今回は、令和2年-厚年法問5-B「遺族厚生年金の遺族」です。
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被保険者の死亡当時10歳であった遺族厚生年金の受給権者である被保険者
の子が、18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したことによりその
受給権を失った場合において、その被保険者の死亡当時その被保険者によっ
て生計を維持していたその被保険者の父がいる場合でも、当該父が遺族厚生
年金の受給権者となることはない。
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「遺族厚生年金の遺族」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 H13-6-C 】
遺族厚生年金を受けることができる遺族について、父母は配偶者又は子が、
祖父母は、配偶者、子又は父母が、孫は、配偶者、子、父母又は祖父母が
遺族厚生年金の受給権を有したときは、それぞれ遺族厚生年金を受ける遺族
としない。
【 H11-8-E 】
被保険者であった者の父母が遺族厚生年金を受けることができるときは、当該
被保険者であった者の孫に遺族厚生年金の受給権は発生しない。
【 H23-9-D 】
被保険者の死亡により遺族厚生年金の受給権者となった妻が、再婚したこと
によってその受給権を失ったとき、被保険者の死亡当時その者によって生計
を維持していた母がいる場合は、当該母がその遺族厚生年金を受給すること
ができる。
【 H17-7-B 】
夫婦とも被保険者であり、妻が死亡した場合に死亡当時夫婦の収入によって
生計を維持されていた障害等級に該当しない18歳未満の子及び60歳以上の
母がいる場合、当該子が受給権者となったときは、その者が18歳に達する日
以降の最初の3月31日を終了して失権しても、60歳以上の母は受給権者と
なることはできない。
【 H29-10-E 】
被保険者が死亡した当時、妻、15歳の子及び65歳の母が当該被保険者により
生計を維持していた。妻及び子が当該被保険者の死亡により遺族厚生年金の
受給権を取得したが、その1年後に妻が死亡した。この場合、母が当該被保険
者の死亡による遺族厚生年金の受給権を取得することはない。
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「遺族厚生年金の遺族」に関する問題です。
遺族厚生年金の遺族となり得るのは、配偶者、子、父母、孫、祖父母です。
ただ、これらすべてが同時に遺族となれるのではなく、遺族厚生年金の支給
を受けることができる遺族については、順位があり、
1位:配偶者及び子
2位:父母
3位:孫
4位:祖父母
となっています。
そして、労災保険の遺族補償年金のような転給制度はありません。
つまり、最先順位の者だけが受給権者になります。
【 H13-6-C 】は、遺族の順位を論点にしたものです。
ただ、単に順番に並べてもらえれば、わかりやすいのですが、条文に沿った
記述になっています。そのため、わかりにくいのですが、孫と祖父母の関係
が逆になっています。
孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が受給権を
有したときは、遺族となりません。
ということで、【 H13-6-C 】は、誤りです。
このような言い回しで出題されたときも、ちゃんと正誤の判断ができるよう
にしておきましょう。
【 H11-8-E 】は、単純に順位を比較したもので、「父母が遺族厚生年金
を受けることができるときは、孫に受給権は発生しない」としています。父母
のほうが順位は先ですから、そのとおり、正しいです。
【 H23-9-D 】は、転給制度があるような記述になっていますが、前述
したとおり、ありませんから、「妻の失権後、母が遺族厚生年金を受給する
ことができる」ということはないので、誤りです。
一方、【 R2-5-B 】は、「子の失権後、父は遺族厚生年金の受給権を取得
することはない」と転給はない内容なので、正しいです。
【 H17-7-B 】では、「子及び母がいる場合に、子の失権後、母は受給権者
となることはできない」としているので、正しいです。
【 H29-10-E 】も、当初受給権を取得しなかった母が、後に「受給権を取得
することはない」としているので、正しいです。
ちなみに、「配偶者」と「子」は同順位ですから、例えば、配偶者と子が遺族と
なり、配偶者が遺族厚生年金を受け、子が支給停止となっていても、配偶者が
失権すれば、子の支給停止は解除され、子が遺族厚生年金を受けることが
できます。
この点、間違えないように。