「長谷川町子 思い出記念館」のおしまいには、
ていねいな「長谷川町子年譜」が9ページあり、
それを見ると、1966(昭和41)年~1971年の期間に、
「サンデー毎日」へ「意地悪ばあさん」連載とあります。
その連載中の1970年11月19日
「19日未明に、自宅放火される。
隣の魚屋さんが協力、犯人を逮捕」
と年譜にあります。
はい。この長谷川町子さん宅の『隣の魚屋さん』が気になる。
はたして、「いじわるばあさん」に魚屋さんは登場するのか?
①「魚辰」の看板があり、魚屋さんが店で働きながら、
ばあさんの長男が、でかける後ろ姿をながめている。
②黒猫がきて、魚辰さんの店の魚をくわえる。
口をあけている瞬間の、魚屋さん。
左端には、出かける長男の姿。
③右側から大声『コラッ』。画面下に猫の後ろ半分シッポまで描かれ、
長男は、もっている鞄を落とし、両手で頭と顔をがばっている。
長男『ごめんなさい』
④長男が鞄をもって歩く姿に、大きな吹き出しがあり、
吹き出しの中に、カツオに似た子供が、物差しをかかげた母親に
『コラッ』とおこられている図柄。
そこに長男『コドモのころの条件反射がまだのこってる』
後ろで、目をまるくして、ポカンとした顔の魚屋さんの姿。
( 「いじわるばあさん」第6巻p29 )
年譜にもどって、
1978年58歳 4月『サザエさんうちあけ話』を日曜版に連載(同年11月まで)
1979年 4月『サザエさんうちあけ話』が、『マー姉ちゃん』のタイトル
でNHKテレビ朝の連続ドラマに。小山内美江子脚本。
うん。連載の翌年すぐに、朝ドラがはじまってます。
脚本家・小山内美江子さんの、朝ドラに関する言葉がありました。
はい。その中にも魚屋さんが登場するので引用することに。
「大変だったのは・・ドラマ化の許諾を得るために、
プロデューサーが姉妹社に話を持っていくと出てくるのよ、御大が(笑)
なにしろ社長は毬子さんですからね。
どういうふうにやるんだとかしつこく聞かれた挙句、
原作者と相談しますから今日はおひきとりくださいって。
そして数日後に返事を聞きに伺う。
それでも町子さんには会えません。
その後、毬子さんからお断りの手紙が来て、
諦めきれないプロデューサーがまた長谷川家の門前に立つ。
そうこうしているうちに私ももう間に合わないというタイミング
になってしまって・・言ったんです。
『もうダメ。ここまで引っ張ってもダメなんだから
スムーズにはいかないわよ。でも、あなたが最後の
最後まで粘るなら自分が納得いくまで粘って頂戴』って。
・・・・・・
最後はこんな風にして決まったと聞いています。雨の降る夜中に、
長谷川家の前にその日もプロデューサーが立っていた。
それに気づいた近くの魚屋さんが
『男が家の前に立ってる』って長谷川家に電話で知らせた。
そんなの、気持ち悪いじゃない? そうしたら家の門が開いて、
『そこまでやりたいっていうなら、もう一度話し合いましょう』
と話がまとまった。ですからドラマの中で
その魚屋さんにお礼がしたくて、この話をちょっと拝借した
シーンをつくり、男手のない磯野家をなにかと気遣う
江戸前の男性を前田吟さんに演じてもらいました。」
( p78 「芸術新潮」2016年9月号 )
最後は、魚屋さんといじわるばあさん、
二人して登場する、四コマ漫画を紹介。
①長靴履き『魚』と染め前掛けの親爺さんが、
子供といっしょにキャッチボールをしてる。
子どもが投げたボールがはずれて塀の中へ
②空いた窓から入ったボールが、床に置いてある大皿へと直撃。
ばあさんが、手を激しく振ったしぐさ。
勝手口で頭を下げている魚屋さん。
③ばあさんが仁王立ちして、口から大声になった様子が
放射状に雷線がほうぼうにひろがっているのでわかる。
魚屋さんが土下座して、ふるえている。
④魚屋『ナンダナンダ!こりゃウチんじゃねえか』
皿のかけらを示して、怒っている。
ばあさん『ア、そーか あんたとこのサシミ皿だったネ』
( p88 「いじわるばあさん」第6巻 )
それにしても前田吟さんが演じる、生きのいい江戸っ子の魚屋さんカッコイイですね。
いつの間にか、カムカムの前のマー姉ちゃんまで毎朝しっかり見るようになってしまいました😜
コメントありがとうございます。
小野小町は、能では年取った姿を
題材にされてしまうのですが、
長谷川町子さんは、いじわるばあさんで
年取っても活力をみなぎらせていますね。
はい。となりの前田吟さんがカッコいい。