和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ミラノ。17世紀の混乱。

2020-03-24 | 産経新聞
3月24日産経新聞一面。
右見出しは、「五輪延期 首相が容認」。
そのわきに、「IOC『4週間内に結論』」。

さてっと、一面コラム「産経抄」は
21日悪性リンパ腫で93歳で亡くなった
宮城まり子さんをとりあげておりました。
うん。コラムのはじまりだけ引用(笑)。

「男女間の性の深淵を描き続けた作家、
吉行淳之介さんの全集(新潮社)の最終巻に、
人生のパートナーだった女優の宮城まり子さん
に送った13通の手紙が収録されている。」

うん。これだけじゃ、コラムの魅力を伝えられないなあ。
宮城さんが肢体不自由児療養施設『ねむの木学園』を
設立する際、吉行さんに相談すると

「『3つの約束が守れるなら』とOKが出た。
『愚痴はこぼさない、お金がないと言わない、途中でやめない』
静岡県掛川市にある学園が今年創立52年を迎える。・・・」

はい。産経新聞今日の一面紹介は、ここまで。

気になっていたのが、産経新聞3月19日の文化欄でした。
そこに「コロナ渦中 古典に学ぶ」とありました。

ミラノのボルタ高校の校長は2月下旬、公式サイトで
イタリア文学『いいなづけ』を紹介しているというのでした。
作家アレックサンドロ・マンゾーニ(1785~1873年)が
書いたこの小説には、17世紀のペストの流行に伴い
社会が不安に襲われる様子も描かれ、現代に通じる
描写や教訓が多いと話題に・・・・

ボルダ高校の校長のサイトでの言葉が引用されてます。

「外国人を危険だと思い込むこと、
感染源の(執拗な)捜索、専門家の軽視、
根拠のない噂話、必需品の買いあさり・・・。
(同作に記された)17世紀の混乱は、
まるで今日の新聞のページから飛び出したようだ」。

はい。この本は平川祐弘氏が訳されておりました。
以前、平川祐弘氏の本を、勢いで翻訳本も買っておりました。
それでもって、本棚を探すとある。
厚さ5センチの一冊本が安かった。
古本は、当時函入1000円+送料300円。
2013年に買ったまま本棚に眠っておりました。
とにかく、手元にあった。ある以上は、
紹介しなさいと言われているみたいです(笑)。

題名「いいなづけ」。副題に「17世紀ミラーノの物語」。
目次のあとに、当時の北イタリアの地図と1頁の説明。
その説明の後半を引用してみると

「1629年9月、ドイツ軍はスイスのグリゾン地方から
ヴァルテイㇽリーナを通過、コーリコからミラーノ侯爵領に侵入
・・・・
1629年10月、このドイツ軍南下の直後、ペストがその道筋に
沿って発生し、翌1630年の初めにかけて事態は緩慢に悪化、
5月になって爆発的にひろがる。・・・

なお・・・マンゾーニの国葬にちなんでヴェルディが作曲した
鎮魂曲が有名な『レクイエム』である。」

はい。これは小説なので、私は読みませんが、
幸いなことに、目次には全38章ごとに簡単な説明が
付してあるので、ペストの箇所は簡単に探せました。
目次の31章にはこうあります。
「ペスト。その原因、当初の論争。
ペストをひろめるといわれた『塗屋』。」
以下の数章にわたって、ペストが中心となります。
わたしが案内するのは、この第31章だけ(笑)。
はい。31章のはじまりを引用。

「ドイツ軍の侵入とともにミラーノ領に侵入するのではないか
と衛生局が警戒していたペストは、実際、はいって来た。
 ・・・・・・・
なおここでミラーノ領とはいうもののもっぱらミラーノ市のみを
指している。というのも当時の記録はもっぱら市中のことだけを
記しているからである。理由は善かれ悪しかれさまざまあるが、
こうした事はどこの国でも、いつの時代でも起こりがちなことである。

さてここでの話の狙いは、有体(ありてい)にいえば、ただ単に
われらの作中人物が落ちこんだ事態を描くことにあるのではない。
登場人物の運命についても書くけれども、それとともに限られた
本書の紙面内と筆者の能力内で、有名な割にはその実体が
まだよく知られていないミラーノの郷土の歴史の一齣を
世に知らせたいと思うのである。」

「さて同時代の数多(あまた)の記録を検討してみると、
どれか一つの記録だけでそれで当時の様子が
首尾一貫して明確にわかるというものではない。
しかしどの記録にしても当時の歴史を再構成する上で
なにがしかの貢献をしないものはない。
 ・・・・・・・・・
ところで後代の人士でそうした一連の記録類を吟味照合し、
あのペストの歴史について、事件を追って整然たる通史を
書こうと試みた人はいなかったようである。」

こうして、筆者が以下に、通史を書いてゆくのでした。

はい。これから具体例に分け行ってゆくのですが、
ここまで(笑)。まことに興味深いのですけれど、
「続き希望」が多ければ、そのときあらためて、
当時のミラノのペストを書きこみしたいと思います。
あとは、このブログを読んで下さる方へと一任(笑)。





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