百醜千拙草

何とかやっています

中国の台頭、日本の凋落

2019-04-26 | Weblog
有名人が数人しゃべる核酸関係のシンポジウムをちょっと覗いてきました。
だいたいいつもと同じで、面白い話が2割、つまらない話が2割、そこそこが6割といったところですが、当たり前ですけど、話の8割がtranslational researchです。何らかの臨床的意義を加えないとグラントが取れないのでしょう。

もう一つ思ったことは、研究における中国の台頭と日本の凋落傾向です。話をした中の数割で中国グループとの共同研究が行われていてその結果が大きく貢献しています。ほとんどの研究室で中国人研究者が重要な役割を果たしている一方、日本のグループと共同研究をしたところはゼロ。日本人研究者の名前も一切出てこなくなりました。研究サービスでも、中国会社、例えばBGIのサービスを使っているグループは多いようです。私も研究サポートに中国系の会社を使うようになりました。シークエンス プロジェクトはBGIを使いますし、遺伝子de novo 合成はGenewiz、その他の分子生物実験に使うものはGenscriptと、中国系の会社です。安いですし品質もまずまず信頼できます。三、四十年前の日本のような感じではないでしょうか。研究において、優秀な大学院生の圧倒的な労働力で世界をリードしてきたかつての日本はすっかり、中国にとって代わられました。

残念ながら、この流れはもう変えられないので、中国がかつての日本並みに豊かになって賃金とコストが上昇して国際競争力が落ちるまでは、この調子でしょう。何と言っても日本の10倍以上の人口を持ち、世界で商売すること得意な中国ですから、当分は中国の天下が続くでしょう。次に中国にとって変わる国があるとすれば、インドでしょうが、儒教国の中国人の勤勉さを考えると、インドが中国にとって変わるとは(今のところは)とても思えません。人口や物価で言えばインドネシアも可能性があるのですけど、イスラムの国ですから、同じく超現実主義の中国人の敵ではなさそうです。
(あくまで、ステレオタイプに基づいた予想です)

今後は日本は、帝国主義が終わった後のヨーロッパの小国のように内向きになっていくのでしょう。それは悪いことではないと私は思うのですが、政府と指導者が、成長が終わって初老期にかかろうとしている日本に、いまだに「経済成長」のバカの一つ覚えしか言わず、成長が終わって縮小期に入っているという現実を否定し、現実に沿った長期的政策を全く持ってない、という無能さですから、日本はヨーロッパ諸国のように身の丈にあったライフスタイルに軟着陸することはできず、結局、崖から落とされるようにハードランディングすることになるのでしょう。

先の第二次大戦と同じ間違いを繰り返すことになるのではないかと思います。つまり、戦略は神風頼り、成長路線が失敗した場合のプランBは、総玉砕です。

これからは、自分の身は自分の力で守ることを考えねばなりません。餓え死にするのも自己責任と言われて終わりの国ですからね。
コメント
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