和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

茶の本と、掛け軸。

2019-11-18 | 本棚並べ
本棚から岡倉覚三著「茶の本」(ワイド版岩波文庫)を
ぬきだしてくる。
第一章「人情の碗」の最初の頁にこうありました。

「茶道の容義は『不完全なもの』を崇拝するにある。
いわゆる人生というこの不可解なもののうちに、
何か可能なものを成就しようとする
やさしい企てであるから。」(p21)

うん。この言葉が気にいったので、
線を引いてある(笑)。

つぎに線がひいてある箇所はというと

「おのれに存する
偉大なるものの小を感ずることのできない人は、
他人に存する
小なるものの偉大を見のがしがちである。」(p23)

はい。第一章で線をひいたのは、この二か所(笑)。
つぎ、第二章「茶の諸流」のはじめの頁にも線引き。

「宋の詩人李仲光(りちゅうこう)は、世に最も
悲しむべきことが三つあると嘆じた。すなわち
誤れる教育のために立派な青年をそこなうもの、
鑑賞の俗悪なために名画の価値を減ずるもの、
手ぎわの悪いために立派なお茶を全く浪費するもの
これである。」(p31)

はい。引用はこれくらいで、おしまい(笑)。
うちは、両親が建てた家に住んでいるので、
もう、築38年になります。
ですから、台風が屋根を吹き飛ばしても、
もう築年数がたっているので、
と言われれば、そうですね。という感じです。
さてっと、その二階の床の間に
ちょうど台風15号の被害があった際に、
かかっていた掛け軸はというと、
墨絵でした。絵はというと、
雪深い山奥のようです。
細長い掛け軸の下のほうに、
小川に橋らしいものが架かっていて、
掛け軸の中ほど右上に
藁ぶきの屋根がゆきで白くなっている。
その家の、左が一筆で山際をあらわしている。
あとの空白は、雪がうめているという見立てです。

はい。七~八畳分ほどの屋根が台風で
飛ばされて、数日して片づけをしているときに、
その掛け軸に気づきました。
母親が生きている際には、
季節ごとに、掛け軸を変えて楽しんでいた
こともあったのですが、この掛け軸は
父親の好みだったのかもしれない。
万事めんどうなわたしは、掛け軸をかけかえる
ようなタイプではありませんので、たまたま
シンプルで余白の多いこの掛け軸をかけておりました。

台風が過ぎて、いろいろ来ていただいたり、
支援してくださったりして、ありがたかったのでした。
そのホッとしたなかに、この掛け軸も
すこしは関わってくれていたような気がします(笑)。

さいわい、その床の間のある部屋には、
雨漏りはなかったのでした。
風に煽られて、掛け軸の下の方が切れてしまっている。
まだ、そのままになっております(笑)。




コメント
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