10月の下旬にニホンミツバチの重箱式飼育箱の蜜を採取するのは、いくらなんでも遅すぎるらしい。
ニホンミツバチ飼育歴が始まることになった初めての一群を大事に保つことを選ぶか、とりあえず蜜を採ることにするかの選択を迫られている気がした。
幸いにももう一群いるので、強気になって蜜採取を選ぶ。
友人と二人で慎重にことを運んだつもりだが、被ったネットの下から潜り込まれてうなじを刺されてしまった。
自分で見ることのできない位置なので、友人に例の廃品利用ポイズンリムーバーを使って、スッポンスッポンと吸ってもらい、ムヒも塗ったので痛むほどではなく、3日後には腫れも引いてきたが、その部分が襟にすれた時だけ違和感がある。
オオスズメバチに刺された右手親指は1週間になるけれど、もう腫れも目立たず痒みも去った。
この間、奴らは大挙してやってくるようになり、毎日何度でも見に行って、補虫網を振り回し続け、30匹ほども退治した。
早朝には5匹ほども来ていたことがあって、強力なアゴで巣門をかじっていたのには驚いた。
かなり深くえぐられていたから、アルミ材なんかで補強しなければならないかもしれない。
飼っていたオオスズメバチは小さく縮こまって5日目に死んだ。
蜂蜜採取の時に蜜まみれになって弱ったミツバチを、オオスズメバチの死ぬ前日に入れて様子を見たら、即やって来て噛み殺したが喰うことはしなかった。
肉食の蜂は襲った獲物を肉団子にして巣に持ち帰り幼虫に与えるが、成虫は腰が細いので肉食できず、幼虫が出す液をもらったり樹液を舐めたりして養分を摂るのだと何かで読んだことがある。
蜜は十分与えていたけれど、やはり巣の一員としての何かをもらわないと延命できないのか、それとも寿命だっったのか、いずれにせよ働き蜂だったのは間違いない。
ヒメスズメバチは活動的ではないが、醤油入れにぶら下がって元気にしているから、女王に間違いないと思う。
わがニホンミツバチの蜂蜜は思い通りに採取できた。
一時保管の容器や漉すのに使った道具やカスなどは、飼育箱の近くに置いて還元する。
きれいに舐めとってくれる。
そうして夜中に道具を取りに行き、もう巣に帰っていないはずと思い込んでいたのに、残っていたヤツがいて、今度は左親指を刺されてしまった。
2度あることは3度あるという通りになったが、今度は見えるところの左指だから存分に観察をして処置もして1日経った今は痒いような違和感があるのみ。
針を見つけることができたが、針の返りまでは見られない。
なかなか焦点が合わなかったけれど、尻の一部の付いた一式を撮ることができた。
ニホンミツバチに恨みはなく、『すまなかった! 頑張ってくれ!』という気分。
ひと刺しして死ぬといわれるけれど、【死ぬことはなく取れた部分は再生する】などという記述を見たことがある。
でもミツバチを観察していると、ハエのような機敏性がなく、すぐに何かに挟まるし、蜜にも水にも溺れるし、何だかとってもどんくさい。
やはり針のなくなった働き蜂は、そのまま死ぬか仲間に見捨てられるような気がする。