛む」ことになっていた。もちろん、ガムを噛むことが唾液分泌にいいことは承知していた。それなのに、このところずっとガムを噛んでいない。それは一昨年だったが、ガムによって差し歯が取れたというありがちな老化問題に結びつく。


 「噛むこと」の有益さは、健康雑誌などでずいぶんと喧伝されてきたことなので、ある程度知っている。この冊子ではなんと「付録(ページ)」として紹介している。それは、ガム購入のための駄目押しのように「噛むこと」の効果、それも唾液を分泌し健康を守る以外の、「選りすぐりの6つ」を項目化しているのだ。


 「仕事のストレスを軽減」「仕事の効率がアップ」「脳の反応が速くなる」「脳の前頭前野が活性化」「(顔の)たるみを予防」「中性脂肪が減る」…何か、これで人生の9割方の問題が解決しそうだ。毎日の苦労やストレス、自分の能力・資質の問題から、外見、スタイルまで…ガムを噛んだら、明日からバラ色の人生が…。



 と実際誰も思わないのは、別にガムのせいではない。PRする側が嘘をついているわけでもない。科学的根拠の信憑性を棚上げして言えば、実行が効果に結びつく時間の長さに、ほとんどの人は耐えられない。効果が出る前に、さらに良き方法を求めて目を移すからではないだろうか。そのうちに噛む力も弱くなる


 ガムはともかく、噛むことは意識的な努力によって長続きさせねばならない。それがある意味「命の源」をつくるのだと、齢につれ感じてくる。「かむ」は「かもす(醸す)」の古語でもある。酒造りが米を噛んで作ったことに由来するらしい。ここは高齢者らしい一言、「醸す人生を目指して今日も噛む」と締めたい。