前回、ES細胞の論文のことを書きかけて、うっかりそのまま投稿してしまいました。その話をもう少し書こうと思っていましたが、何を書きたいのか忘れてしまったので、そのままにして次の話題に行きたいと思います。
先のドジョウの演説に続いて、火曜日にはオバマのState of Union Addressの演説がありました。ドジョウの演説は、突っ込み出したらキリがないし、考えるだけでもハラが立つので、一つだけ。自民党党首の言葉をわざわざ引いて、増税への同意を取ろうとした浅ましさが、私はガマンできませんでした。この人には「誠実さ」とか「矜持」とか、私が人間として最も大切だと思う資質が欠けているようです。アホウ氏と福田氏の言葉をわざわざ引用したのは完璧に逆効果でした。自分が野党の時にあれだけ自民党のアホウ内閣の増税案に反対して不信任に投じたくせに(当時の国会でのドジョウの演説の証拠が残っています)、今になって、自民党と同じ増税政策を打ち出して、自民党の党首の言葉まで引いて「いっしょにやりましょ」というのは、どのように人格が破綻すれば、言えるのでしょうか。ひょっとしたら空きカン以上の卑怯者かも知れません。どうしても、自民党と同じことをしたいというのなら、今すぐ民主党と総理をやめて自民党にでも入党して、消費税増税を堂々と公約に挙げた上で、国民の皆さんに選挙で選び直してもらってからやればいいでしょう。もっとも次の選挙でドジョウの政治生命も終わりかも知れませんが。
さて、オバマの演説ですが、正直、余り、パッとしませんでした。大統領選を控えているという情勢がそのスピーチのトーンにかなり影響しているように思えました。将来に関して比較的楽観的な調子を印象づけようとしていましたが、どれほどの効果があったでしょうか。政策的には、エネルギー産業に力を入れること、それからブッシュ時代からの金持ち優遇政策をやめて、金持ちへの税金率を上げるという話がありました。アメリカでは、投資による収入は賃金による収入よりも低い税率が設定されています。金持ちの収入の多くはそのような不労所得で、例えばロムニーは、収入の殆どが不労所得で税金率が一般人よりも低いと非難されて、税金開示をすることになりました。興味深いのは、その演説の場に、ウォレン バフェットの秘書の人がいたことです。投資の神様と言われる大金持ちのバフェットは、財政難に際して、金持ちの税金を上げるように、自ら主張していました。オバマは演説の中で、金持ちの例としてバフェットを上げ、バフェットのような大金持ちがその秘書よりも低い税率なのはおかしいと述べ、金持ち優遇税制の改革を訴えました。同時にリーマンショックを招いた金融機関の無責任さを非難し、公正な金融取引のためのレギュレーションを強化することを述べました。共和党が主張してきている「小さな政府」を意識してか、政府の機能は必要で十分な規模だけに留めると述べました。この辺は選挙用でしょう。共和党の主張がオバマの主張と大きく変わらないのなら、国民は現状維持に投票するでしょうから、オバマには有利です。あと、もう一人注目を浴びていたのは、つい先日、議員を辞めることを発表したアリゾナのガブリエラ ギフォーズ議員でした。昨年、アリゾナのモールで頭部を射たれて重篤な怪我を負い、その後、回復が見られていましたが、喋ったり歩いたりしている所を見ると、さすがに障害が残っているようで、議員としての活動は困難だと判断したようです。苦しい決断だったでしょうが、議員最後の活動として、オバマの演説に姿を現しました。
日本でも、首相の演説は、ゴールデンタイムに民放もNHKも一斉に特別枠で生放送して、その後、野党に演説内容を批判させれば良いですね。国民に広く、首相の意図(あるいはペテン)を知ってもらうことは、日本の「民主化」に役立つでしょう。ネットでは、ドジョウの演説を「巧言令色少なし仁」と多数が評価しています。天木直人さんは、「きのう(1月24日)の野田首相の施政方針演説はひどかった。税と社会保障の一体改革ばかりを語る施政方針演説など聞いたことがない。しかも一体改革と言いながら消費税増税のことばかりだ。」と述べています。首相が生で一時間しゃべるのを聞けば、シャーロックホームズでなくても、どれほど、政府、政権が、ウソをつき、都合の悪い事をゴマかし、国民をバカにしているのか、よくわかるというものです。