映画とライフデザイン

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英国王のスピーチ  コリンファース

2011-10-27 05:30:43 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
「英国王のスピーチ」を見た。オスカー受賞にふさわしいすばらしい作品である。
現在のエリザベス女王の父親にあたる英国王ジョージ6世吃音を克服しようと奮闘する姿を描く。英国王室の「王冠をかけた恋」というのはあまりにも有名だ。しかし、その弟が吃音に悩んでいた事実は知らなかった。兄のエドワードがあっさり王位を捨て離婚経験者の女性の元に行き、予期せぬ王位継承を受ける。スピーチが苦手な彼が苦悩する姿をコリンファースが見事に演じる。矯正をするジェフリーラッシュも実にすばらしい。2人のダイアログを中心に現代英国史の裏側を語っていく。



英国王ジョージ5世の次男であるヨーク公アルバート王子ことコリン・ファースは、幼い頃から吃音というコンプレックスを抱えていた。人前に出ることを嫌う内気な性格であった。それでも美しい妃殿下と2人の娘に恵まれていた。
王ジョージ5世は様々な式典のスピーチを主人公に容赦なく命じる。言語矯正のため主人公は妻のエリザベスことヘレナ・ボナム=カーターに付き添われて、何人もの言語聴覚士を訪ねる。いずれも効果がない。ある日、エリザベスはスピーチ矯正の専門家ライオネルことジェフリー・ラッシュのもとを訪れる。何かが違うと感じたエリザベスは主人公を連れていく。

ライオネルはここでは私たちは平等だと宣言して王太子を愛称で呼ぶ。さらに、大音量の音楽が流れるヘッドホンをつけ、シェイクスピアを朗読するという奇妙な実験を行う。この治療は自分には合わないと告げ去る。しかし、ライオネルに渡された朗読の録音レコードを聞いて驚く。音楽で聞こえなかった自分の声が滑らかなのだ。再びライオネルを訪ねた。
1936年ジョージ5世が亡くなり皇太子である長男のエドワード8世ことガイ・ピアースが即位する。エドワードはアメリカ人で離婚暦のあるウォリス・シンプソンと交際していた。英国国教会はじめ周辺からは、王位か恋かの選択を迫られる。兄は恋を選び弟が王位を継承することに決まる。しかし、苦手のスピーチが待っていたが。。。

まずはコリンファース、ジェフリーラッシュのベテラン2人の演技を称賛したい。脚本もよく実に味のある会話である。じわりじわりと深みを帯びていく。そのまわりを包むのはやさしいクラッシック音楽である。見ていて快適な時間だった。特にジェフリーラッシュの巧妙な演技はオスカー助演男優賞をもらってもおかしくないすばらしい演技だ。円熟の演技といえよう。

主人公の兄の王冠をかけた恋というのは有名だ。その昔昭和天皇が欧州訪問に出た時、ウィンザー公ことエドワードに会っていたのが思い出される。その時にはもう少しロマンティックな話に聞こえた記憶がある。でもここで語られるのは王位を捨てざるを得ない数々の状況だ。古くは16世紀前半のヘンリ8世ローマ教皇から離婚問題を異端とされ、英国国教会を作ったのは有名な事実だ。でも離婚した女性を嫁にもらうのはどうかという話だ。チャールズ皇太子妃も完全な王妃にはなれないと言われている。

乳母たちが兄のエドワードばかりかわいがって弟がストレスになった話は興味深い。いろんな状況が重なって吃音になってしまったことが語られる。即位当時は世界の4分の1は大英帝国が支配していたとされる時期だ。その栄光ある英国史の裏側にあるいくつかの事実がおもしろい。


ネタばれスレスレであるが、最後のスピーチで気になったことが2つある。
まずはバックの音楽にベートーベンの交響曲7番を選んだことだ。ドイツとの戦いに向けてのスピーチ場面のバックミュージックにこの曲を選んだのはどうしてだろうか?たしかに雰囲気にあっているのだが、自分には若干奇妙に感じられた。

そして、国民に向けてのスピーチの最後に「WE SHALL PREVAIL」と述べて終える。訳は「我々は勝利する」と示される。うーんとうなった。prevailという単語は学生時代から「流行する」という意味でおぼえてきた。一瞬あれと思ったけれど、辞書を引くと確かに勝利すると書いてある。shallを使うのはなんとなく高尚な感じがする。prevailというのも一歩上の感じがする。格調高いスピーチに使われる英単語というのは違うんだなと感じた。


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