食習慣を変える話を前回しましたが、今のところは快調です。昼はナッツの入った袋を用意しておいて、そこから決まった量を取り出して、空腹を感じた時に食べるという風にしているので、お昼ご飯の心配もなくなりました。お弁当を作ったり食堂にいったりする手間も必要ありません。眠気も感じなくなり、とりあえず良いことづくめです。
食べることが好きという人にも朝昼を軽くして粗食にするのはおすすめできると思います。夕食がとても楽しみになりますからね。
ところで、食事の快楽といえば、私が肉食を基本的にやめたのは、動物性の脂が偏頭痛のトリガーになっているのではないかと思い始めたからで、主義的なものは何もなかったのです。いまでも乳製品や卵や多少の魚は食べますし。
しかし、地球の人口爆発がおこって、現在もかなりの勢いで地球の人口は増加しています。近代化が始まった200年前、地球の人口は10億、それが二倍になるのに100年かかっています。しかし、そこからは50年ごとに倍加しており、今や80億に近い数字です。特に人口増加の大きいアフリカなどの貧しい国々では食糧危機で栄養不足が蔓延している現状がある一方で、豊かの先進国や高エネルギー消費型の西洋のライフスタイルを取り入れようとしている地域が増え、地球の環境は急激に悪化しつつあります。
公害や温暖化ガスや放射性廃棄物を作り続ける西洋型ライフスタイルに関する反省は、まさに西洋、欧米から始まっています。車ではなく自転車、遠隔輸送の大量消費ではなく地産地消、それから菜食中心の食生活、を選ぶ人が増えてきました。菜食を選ぶ人には様々な理由がありますけど、なかでも大きな理由の一つは、肉食が高エネルギー消費型で、地球環境に悪いからという理由です。昔のフランス人同僚は、子供が二人いるが、家庭では菜食だし、大量の燃料を燃やす飛行機には極力乗らない主義だと行っていました。子供の成長に必要なタンパク質は学校給食で十分補給できるので問題ないという話。今回のフランス統一地方選挙では与党が惨敗しエコロジー政党(ヨーロッパ・エコロジー=緑の党)が大躍進しました。エコロジーへの関心はヨーロッパで広く広がっています。社会や地球のことを考えて個人の欲望を抑えることができるというのは、人間の成熟の一部でしょう。
一食分の食肉をつくるのには約20食分の植物性食品が必要と言われています。動物の餌になる分の飼料にかかるリソースを直接の人間の食糧用に変換すれば、20倍効率がよく、その分、飼料を育てたり牧草地を作ったりするために森林を切り倒す必要も少なくなるというわけです。人間が肉を食べる快楽のために地球の多くのリソースが使われていますが、その一方で貧しい国々では食べるものがなく栄養障害で死んでいく子供がおります。
もう随分前ですけど、とある東南アジアの病院に見学に行った時、そこではじめて栄養障害の患者さんをみました。その時に栄養障害の二つのパターンを聞かれて答えられず、恥ずかしい思いをしました。教科書には載っていたはずですけど、当時の日本では栄養失調や感染症は克服された病気(拒食症とか免疫不全時の感染を除くと)という感じでしたので。 ちなみに、タンパク質不足が主体の栄養障害はKwashiorkorと言い、もとはガーナの言葉で、二人目の子供が生まれた時に子供がかかる病気という意味のようです。
肉食によって得られる快楽や効果は理解できますが、一方で人間の欲望が地球環境を破壊してきたことを考えると、食事を含む欲望の節制は大切だろうと思います。