和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

だるまさん だるまさん

2024-11-05 | 詩歌
「日本わらべ歌全集18上」(柳原書店)は「兵庫のわらべ歌」でした。
長めのわらべ歌があるのですが、ここには短かいわらべ歌を並べます。

      だるまさん だるまさん   ( 顔遊び )

  ①  だるまさん だるまさん
  ②  にらみやこ しましょ
  ③  笑ったもんは 負けで
  ➃  笑わんもんが 勝ちで
  ⑤  ウントコドッコイショ
                ( 美方郡温泉町塩山 )p100

注: 各行ごとに、注がありました。

  ①  『 恵比須さんさんと大黒さんと 』とも (伊丹市)

  ②  県下全域で若い人の場合『 にらめっこ 』が多い。
     尼崎市・伊丹市・芦屋市では『 にらみっこ 』。

  ③  姫路市・加古川市・神戸市・伊丹市・
     芦屋市・尼崎市では 『 笑(わろ)たら 』。
     但馬・丹波地方では『 笑(わら)ったら 』。

  ➃  他地域では、この文句はほとんどない。

  ⑤  『 アップップ 』『 エンプラプのプ 』などがある。



夕焼けをとりあげた歌には、こんな説明文がありました。

「   秋の夕焼けは美しく印象的。六甲山をもつ
    摂津から播州にかけて、よくうたわれている。   」


       山焼ける    ( 夕焼け )    ( p146 )

     山焼ける  猪(しし)踊る
     猿が豆食って のどキッキ
                  ( 加古川市加古川町 )



いろいろな『 ねかせ歌 』を読むことができました。
短いけれどひとつだけ選ぶとしたら、これでしょうか。

      ねんねんよ   ( ねかせ歌 )

    ねんねんよ ねんねんよ
    ねんねんよいよい よいよいよ
                  ( 美方郡温泉町桐岡 )p192

はい。この解説が印象に残ります。

「 子守歌の中でも、もっとも素朴で一番子守歌らしいものであろう。
  ただいとし子の安らかなねむりのみを願ってうたう母親にしても、
  いっときも早くねむらせて遊びに出たいと願う守り子にしても、
  その美しい心情がそのまま結晶した歌といってもよく、

  この曲にはほかの歌詞など無用であると主張しているようだ。

  時には『 よいよいよー、よいよいよ、
         よいよいよいよ、よいよいよー 』
  ともうたわれる。                 」(p194)



巻末の、あとがきは長谷坂栄治氏。

「 ・・兵庫県は何といっても広く、地形は複雑、
  文化的にも様相を異にする多くの地域をもっており、
  採集・採譜に長い時間を要することになってしまった。 」(p243)

とあります。最後の長谷坂栄治氏の著者略歴を見ると、
「 昭和9年兵庫県に生まれる。」とあり。
「 兵庫県温泉町立照来中学校教諭 」
この本が出版された昭和62年の時の現住所が
「 兵庫県美方郡温泉町桐岡・・ 」となっております。
その地域の守り子歌の採集が充実しております。
その説明文にも、採集での誠実さが伝わるようです。
長谷坂氏の文を引用。

「  兵庫県北部の但馬地方は、江戸時代から、
   冬季雪のある間出稼ぎに出る者が多かった。
   大和の福貴(ふき)、丹波の山奥へ   
   凍り豆腐(高野豆腐)を作りに出たり、
   灘や伏見など西日本各地へ
   杜氏(とうじ)として酒造りに出かける。

   若い娘や子供たちも例外でなく、娘は女中奉公、
   子供も七、八歳になると男の子は近くの村へ牛飼い奉公に、
   女の子は子守奉公に出て、口減らしをしたという。
   小さい間は近くの村へ、少し大きくなると、
   鳥取や京阪神方面まで子守奉公に出たそうである。  」(p226)


こうして、本の最後の方では「子守歌」が採集されているのですが、
それを読んでいると、積雪の心情が降り積もっているかのようです。



ここは、よくばって最後に引用したいのが、
「 輪遊び 」の歌と、その遊びの場の説明文。



        ひらいたひらいた   ( 輪遊び )

     ひらいたひらいた 何の花がひらいた
     蓮華(れんげ)の花がひらいた
     ひらいたと思ったら いつのまにかすぼんだ

     すぼんだすぼんだ 何の花がすぼんだ
     蓮華の花がすぼんだ
     すぼんだと思ったら いつのまにかひらいた
                    ( 姫路市糸引区伊伝居 )


「 江戸末期の行智編『童謡集』にも類歌を見る古い歌である。
  子供たちが輪になって手をつなぎ、
  『 ひらいたひらいた ・・・ 』で輪を大きくして回り、
  『 いつのまにかすぼんだ 』では真ん中に寄って花の蕾をあらわす。
  二番目ではその反対になる。
  蓮華の花は蓮(はす)の花であるが、地方によって
  『 さくら花 』『 げんげの花 』『 牡丹の花 』
  などとうたうところもある。

 【類歌】
     れんげ れんげ。つゥぼんだ つゥぼんだ。
     やッとことッちや つぼんだ。
     ひらいた ひらいた。
     やッとことッちや ひらいた ひらいた (「童謡集」)

 【参考歌】
     れんげつもか、花つもか、
     今年のれんげは よう咲くれんげ  (神戸市垂水区) 」
                          ( p134 )

   
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