真っ黒い蜂が、エアコン室外機付近を出入りするので見てくれないかと、お隣さんから電話があった。
エアコン修理に業者を呼んだら、蜂がたむろするから怖くて修理ができないと言われてしまったのだとか。
言われて初めて、蜂が巣を作っているのがわかったとの事。
黒い蜂と聞いてクロスズメバチではないかと思った。
以前、ウチの庭を草刈りしていて、切り株近くの地下に出入りするクロスズメバチを見つけ、キンチョールを穴に吹きつけて退治したことがある。
長野県ではクロスズメバチの蜂の子を食用にするということで、それを取材したテレビ番組を観たこともある。
地下に巣作りするはずが、もしかしたら古い家屋の土壁に巣を作ることもあるのではないかと考えた。
見にいってみて、廂のトタンの隙間から出入りする蜂を補虫網で1匹捕まえた。
スマホで撮りネットで調べてみると、クロスズメバチではなくてチャイロスズメバチだった。
こいつの女王蜂は、キイロスズメバチの女王蜂を殺して巣を乗っ取り、キイロスズメバチの働き蜂に自分の子を育てさせ、徐々に完全乗っ取りをするそうだ。
あまり見られない珍しいスズメバチながら獰猛で危険なやつらしい。
蜂用の瞬殺スプレーを買ってくるので、できるならば退治してくれないかということで、二つ返事の承知をした。
私は昨年、オオスズメバチの巣をバルサンで退治した経験があり、瞬殺スプレーがあるなら、蜜蜂用の防護服も革手袋もあることだし問題なくやれるだろうとふんだ。
夕方になって、先ずは出入り口に瞬殺スプレーを5秒間3回ほど浴びせる。
作業の途中で帰ってきた働き蜂を網で3匹捕まえた。
ハシゴに登っているので、獲ったらすぐに瞬殺スプレーで殺す。
瀕死でも一矢報いてやろうと針を出して絶命するあたりが、小さくてもさすがにスズメバチ。
廂の根元から壁に入って巣を作っているのではないかと、お隣さんは下から見上げつつ心配するのだけれど、私は10センチほどの高さの廂内に限ると予想。
どうしても巣を見つけないと安心できないらしくて、お隣さんは物干し竿で廂の天井を突き破った。
そうしてくれるなら話は早い、というわけで、その穴から再度、瞬殺スプレーを吹き入れ、バールで出入り口近くを探ったら、確かな手応え。
女王かどうかは分からなかったけれど、チャイロスズメバチの死骸1匹と蜂の子多数と蓋をしてある蛹も多数取り出せた。
じつはお隣さんは昨年、キイロスズメバチが壁板の節穴から出入りしているのを見つけ、駆除専門業者を呼んで処理させた。
業者の駆除方法を見て話も聞いたことで、大体の要領をつかんだお隣さんは、蜂の好きな私ならやれるかも知れないと声を掛けてくれた次第。
期待通り期待以上の成果をあげてしまった私は、こんなことは出来て当たり前という態度を取ったのだけれど、調子に乗ったら後が怖いと自戒すべし。
お隣の奥さんは金沢に旅行に行ってきたと、仕事前に手付のように富山名物鱒の寿司をくれた。
二年ぶりくらいだったけれど、『源』のこれはいつ食べても変わらぬ味でお見事。
夜が明けたら、8時前くらいから廂の下で、外泊して帰ってくる働き蜂を待ち構える。
3匹は捕まえたが、獲り損ねて逃げられたのが1匹いるので心残りなのだ。
先ほど見に行ったが、もう出入りはなかった。
ミッションコンプリート。
奥さんが大事にとっていた巣を分解して蛹も羽化寸前のヤツも引きずりだした。
総計100匹ほどの成果。