映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ザ・ファイター

2011-10-30 19:06:05 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
ザ・ファイターを見ました。これは面白い。
「英国王のスピーチ」とは打って変わった社会の底辺を描いた作品だ。よかった。製作にも加わり主演をつとめたマーク・ウォールバーグは映画に打ち込んでいた。それにも増して、いつも端正な姿を見せるクリスチャンベールにはあっと驚いた。一見して誰かわからない。徹底的に役作りにこだわった。その怪演ぶりはクリスチャンベール扮するバットマンのライバル役故ヒースレジャーもびっくりするであろう。


マサチューセッツ州の労働者の街ローウェルにプロボクサーの兄弟がいた。兄のディッキーことクリスチャン・ベールは、以前は実力派ボクサーとして活躍していた。しかし、傲慢で欲望に弱く、麻薬に溺れていた。一方、父親違いの弟ミッキーことマーク・ウォールバーグは、兄からボクシングを教わりプロとなった。兄とマネージャー役の母ことメリッサ・レオの言いなりで、階級上のボクサーと戦わされたり、不利なカードで負けが続いていた。
ある日、マークはバーで働くシャーリーンことエイミー・アダムスと出会う。気の強いエイミーと相性が合った。大学でスポーツを専攻したという若者は周辺にはめずらしい存在だ。二人の関係は始まった。そんな中、クリスチャンベールは不良仲間と悪さをしつくしていた。結局窃盗の現行犯で逮捕され実刑となった。兄弟2人の父は別のトレーナーに話をつけた。スポーツ経験のあるエイミーの献身的なサポート、新トレーナーの訓練メニュー、そしてマークをスターボクサーにするための対戦カードが功を奏した。あれよあれよという間の連勝が始まったが。。。。


どんよりとしたムードで始まる。ボクシングを扱った名画はみんな同じだ。
「レイジングブル」「ロッキー」「ミリオンダラーベイビー」どれもスタートから30分の暗さは一緒で、どの映画も社会の底辺をもがいている連中を描く。ハングリースポーツであるボクシング映画には共通するところだ。ここでもマークウォールバーグは何度もドツボに落ちている。しかも兄クリスチャンベールのやることはめちゃくちゃだ。例にもれずに地に落とす。そこから這い上がらせる。みていてすがすがしい時間である。前述の映画にも同様の活躍パターンがある。「水戸黄門」的ワンパターンであるが、それはそれでいい。そこからが見せどころである。ここでも紆余屈折をつくる。

アカデミー賞でクリスチャンベールが助演男優賞、メリッサレオが助演女優賞を受賞するなど、2010年度の各映画賞をとりまくった。「英国王のスピーチ」のジェフリーラッシュも素晴らしい。でもこの映画のクリスチャンベールを見るとジェフリーラッシュが不運だと思うしかない。ボクシング映画には猛獣のようなボクサーが出てくることが多い。当然主人公である。「レイジングブル」でのデニーロがいい例だ。ここでの主人公マークウォールバークは相対的に静かだ。暴れまわり方が少ない。兄が猛獣なので弟を冷静に見せる。そういう構図だけにクリスチャンベールがなおさら目立つ。極端な減量を経ての登場はプロの仕事だと思う。


「フローズンリバー」の主演でもメリッサレオは社会の底辺をさまよう女を上手に演じた。ここではパワーアップしている。じゃじゃ馬女で自分勝手だ。主人公をバックアップする立場なのに逆に足を引っ張る。こんな女の人は割と世の中にいるかもしれない。彼女に加えて一緒になって足を引っ張る小姑たちがいっぱいいる。これもスパイスのように映画にきいている。
エイミーアダムスもマンハッタンのキャリア女性を演じているときとはちがう。妙にエネルギッシュに見えるところがいい。彼女の存在もこの映画には欠かせない。

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