和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

昭和32年の『 地上の星 』。

2023-03-11 | 詩歌
あれっ、『地上の星』と題する詩が、
竹中郁の、詩集のなかにありました。

『地上の星』といえば思い浮かべる中島みゆき。
『ヘッドライト・テールライト』の中島みゆき。

それで、すぐに忘れやすい私のことですから、しばらくすれば、
それが、いったい誰の詩でどこにあったのやらも思い出せない。
これが、機会だと竹中郁の詩『地上の星』を引用しておきます。

竹中郁年譜をひらく(「竹中郁詩集成」沖積社・平成16年)と

昭和32年(1957) 53歳
         5月8日 NHK第二放送より詩を放送とあり、
         7つの詩の題が並んでいてそこにありました。

のちに、第八詩集『そのほか』(昭和43年・中外書房)にはいり、さらに、
それが、第九詩集『ボルカ マズルカ』(昭和54年)に再録されています。

ちなみに、詩集の目次をみても、『地上の星』は見つからずさがせない。
はい。目次には『三いろの星』とあるのでした。その三つのひとつの詩。
うん。これだと、いざ探そうとしても、目次では判断できないのでした。


        地上の星     竹中郁

     こちらで振る
     踏切番の白いランプ
     あちらで答える
     もう一つの小さな白いランプ
     どしゃぶりの雨のなか
     話しあっているようだ
     うなずきあっているようだ
     やがて来る夜更けの電車を
     夜更けて帰りの人人のいのちを
     いのっているようだ

     ね ここに一人のぼくがいるよ
     雨とくらやみとにまぎれて
     それとなく見つめているぼくだよ
     ぼくも振っているんだよ
     ランプの話しあいに加っているんだよ
     ランプのいのりに加っているんだよ
     黒い蝙蝠傘を
     大きく大きく打ち振っているんだよ


昭和43年の詩集「そのほか」には、最後の行が
「・・行ってみたい星もある 」となっている詩もありました。
はい。最後にこの詩も引用しておきます(途中端折ります)

        別世界     竹中郁 

    ゆきずりの郵便局の窓口で
    はがきを求める
    一枚七円

    ・・・・・
    ・・・・・

    『 つばめになれ 鳩になれ 』
    一字一字  一行一行
    ただ なんとなしに書く
 
    俗事にかまけたおれの躰から
    俗事一ぱいのおれの脳みそから  
 
    つばめは羽ばたいて立つ
    鳩は羽ばたいて立つ

    ポトリと落しこんだ投函口の奥は暗いが
    そこは果しのない大宇宙
    そこには行ってみたい星もある


  


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