脳・心臓疾患については、平成13年12月12日付け基発第1063号「脳血管疾患
及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」
に基づき労災認定が行われてきましたが、この認定基準の発出から約20年が経過
する中で、働き方の多様化や職場環境の変化が生じていることから、最新の医学的
知見を踏まえた検証が行われ、認定基準の改正が行われました。
従来の認定基準は、択一式、選択式、いずれからも出題された実績があるので、
新たな認定基準の内容を、順次紹介していきます。
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第1 基本的な考え方
脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。以下「脳・心臓
疾患」という。)は、その発症の基礎となる動脈硬化等による血管病変又は動脈
瘤、心筋変性等の基礎的病態(以下「血管病変等」という。)が、長い年月の生活
の営みの中で徐々に形成、進行及び増悪するといった自然経過をたどり発症する
ものである。
しかしながら、業務による明らかな過重負荷が加わることによって、血管病変
等がその自然経過を超えて著しく増悪し、脳・心臓疾患が発症する場合があり、
そのような経過をたどり発症した脳・心臓疾患は、その発症に当たって業務が
相対的に有力な原因であると判断し、業務に起因する疾病として取り扱う。
このような脳・心臓疾患の発症に影響を及ぼす業務による明らかな過重負荷と
して、発症に近接した時期における負荷及び長期間にわたる疲労の蓄積を考慮
する。
これらの業務による過重負荷の判断に当たっては、労働時間の長さ等で表され
る業務量や、業務内容、作業環境等を具体的かつ客観的に把握し、総合的に判断
する必要がある。
――コメント――
過重負荷の考え方に実質的な変更はありません。