和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

眠りの姫よ 起きなさい

2021-05-28 | 本棚並べ
はい。読んだ本でも、すぐに忘れますね。
そのかわりに、再読のたび、何だか新鮮。

今日になって、本棚からとりだしてきたのは
河合隼雄・長田弘「子どもの本の森へ」(岩波書店・1998年)。

うん。本文には子どもの本の紹介を対談で語っているのですが、
その紹介本を読んでないので、正しくは未読本になるのかなあ。

けれども、この本の、はじまりが忘れられません。
うん。途中から引用してみます。

長田】 本はほんとうは必要な家具でもある。
ツンドクしてちゃんと時間をかけないとだめで、
葡萄酒みたいに、ちゃんと寝かせておいてこそ、
おいしく熟成するものですね。

河合】 寝かせてなかったらだめです。

長田】 いまはその寝かせ方が、本に足らないんじゃないか
なあって思いますね。・・・・・(p6)



長田】 しなかったもの、しそこなったもの、
つい忘れてそれっきりのもの、そういうもののなかには、
じつは、自分で気づいてない豊かなものがいっぱいあるんだ
ってことを、忘れたくないですね。

たとえば図書館へ行けば、読んでない本、読まないだろう本が
圧倒的なのが当たり前で、読んでない本、知らない本が
いっぱいある図書館が、いい図書館。

河合】 そのとおりですね。
ぼくは『読みなさい』って言わないんです。
『こんなん読まな損やで、こんなおもしろい本』
と言うことにしてる。

長田】 よくないのは、要約しろっていう読み方。
その考え方が読書をつまんなくしちゃってると思うんですね。
要約なんかしなくていい。それよりもその本のどこか、
好きなところを暗誦するほうがずっといいと思うのです。
  (p7)


はい。これを新刊で読んだので、今から23年ほど前に
なるのでしょうか。この箇所を合言葉として、今まで
『本の寝かせ方』を試していたような気がしてきます。

はい。それでは『眠りの姫よ 起きなさい』。
コメント (2)
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