東京新聞、「世界成長率、コロナ収束期が左右 長期化ならマイナス8%に」
感染が長期化すると悲観的に見た場合、景気回復は「著しく力強さに欠ける」ため、20年の実質成長率はマイナス8%に落ち込む。早期に収束し「急激な回復が始まる」楽観シナリオでもマイナス4%近くとなり、リーマン・ショック後の09年よりも悪化する。
という記事。
カネの話は前にもしました。私は専門家ではないので気楽に思うところを言いますが、経済成長を目指すことこそが地球を破壊し人類を滅亡に導く原因ではないかと思うようになりました。経済成長、つまり経済活動の規模の増大がよいことである、と普通は考えられているのでしょうけど、地球規模でみれば、経済活動の増大は環境破壊を促進するし、またまた人々の生活にカネが必要で自由競争を是とする社会では、それはインフレと格差を招き、多数の弱者に生きづらい世の中にしていっていると思います。
そもそも、どうやって経済が成長していくかを考えればいいです。経済の成長は借金によってなされます。この話は前にもしましたが、借金ができない世の中では家や車をローンで買うなどということはできないので、経済活動は低くなります。しかし、借金で増えた経済規模は借金を返すことによって縮小します。だから、消費者の収入と借金の規模が共に増大していき、常に借金をし続けるという自転車操業的経済サイクルが成長には必要です。然るに、このような高回転型の経済は、一つ歯車が狂っただけでクラッシュします。歯車が狂わなくても、高回転型経済でインフレとなっていきますから、そのコントロールのために中央銀行は金利を上げます。これは負の連鎖を容易に起こします。経済成長が高ければ高いほど、落差は激しく、国民は借金を控え、消費を控え、モノが売れなくなって、リストラされ、借金が払えなくなって破滅するということになります。
この借金に依存する経済成長というメカニズムは人々の生活の安定と地球環境を犠牲にしています。そのことが、このコロナの間の活動抑制でよく実感されたのではないでしょうか。目指すべきは経済成長ではなく、生活の安定と環境破壊の抑制ではないかと思います。すなわち経済活動を抑制した上で人々の生活を安定させる工夫だと思います。というわけで、また同じ話ですけど、ベーシックインカムによって生活に必要なレベルの収入を国民全員に保障することが、その処方箋ではないかと思います。加えて税制の公平化。トリクルダウンのような詭弁で金持ちの大企業に減税して消費税で貧乏人からも取り立てるというようなものは辞めないといけません。企業にもベーシックインカムを払いましょう。社会を回すのにに必要な仕事をしている会社は潰れないように保障し、環境破壊に繋がるような過度の活動は法制と税制などで抑制すべきだろうと思います。
現代の資本主義という非常に動物的、原始的なシステムは変えるべき時に近づいていると思います。なぜ、日本もアメリカも国家収入をはるかに超える予算を組み、借金で賄うことで、利息が積み上がって、永久に返せないような状態になっているのかを考えてみればいいです。役に立たないマスクに何百億というカネを使い、電通とパソナに予算を回すためにトンネル会社を作る。官僚はかつては箱物を作って天下りする。そこに群がる人々が税金を盗んでいるからでしょう。植民地の番頭政権が宗主国に国の富を貢いでいるからでしょう。こういう中世のような原始的社会はいい加減終わりにするべきです。世界規模で人々の意識は変わりつつあると思います。過去を振り返れば、人権の尊重、地球環境の尊重、大多数の人々が自らの不自由と引き換えに世界の人々のことを考えるようになってきました。人間が単に他の動物よりも多少ずる賢い動物であるだけではなく、人間は他の動物とは異なった人間特有の人間らしさという点において成長すべきだと多くの人々は考えるようになっていると思います。
現在の資本主義、新自由主義が肯定しているのは、動物の社会であり、経済成長ばかりを目指すのも同じことだと思います。人間らしい社会は、成長しないが低め安定し、よって人々の生活が保障される経済システム、つまり、サステインナブルなシステムのある社会だと私は思います。 今回のコロナ一発では難しいでしょうけど、そういう議論が活発化すれば遠くない将来に、今の破綻するのがわかっている経済システムは人々の力で変わっていくのではないでしょうか。