ジェームス テイラーの昔の歌にCarolina in my mindというヒット曲がありましたが、カロライナ、しかもサウスカロライナと聞けば、他に余り何も連想できません。フロリダ(訂正、ジョージアの間違いですね)の北、アパラチア山脈の東、ちょっとしたビーチリゾートがある「南部」の州、私のイメージでは、それだけです。一方、隣りの州、ノースカロライナは、研究がらみでは、一流大学のDuke大、University of North Carolina、そしてNIHの出店であるNIEHS(国立環境衛生科学研究所)からなる「Research Triangle」というパワーハウスがあります。サウスカロライナにはサウスカロライナ大学がありますが、パッとした研究をしているという話を聞いたことはありません。そのサウスカロライナでの、アメリカ大統領予備選が近づいてきました。サウスカロライナの人の気質を私はよく知りません。南部の州だから、きっと人種主義者のキリスト教系白人が保守ガチガチのサントーラムを支持するのかな、などと想像するぐらいです。昔の体質のギングリッチもひょっとしたら票を伸ばすかも知れません。ペリーも南部のよしみで票は増えるかも知れません。(追記、ペリーはどうもdrop outした様で、ギングリッチの支持に回るという話を、さっき知りました。)ただ、サウスカロライナは結構、黒人人口も多いはずですし、彼らがどういう投票行動をとるのか私はわからないので、今回の選挙はよく読めません。通常、黒人、ヒスパニックと都市部の大学関係者は、民主党を支持することが多いと思うので、共和党候補はどうでもよいと思って黒人は投票には余り参加しないかも知れません。北部出身のモルモン、ロムニーは本来、不利なはずです。しかしどこでも、資金力にモノを言わせて、TVコマーシャルで名前を連呼する人に票が入りますから、サウスカロライナでもそこそこ頑張ってトップを取るかも知れません。ロムニーも冴えないですが、他の候補も誰も弱点を抱えていますので、結局、最終的にはロムニーが指名を取って、本選でオバマが勝つ、という筋書きかなあ、と想像しています。
前回の、ニューハンプシャーの選挙後のスピーチをYoutubeで聞いていて、ちょっと気づいたことがありました。同じPBS NEWSHOURのビデオでありながら、ロン ポールとロムニーのビデオを比較すると、視聴数が今日の時点でポールの方が約6倍多いこと、そのビデオの好き嫌いの票を見ると、ポールのビデオは97%以上が「好き」に入れているのに対し、ロムニーは、71%が「嫌い」に入れています。ロムニーの演説はオバマの批判と揚げ足取りに終始し、具体的にどのようにアメリカの社会をよくしたいのかという点に関して、非常に空虚です。これは、前回の選挙の時のサラ ペイリンの演説を思い出させます。自分が空虚なので他人の攻撃に一層、熱が入るのでしょう。空きカンもそういうタイプでした。他人の攻撃だけはうまいが自分では何もできませんでした。ロムニーは、自分がずっとビジネス セクターにいたので経済のことを良くわかっている、というのをウリにしていますが、この人がやってきたことは、いわば、ウォールストリートタイプの「価値を生み出さない」ビジネスです。下向きの会社に介入して、人員整理をして会社の利益を上げるというようなビジネスです。アメリカで一般人が仕事がなくて喰って行けない、と言っているのに、社員のクビを切って会社のコストを減らすような仕事をしてきた人間が、経済とビジネスを知っているからアメリカを立ち直らせれると本気で思っているのなら、相当の勘違い君でしょう。アメリカ経済の斜陽の大きな原因は、価値を作り出して人々の生活に貢献するような実質的な産業をないがしろにし、ウォールストリートなどの人の金を右から左に動かす間に一部をかすめ取る、いわば、他人の金でバクチをして所場代を稼ぐような、詐欺ビジネスが跋扈したからではないのでしょうか。ロムニーのビジネスでの成功というのも、早い話が金を右から左に動かして、右の方を多くした、という言っているようなものです。アメリカの主幹産業というのは、すでにサービス業です。医療、金融、などなど、つまり、誰かの金がほかの人にアメリカ国内で移動するだけの産業です。金子直吉の言葉を借りれば、「芸者と花札」をしているようなものです。これだけ多くの借金を背負っているアメリカの経済を好転させるには、価値を創造するビジネス、そしてそれを外国に売るというビジネスでなければならず、国内のサービス業で金を動かしているだけではどうしようもありません。ロムニーが経済を知っているとエラそうに言う度に、前の日本の民主党代表戦で経済音痴で何をやっていいのかわからない空き缶が「雇用、雇用!」と空虚に叫んでいたのを思い出します。ロムニーのビジネス経験というのは、私から言わせれば、国家レベルの経済には何の意味ももたない、むしろ国民を喰わせて行くという目的からは、逆効果のものだと思います。
一方、ポールの演説では、オバマを批判するのでではなく、現在の経済危機を招いたアメリカの過ち、貨幣システムの欠陥を批判し、具体的な提言を行っています。ポールはアメリカの国民の個人の自由と責任の重要さを訴え、アメリカ憲法に基づく、社会、政治システムの改善を目指すことを訴えています。ポールはかなり過激な債務縮小のための政府機能のカットを主張していますので、政策に対する反対も多いでしょうが、ロムニーがオバマを批判し、大統領を変えて世の中を良くしないといけない、と上辺のことしか言わないのと比べたら遥かにわかりやすいです。ロムニーの話にはそこから先がないのです。「アメリカの魂を取り戻す」だの「経済回復と職を増やす」だの、「歴史をつくる」だの、非常に上滑りで具体的な内容に乏しいスローガンを連呼するだけです。外交に関しても、モルモンでフランスで布教活動をした位でしょうから、外交経験を問われて「アラスカはロシアに近い」と答えたサラ ペイリンと大して変らないのではないでしょうか。因みにサラ ペイリンはギングリッチを支持しているようです。
PBS Newshour ロムニースピーチ http://www.youtube.com/watch?v=zPVxsHJwfcg
PBS Newshour ポールスピーチ http://www.youtube.com/watch?v=Da6irSCvnZY
さて、日本の関西電力、原発再稼働に向けて、どう考えてもヤラセのストレステストを形だけやって、その結果の公聴会が先日開かれました。一般人を別室に排除して、密室で「審査合格」の判子を貰おうとした姑息さに、人々が反発し、公聴会が荒れたというニュース。政府(またもや、口先男、エダマメ)とマスコミはあたかも抗議者が悪いようなもの言い。政府や原子力保安院のやることがウソとゴマカシで、手前の利益のことしか考えていないから、力のない一般の人々が身を張って抗議しているのではないのでしょうか。地震は頻発していて、しかも世界で起こっている自然災害の規模はこの30年ほど大きくなり続けているようです。その間だけに限っても、チェルノブイリ、スリーマイル、フクシマ、と大きな原発事故だけでもこれだけ起こっています。まして、隠蔽された放射線漏れ事故など数百あるいは数千件の単位で起こっているでしょう。日本の原発事故はまた必ず起こると思います。今度は関西かも知れません。琵琶湖のすぐ裏に密集する日本海沿いの原発で事故が起これば、関西全滅でしょう。福島原発で東電がやってきたこと、事故後に、政府や東電がしてきたことを見れば、誰が、連中のいうことを信じるでしょうか。政府や電力会社の連中に任せておいては、自分自身や家族を守ることができない、その危機感が力のない一般の人々を駆り立ているのだと思います。
追加。東電の隠蔽体質を鋭く風刺した秀作 「絶対安全」が紹介されていました。ます。