和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

雑木林の河合雅雄さん。

2021-05-17 | 本棚並べ
昨日の読売新聞社会面(p28)に
河合雅雄氏の死亡記事。
「14日、老衰のため死去した。97歳だった」とあります。
河合隼雄氏の実兄。

以前に、読んだのは福音館日曜文庫の
河合雅雄著「少年動物誌」の一冊。
この本の挿画は平山英三。河合氏の文章に
融け込むようにして印象に残っております。

うん。子ども向けのわかりやす文章なのに、
なにやかやと内容があり、ゆっくりでしか読めなかった。
そんな記憶があります。いつか読み直そうとそう思って、
そのままになってしまった一冊でした。

うん。ここでは買っても読まなかった
河合雅雄著「学問の冒険」(佼成出版社・平成元年)を
とりだしてくる。その「はしがき」から引用することに

「私は学問の世界においても、妙な言い方だが、
雑木林をもって理想としている。さまざまな生き物が、
大きな動的な調和の世界でおのれの命を強くたくましく生きている姿は、
それぞれの個性や資質を果てしなく伸ばしていこうとする人間の姿を
彷彿(ほうふつ)とさせる。

学問は元来、そういう人間の中から創られ支えられてきたものである。
見渡す限り同じような動植物に統一された純林のような学問世界からは、
学問を力強く発展させる独創性は生まれてこないだろう。

・・・・独創性を育むには、それに適した« 林 »が必要であり、
同時に個々人が旺盛なる探検精神に目ざめることが大切であろう。
探検とは読んで字のごとく未知の世界を探り、
探りあてた新しいものを検(しら)べ、創造的な世界を生みだすことだ。
・・・つまり冒険の中に身を置くことに、
あえてたじろがない心が要求されるのである。」(p2)

はい。私の読書は「はしがき」だけ。
いつかもう一度、読み直したいと思っていた、
『少年動物誌』を、この機会にめくることに。
そこに、独創性を育む« 林 »が見つかるかも知れない。
はい。独創性と年齢とは関係ないですよね。そう信じて。


コメント (2)
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