前日カモシカ山行により姫池を目指したが、雷雲が頭上をおおい、夜9時半に登るのをあきらめて登山道上にツエルトを張ってビバークすることとなった。未明3時に起き出すと、空には一面の星空が広がる。3時半からまた星空を撮影しながら山頂目指して歩き始め、姫池の手前、標高2,000mを越えたあたりの池ノ山山頂直下で夜明けを迎えた。
朝日射すハイマツと平ヶ岳
姫池と休憩所(テント場として使用可能)。左が平ヶ岳。
急登を20分ほど登ると池ノ岳山頂に到着し、すぐ先に姫池があった。それまでの樹林帯の光景とは違って展望が大きく開け、別世界にでも入り込んだかのような気分になる。なんと静かで美しいところだろうか。標高2,100mもの高地、しかも山上にこんな澄んだ池があり、広大な湿原が広がっていること自体が不思議でならない。
姫池池塘越しの平ヶ岳
広大な高層湿原
綿毛になったチングルマ
三脚を担いだままこの素晴らしい景色を楽しみながら、整備された木道の上をゆっくりと山頂に向かって歩く。長い距離を歩いてきた疲れを忘れさせてしまうような美しい景色だ。
山頂に向かって延びる木道と広大な湿原。
三角点は手前の木に囲まれたところに立つ。
山頂の池塘と八海山、中ノ岳、越後駒ケ岳(左から順)
至仏山と武尊山、さらにその右には・・・
至仏山、武尊山、そして富士山まで見える。
景色を楽しみながら山頂で朝食をとっていると、テント泊の人たちがやって来て、「あそこに富士山が見える」と教えてくれた。近眼の私には最初はどこだかわからなかったが、レンズを通してズームをかけると、確かに富士山だ。この時期にこんなに空気が澄んで遠くまで見える日は珍しい。
「この先通行止め」の標柱の先に行く踏み跡あり、立ち寄らせていただいた。100mほど進んだところで今度は群馬県と新潟県の2本の標柱がありそこにはこの先立ち入りご遠慮くださいと書かれていた。その先は地図上では藤原山、大水上山を経て中ノ岳、越後駒ケ岳に至る尾根だが、通行禁止になっている。
山頂の突き辺りには「この先通行止め」の標柱が立つ。先に続く踏み跡がありその先まで行ってみると・・・
「植生復元事業実施中 この先立ち入りご遠慮ください。群馬県」の標柱があり、ここで引き返す。
昭文社の地図には平ヶ岳周辺はテント禁止のため早立ちして日帰りするように書かれている。しかし、鷹ノ巣登山口から往復21㎞の距離を日帰りするのは容易なことではない。公にはテント禁止ではあるのだが、三角点付近にある看板を見てみると、「指定地以外でテントを張らないでください」と書かれている。その指定地とは、姫池周辺の休憩所、もうひとつがこの看板のところにある板場なのだろう。非公認ではあろうが、長距離の山行に配慮してテントが張れるように配慮してくれているようだ。
三角点付近に立つ看板。注意の「3.指定地以外でテントを張らないでください。」と書かれている。テントは絶対禁止ではないようだ。
看板付近にあるテント場(と思わしき場所)。
朝8時になると、山頂に続々と登山者がやって来た。こんな早い時間にどうやって登って来られるのか不思議だった。途中ですれ違った若者に尋ねると、朝5時半から登り始めたという。2時間半で登頂・・・鷹ノ巣登山口からではあり得ない時間だ。たまご石に向って歩いて行くとそちら側から続々と登山者がやって来る。これはどうやら裏側の林道の詰めから登って来る人たちらしい。一般車は通行止めでツアーの送迎車が入っているとの話は聞いたことがある。休憩中の方に聞いてみると、銀山平の山小屋に宿泊するとバスで1時間かけて林道詰めまで送ってくれるのだそうだ。本日は3台の送迎バスが出たとも言っていた。
たまご石への分岐。ここから700m、されど700m。
オヤマリンドウがたくさん生えているが、好天のこの日も花は開いていない。めったに開花しないこの花。
たまご石近くの大きな池塘
あの林の先にたまご石がある。
ようやく到着、たまご石。
アップで見ると人の顔のようにも見える。山上の天然スフィンクス。
戻りながら見る平ヶ岳と燧ケ岳
たまご石はすぐ近くにあるのかと思っていたが、1㎞弱離れており、20分ほどで到着したものの、かなり遠く感じた。9時半に姫池テント場(休憩所)に戻ると、林道側から登って来た人たちがたくさん休憩してごったがえしていた。この頃には足の速い鷹ノ巣側からの登山者も登って来ていた。小休憩後、この素晴らしい景色に別れを告げて長い道のりを下山開始する。
姫池と平ヶ岳。この美しい景色に別れを告げ、下山開始。
昼12時を過ぎた頃から3日間の寝不足の疲れが一気に出始める。とにかく眠い、立ち上がるとクラっとする。水分を十分にとりながら休憩をとりつつ歩くが、全くピッチ上がらず、体の疲れよりも眠気との戦いとなる。山頂の水場で水は1500ml(手持ちと合わせて2L)十分に汲んできたが、台倉清水の水場でさらに500ml汲み、クラクラする頭と足元のスリップに十分注意しながら細尾根を下りる。(なお、登りの際に2ケ所の水場は枯れていて使えないと聞いていたが、台倉清水は流れてはいないものの、えぐれて盆状になった岩の中に周辺からしみ出た水がたまっており、そこから汲むことができた。)午後3時40分、ようやく鷹ノ巣の駐車場に到着した。
車の中で一寝入りしようと思って車の窓を開けたまま横になったところ、あっという間に蚊の大群に襲われ足は虫刺されだらけとなる。とてもここでは寝られず、檜枝岐の小尾瀬公園まで行って1時間ほど寝る。駒の湯という日帰り温泉で汗を流した後、西那須野インターに向かうがやはり眠く道の駅で2時間ほど睡眠。さらに高速に乗り、栃木県佐野サービスエリアで食事後、今度は爆睡、気が付けば朝の6時、もうすっかり夜が明けていた。甲府到着9時30分、その日は自宅でひたすら寝た。
登山口までのアプローチも、そして山頂までの距離も遠い平ヶ岳。念願の山にようやく登ることができた。確かに日帰りでは大変だが、テント1泊となると夜叉神峠から登る鳳凰山と同程度(あるいはもう少し軽い)山といった感じだった。山上の池塘が広がる景色はこの世のものとは思えぬほど美しく、苦労して登るに十分値する山である。銀山平山小屋泊で送迎バス利用するのも手軽で良いと思うが、聞くところによると相当人気が高く、年内はもう予約がいっぱいだと聞いた。次に行く機会があれば、今度こそ池塘に映る天の川を撮影してみたいものだ。
朝日射すハイマツと平ヶ岳
姫池と休憩所(テント場として使用可能)。左が平ヶ岳。
急登を20分ほど登ると池ノ岳山頂に到着し、すぐ先に姫池があった。それまでの樹林帯の光景とは違って展望が大きく開け、別世界にでも入り込んだかのような気分になる。なんと静かで美しいところだろうか。標高2,100mもの高地、しかも山上にこんな澄んだ池があり、広大な湿原が広がっていること自体が不思議でならない。
姫池池塘越しの平ヶ岳
広大な高層湿原
綿毛になったチングルマ
三脚を担いだままこの素晴らしい景色を楽しみながら、整備された木道の上をゆっくりと山頂に向かって歩く。長い距離を歩いてきた疲れを忘れさせてしまうような美しい景色だ。
山頂に向かって延びる木道と広大な湿原。
三角点は手前の木に囲まれたところに立つ。
山頂の池塘と八海山、中ノ岳、越後駒ケ岳(左から順)
至仏山と武尊山、さらにその右には・・・
至仏山、武尊山、そして富士山まで見える。
景色を楽しみながら山頂で朝食をとっていると、テント泊の人たちがやって来て、「あそこに富士山が見える」と教えてくれた。近眼の私には最初はどこだかわからなかったが、レンズを通してズームをかけると、確かに富士山だ。この時期にこんなに空気が澄んで遠くまで見える日は珍しい。
「この先通行止め」の標柱の先に行く踏み跡あり、立ち寄らせていただいた。100mほど進んだところで今度は群馬県と新潟県の2本の標柱がありそこにはこの先立ち入りご遠慮くださいと書かれていた。その先は地図上では藤原山、大水上山を経て中ノ岳、越後駒ケ岳に至る尾根だが、通行禁止になっている。
山頂の突き辺りには「この先通行止め」の標柱が立つ。先に続く踏み跡がありその先まで行ってみると・・・
「植生復元事業実施中 この先立ち入りご遠慮ください。群馬県」の標柱があり、ここで引き返す。
昭文社の地図には平ヶ岳周辺はテント禁止のため早立ちして日帰りするように書かれている。しかし、鷹ノ巣登山口から往復21㎞の距離を日帰りするのは容易なことではない。公にはテント禁止ではあるのだが、三角点付近にある看板を見てみると、「指定地以外でテントを張らないでください」と書かれている。その指定地とは、姫池周辺の休憩所、もうひとつがこの看板のところにある板場なのだろう。非公認ではあろうが、長距離の山行に配慮してテントが張れるように配慮してくれているようだ。
三角点付近に立つ看板。注意の「3.指定地以外でテントを張らないでください。」と書かれている。テントは絶対禁止ではないようだ。
看板付近にあるテント場(と思わしき場所)。
朝8時になると、山頂に続々と登山者がやって来た。こんな早い時間にどうやって登って来られるのか不思議だった。途中ですれ違った若者に尋ねると、朝5時半から登り始めたという。2時間半で登頂・・・鷹ノ巣登山口からではあり得ない時間だ。たまご石に向って歩いて行くとそちら側から続々と登山者がやって来る。これはどうやら裏側の林道の詰めから登って来る人たちらしい。一般車は通行止めでツアーの送迎車が入っているとの話は聞いたことがある。休憩中の方に聞いてみると、銀山平の山小屋に宿泊するとバスで1時間かけて林道詰めまで送ってくれるのだそうだ。本日は3台の送迎バスが出たとも言っていた。
たまご石への分岐。ここから700m、されど700m。
オヤマリンドウがたくさん生えているが、好天のこの日も花は開いていない。めったに開花しないこの花。
たまご石近くの大きな池塘
あの林の先にたまご石がある。
ようやく到着、たまご石。
アップで見ると人の顔のようにも見える。山上の天然スフィンクス。
戻りながら見る平ヶ岳と燧ケ岳
たまご石はすぐ近くにあるのかと思っていたが、1㎞弱離れており、20分ほどで到着したものの、かなり遠く感じた。9時半に姫池テント場(休憩所)に戻ると、林道側から登って来た人たちがたくさん休憩してごったがえしていた。この頃には足の速い鷹ノ巣側からの登山者も登って来ていた。小休憩後、この素晴らしい景色に別れを告げて長い道のりを下山開始する。
姫池と平ヶ岳。この美しい景色に別れを告げ、下山開始。
昼12時を過ぎた頃から3日間の寝不足の疲れが一気に出始める。とにかく眠い、立ち上がるとクラっとする。水分を十分にとりながら休憩をとりつつ歩くが、全くピッチ上がらず、体の疲れよりも眠気との戦いとなる。山頂の水場で水は1500ml(手持ちと合わせて2L)十分に汲んできたが、台倉清水の水場でさらに500ml汲み、クラクラする頭と足元のスリップに十分注意しながら細尾根を下りる。(なお、登りの際に2ケ所の水場は枯れていて使えないと聞いていたが、台倉清水は流れてはいないものの、えぐれて盆状になった岩の中に周辺からしみ出た水がたまっており、そこから汲むことができた。)午後3時40分、ようやく鷹ノ巣の駐車場に到着した。
車の中で一寝入りしようと思って車の窓を開けたまま横になったところ、あっという間に蚊の大群に襲われ足は虫刺されだらけとなる。とてもここでは寝られず、檜枝岐の小尾瀬公園まで行って1時間ほど寝る。駒の湯という日帰り温泉で汗を流した後、西那須野インターに向かうがやはり眠く道の駅で2時間ほど睡眠。さらに高速に乗り、栃木県佐野サービスエリアで食事後、今度は爆睡、気が付けば朝の6時、もうすっかり夜が明けていた。甲府到着9時30分、その日は自宅でひたすら寝た。
登山口までのアプローチも、そして山頂までの距離も遠い平ヶ岳。念願の山にようやく登ることができた。確かに日帰りでは大変だが、テント1泊となると夜叉神峠から登る鳳凰山と同程度(あるいはもう少し軽い)山といった感じだった。山上の池塘が広がる景色はこの世のものとは思えぬほど美しく、苦労して登るに十分値する山である。銀山平山小屋泊で送迎バス利用するのも手軽で良いと思うが、聞くところによると相当人気が高く、年内はもう予約がいっぱいだと聞いた。次に行く機会があれば、今度こそ池塘に映る天の川を撮影してみたいものだ。