

釣り好き友人が手頃の黒鯛が釣れたからと、刺し身にするばかりの皮も取ってある一匹分の切り身を持ってきてくれた。
赤鯛も大きいのが釣れたけれど、大き過ぎるとおいしくないのだと言う。
それなら大相撲の優勝力士が記念撮影をするときに持つ鯛なんかどうかと聞いたら、ぜんぜんおいしくないはずだとのこと。
昆布締めにして持ってきたかったが家になかったからと言うので、うちには良い昆布があるよと言えば、勝手知ったる何とかでずんずん台所に入る。
『鯛よか鯵の方がうんめぇと思うどもなぁ』とも言うのであったけれど・・・。
昆布締めの実演。
①鯛の切り身に裏表軽く塩を振り、少し間を置いてからキッチンペーパーを押し付けて水分を取る。
②切り身を覆う大きさに昆布を上下分切る(今回は重ねたので上中下で3枚)。
③酒を浸したキッチンペーパーで昆布の裏表を拭いてゴミを取る。
④昆布で切り身を覆って、ナイロン袋に入れ、冷蔵庫で寝かす。
実食。
6時間後の夕飯おかずとして食べるにあたって、何をつけて食べたら良いのかと迷った。
ネットでてきた最初が三杯酢に生姜の絞り汁というものだったので作り、とりあえずは刺し身に切った。
刺し身に切る場合も、以前の鯵の時に実演しながら講釈を垂れたことを思い出しつつ実行する。
刺し身は必ず引いて斜めに切り、切り終わり直前に包丁を立てると言う。
なぜかは知らないけれど、職人は必ずそのようにやっているというものだったから、確実に切り離すためと切り身をわずかにずらして多く見せる技ではないかと思われる。
友人の刺し身包丁のような、たぶん何万円もしただろうと思われる長いのが欲しいものだと思う。
何もつけずに端を食べてみると、薄味のようでいて、ねっとりと噛むほどに旨味が感じられた。
用意した三杯酢をつけてみると、味に変化をもたらすというのか、飽きさせないためのつけ汁のような感じだ。
思わず電話をしようかと思ったほどに乙な味だった。