はい。夏目漱石が『坊つちゃん』ならば、
河合隼雄は『グリム童話集』じゃないか。
ということで、『泣き虫ハァちゃん』さえ満足に読んでいない癖して、
とりあえずは、本棚に数冊をならべてみる。
河合隼雄著「泣き虫ハァちゃん」(新潮社・2007年)
河合隼雄著「〈うさぎ穴〉からの発信」(マガジンハウス・1990年)
装画は長新太。カバーデザインが印象に残ります。
1985年12月8日に新聞に載った「『グリム童話集』を読む」
がはいっていました。
河合隼雄著「書物との対話」(潮出版社・1993年)
こちらにも、「『グリム童話集』を読む」が入っています。
その前の文には、こんな箇所がありました。
「今から考えると、私の強いヨーロッパ志向は、
グリム童話によって養われたところが大きいかも知れぬ。
小さいときから、グリムに導かれて、私の魂はヨーロッパ
旅行をしていたとさえいえるだろう。
『赤帽ちゃん』(赤頭巾はそのように訳されていたと思う)
という名前は、私の心のなかに深く刻み込まれたし、
彼女とともに私はヨーロッパの森をさまよい、
恐ろしい狼に出会ったりした。シンデレラは『りすの毛皮の靴』
という題だったと思うが、そこに描かれたひとつのさし絵は、
私にとっては何冊もの絵本と同じくらいに、
私のイマジネーションを刺激するものであった。 」
( p37~38 )
河合隼雄著「昔話の深層」(福音館書店・1977年)
この本の装丁・挿絵は、鈴木康司。
この本では「グリム童話を中心にとりあげるつもりである」
と「はじめに」で紹介されています。
そして、河合さんの文が終わると、最後に、この本で紹介された
『グリム童話』のお話が矢川澄子訳と挿絵鈴木康司で読めます。
河合隼雄著作集5「昔話の世界」(岩波書店・1994年)
序章のあとに、「昔話の深層」がおかれて、
つぎに昔話関連文が並ぶ。解題も河合隼雄。