先週のイスラエルと欧州のメディアの情報だと、国際犯罪裁判所(ICC)がようやくネタニヤフとIDFのギャラントに逮捕状を出すという話です。これまで、イギリスやアメリカはICCのネタニヤフに対する逮捕状発行に異議申し立てを行ってきましたが、イギリスは意見を変えたようです。これはどうも先日のイギリスの選挙の影響のようで、17日、労働党政権は、ICCへの異議申し立てを取り下げるとイギリス議会は発表しました:
しかし、これは別に労働党がイスラエルのジェノサイドに反対しているからではないようです。事実、労働党のpro-Israelの方針に変化はないようで、下に触れるイエメンへのイスラエルの爆撃の露払いをしたのはイギリス空軍だったという話。イギリスはICCの加盟国であるため、単に、ICCの判断を支持しないと筋が通らないというだけだったようです。
オランダ、ハーグに本拠をおくICCは、日本を含む世界124カ国が加盟国となっていますが、米中露は加盟していません。ネタニヤフに逮捕状が発行された場合、ネタニヤフが加盟国のどこかに入った場合、加盟国はネタニヤフを逮捕する義務を負うことになります。ネタニヤフは24日に予定されているアメリカ議会での演説のために、どうもアメリカに到着したようですが、この記事によると、ネタニヤフの飛行機「シオンの翼」は満席でのアメリカ-イスラエルの飛行では、途中で給油することが必須になるそうで、直行するには制限のかかった旅行を強いられるとのこと。逮捕状が速やかに発行され、ネタニヤフの帰りの飛行機がICC加盟国のどこかに不時着することを心から願ってます。
先週は、イスラエルのジェノサイド対策に、後方支援をしてきたイエメンのフーチ派がテル アビブのアメリカ領事館を"Yaffa "と呼ばれる新型ドローンで爆撃したというニュースがありました。Yaffa はテルアビブ地域のアラブ名です。イスラエルご自慢の「Iron Dome」とやらは何をしていたのでしょうね。市民に対する一方的な攻撃は、誰がやったにせよ、非難されるべきですが、これが因果応報でなくて何でしょうか?イエメンのフーチ派は「テルアビブはもはや安全ではない、テルアビブの市民は避難するように」と声明を出しました。この攻撃は、イスラエルの第二の都市を数千キロはなれた場所からピンポイントで攻撃できることを証明しており、フーチはいつでもイスラエルの都市を攻撃できるとの示威行動です。イスラエルは報復としてイエメンを爆撃し、イエメンは大陸弾道ミサイルをイスラエルに向けて発射、イエメンは「徹底的にやるべきことをやる」と宣言。フーチはイスラエルとの長期の戦争を想定していると述べ、受けて、ヒズボラはイエメンを支持するとの声明を発表、そして、イランはイスラエルのイエメンへの爆撃を非難。
北からはヒズボラ、南からはフーチ、東にイランとシリア、西にはエジプト、北西にトルコ、アラブとイスラム諸国に囲まれて、いつの間にか形勢は逆転しつつあるようです。アメリカの兵器はテル アビブ経由で入ってくるようですから、テル アビブ空港の機能を破壊すれば、イスラエルの兵力は半減すると思われます。
さて、7/18は、南アフリカの人権運動の闘士で大統領だったネルソン マンデーラの誕生日で、現在はネルソン マンデーラ国際記念日として、彼の偉業を偲ぶ日となっています。「我々の自由はパレスティナの自由がない限り、不完全だ」と述べたマンデーラはつい15年前までは、アメリカにテロリストと認定されていた人物です。客観的にみて、アメリカとイスラエル、マンデラとパレスティナ、どちらがテロリストなのかは明らかでしょう。その南アフリカのアパルタイド政策を終わらせた Boycott, Divestment, Sanctions(BDS)運動が、反イスラエル運動の戦略として展開され、ボディブローのようにイスラエルにダメージを与え始めているようです。イスラエルの産業はかなりの打撃を受けています。そして、ICCの逮捕状はネタニヤフの行動範囲を大きく限定することになります。ここで一番の問題はアメリカということになります。ジェノサイドを犯して推定18万人以上の市民を虐殺し、ICCから逮捕状が出される人間をわざわざ国外から呼んで議会で演説させ、両政党が揃って総立ちの拍手を送り、パレスティナの子供を殺すための大量の武器弾薬を供給する、というキチガイ沙汰がまかり通る国がアメリカです。
さて、国際司法裁判所(ICJ)が審議中であった、イスラエルの国際犯罪の訴えに対し、ICJは週末に判決を出しました。判決では「イスラエルはアパルタイド国家であり、長年に渡りジェノサイドを行い、不法にパレスティナ人の土地を占拠してきており、これらは直ちに改められるべきである。国連加盟国はイスラエルに対する投資を引き上げ、制裁を課することを考慮すべきである」と述べました。同調するかのようにパキスタン政府は正式に「ネタニヤフはテロリストである」との認識を示し、今や、イスラエル支持はシオニストに汚染されてきたアメリカ、イギリス、EU諸国の一部(とインド?)のみとなったようです。そして、これまでは、イスラエルのジェノサイドに関しては、パレスティナへの人道支援のみにとどめていたロシアでしたが、外相ラブロフは、「(フーチ派を支援していると思われる)イランではなくイスラエルの方が戦争を仕掛けている。ロシアは(国際社会での)責任を果たすため、いつまでも沈黙してはいないだろう。例えば、シリアを見るが良い」と述べ、軍事介入の可能性を示唆しました。
まだ先ではないかと思われていた中東発の第三次世界大戦が着々と近づいて来ているような不気味な予感を感じさせます。ロシアが口にしたことは、多くは「そのままのこと」を意味しており、その言葉は真剣に熟考する価値があると私は思います。
現在、BRICS側は着々とその世界への影響力を強めており、ロシアの力はより強大になって行くと思われます。サウジのペトロダラーが終わり、BRICS経済圏の中で米ドルによる決済がなくなったとき、ドルのパワーは失われ、アメリカは大きくその影響力を失うでしょう。そうなれば、アメリカがかつてのヨーロッパ諸国のように、帝国主義を捨て「普通の」国となることを選択せざるを得なくなり、これまでのように、世界各地に出かけて行っては、適当な理由をでっちあげて、戦争をやり続けることは不可能になるのではないかと思われます。
さて、アメリカの大統領選では、予想通りバイデンが撤退を表明、カマラ ハリスを候補にするという話ですが、いずれにしても民主党の惨敗に変わりはありません。バイデン、ハリス、トランプ、全員、AIPACに金で雇われたシオニスト議員であり、彼らのイスラエルに対するスタンスは同じです。先日、ハリスは記者会見で「イスラエル軍が難民キャンプを攻撃するのは不法と思うか?」と問われて「イスラエルのやることに口を出す立場にない」と返答しました。この言葉からこの人のスタンスは明らかです。見た目は有色人種でも、中身はジェノサイド ジョーと同じです。民主党政権が続けば(続くと思えませんが)パレスティナ人の虐殺は続きます。トランプが勝ったとしてもパレスティナに関しては同じことでしょう。しかし、トランプが勝つならば、多少はマシな方向に変化する可能性はあります。
従来のエスタブリッシュメントの外からきたトランプが、自分自身で自慢していたことの一つは、「トランプ政権の4年はアメリカが唯一戦争を始めなかった期間である」ということです。トランプのその動機の根底に善意があるとは思いませんが、これは事実です。私はトランプの人間性が大嫌いですが、大統領という職を務める人間としては、バイデンよりはマシかも知れぬと思っております。少なくともトランプが大統領になれば、これまでの人を殺して金儲けをしてきたアメリカ軍産ビジネスはこれまで通りには行かなくなるのではないかと思います。ただ、「取引」の損得勘定だけでやってきた男で、大した政治的信念があるわけでもないでしょうから、また方針はコロコロ変わるかも知れません。思うに、トランプの予測不能さというのはその底の浅さからきているのかも知れません。
さて、トランプが大統領になってウクライナから手を引けば、ウクライナ周辺は安定し、ウクライナ発の世界大戦は回避できるでしょう。そうなれば、さらに国民からのアメリカファーストへの圧力が強まり、ひょっとしたらイスラエルへの支援も終わることになるかも知れません。普通はそうはならないですが、トランプの予測不能さというのがいい方向に転がれば、それは、これまでのアメリカ帝国主義に基づく世界秩序を変える劇薬となるかも知れません。このエゴセントリックなこの男が、権力をもったときに何をしでかすかわかないことを私も恐れていますが、現時点ではその予測不能さはStatus quoを打破する唯一の可能性でもあると思わずにはおれません。毒をもって毒を制す、ですかね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます