百醜千拙草

何とかやっています

反論のススメ

2020-01-28 | Weblog
五年以上前から止めれずに続けていた小さなプロジェクト、面白い現象が見つかった当初は、ちょっと専門外であったこともあり、発展させられずに困っていました。そのままズルズルといろいろな事情があって進まず、また、数々の技術的な困難もあって、なかなか中心となる実験のデータがでなかったのですけど、それが昨年に出ました。残念ながら仮説は外れ、ガッカリ。もう一つだけ実験をやって撤退するかどうか決めようということで、最後の実験用のサンプルを調整したところでしたが、かなりオーバラップする論文がこの分子ではトップラボから最近出ていたのに気付きました。
このプロジェクトをやめるのに背中を押してもらったと思えばそうですけど、五年以上の歳月とそれなりの労力と金がゼロになる瞬間というのはイヤなものです。

思えば、二年前からこういうことがすでに2度ありました。2度とも、晴天の霹靂のように、こちらが有望なデータを出した瞬間を狙ったように、全く知らないところから論文が出て、二つのプロジェクトが強制終了しました。自分のアイデアが十分に斬新でなかった、行動が遅かった、と反省するしかありませんけど、やはり落ち込みますね。今回で3度めの正直といきたいです。

こういう時は、様々なネガティブな思いに苛まれ、自信を喪失し、過去を悔やみ、将来の不安に怯え、ますます気分が悪くなるわけですが、気分を悪くしたところで、何が解決するわけもありません。とはいうものの、メインプロジェクトはずっと不調、サイドプロジェクトは先を越されて次々に撤退、時間とカネはどんどんなくなっていき、有望なデータがでるどころか、実験さえつまらない理由で失敗るとなると、ちょっとなかなかパッとした気持ちにならないものです。

気分が悪くなるのを止めるのは、最終的には気分を悪くした原因のものを忘れるしかないわけですが、急性期の対処法としては、気分を悪くするような思考に反論するというのが有効なのだそうです。「五年の時間と労力と資金が無駄になった」という思いに対しては、「いやいや、そもそもこれはサイドプロジェクトでダメでもともとだったのだから想定内だ」とか、「結果には繋がらなくても、その過程で学んだことはあった」とか、いろいろと反論はできます。

結局、物事はなんでも解釈次第なので、悪い方に解釈しがちなクセを反論によって矯正していくということですね。これは、多分、気分を悪くしないという実際的な効果に加えて、物事を多角的に見る訓練にもなると思います。

(ところで、松岡修造は、実は、後天的な努力によってポジティブ人間に自己改造したらしいという話を聞きました。意志の力はすごいなあと、おもわず、笑ってしまいました)
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