山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

新道峠

2013年02月18日 | 番外編
 某所から、新道峠の宣伝用ポスターを作りたいので画像は無いかと相談を受けた。ここは車で駐車場まで乗り付けると15分ほどで行けるお手軽な場所なので、大きなカメラと三脚を持って、場合によっては徹夜で一晩中撮影を行っている人もいるほど有名な撮影場所だ。良い画像を持っている人はたくさんいるはずだ。しかし、私にとっての新道峠は黒岳に登るための単なる通過点。展望が良いので何カットか撮影はするものの、ここでじっくり撮影したことはほとんど無い。山に登る人は山の上から撮るべき、と思っているので、この場所は年をとって山に登れなくなった時のためにあえて腰を据えて撮らないようにしていた。
 しかし、依頼があったので改めて以前に撮った画像を集めてみることにした。こんな画像でポスターに採用してもらえるのかどうかはわからないが、ひょっとしたらどこかでこの中の画像を見かけることがあるかもしれない。


    薄明の河口湖と富士(平成21年3月)


    朝焼けの富士(同上)


    夜明けの富士と河口湖(同上)

 まだ林道が閉鎖されている3月中旬、月と一緒に富士山を撮ろうとしたのだが、予想したよりも月の位置が西側で、しかも凍りついた林道を歩くのに想定外に時間がかかった。予定時間より30分遅れたため、月の入った画像はいまひとつになってしまった。先客が一人。「ここはいつ雲海になってくれるんですかね~。」などと会話を交わしながら、夜明けまでここで撮影した後、黒岳に登った。この日は空気が澄んで風も無く穏やかな日で、山頂からの富士山も絶景だった。その時撮影した黒岳山頂からの朝富士は放送大学のカレンダーに採用された。



    雲霞に浮かぶ月光富士(平成22年11月)


    雲海に浮かぶ朝富士(同上)

 満月に近い明るい月が昇った夜だったが、空は霞んで月は見えなかった。駅前の飲食店で夜の12時ごろまでお茶を飲んで遊んでいたが、外に出ると月が見え始めていた。三つ峠のライブカメラで富士山を見ると・・・雲海の上に姿を現し始めている。これは行くしかないだろうということで、車に積んであった登山着に着替えてさっそく出発する。未明2時に新道峠に登ると、河口湖を覆う雲海の上に月光に照らされた富士山が浮かんでいた。その上にはおおいぬ座シリウスが輝く。先客は3人ほど、おそらくはこの夜は徹夜で撮影に没頭したことだろう。新道峠のシンボルとも言える木を前景に配して10カットほど撮影させていただき、月の照らす登山道を黒岳に登った。この時の雲海が今までで最高のものだった。「雲海に浮かぶ朝富士」は下山際に新道峠付近で撮影したもの。まだたくさんカメラマンが新道峠で撮影しており、邪魔しないように手持ちで撮影。こんな機会が来るのであればきっちり三脚を立てて撮影すべきだったとやや反省している。



    盛夏、新道峠の富士(平成21年8月)

 比較的天候が良かったお盆ごろの富士山。富士登山者のハイシーズンなだけに、きっと照明光跡が見えるだろうと夕暮れの黒岳を目指して登った途中で撮影したもの。新道峠のこの岩は絶好の展望台になっており、左の木が新道峠シンボルツリーだ。山梨放送のテレビ取材を受けた時に撮影場所となったのがこの岩の上だった。



    夕暮れの富士(平成22年10月)


    同上(同上)

 紅葉を求めて釈迦ヶ岳に登ったが、この年の紅葉はいまひとつであまり良い景色とはならず、ならば夜富士でもと考えて夕方から黒岳を目指して登った時に撮影したもの。霞の上に富士山が顔を出してくれて、それなりに良い夕景ではあったが、空が霞んでいて星が映らず、山頂からの夕景富士は全く面白みの無い画像になってしまった。


 河口湖を眼下に望む新道峠は登山者ならずとも簡単に行ける絶景地である。富士山世界遺産登録とからめて、ここを観光開発の目玉にしようという動きがあるらしい。峠が荒れて自然が破壊されてしまうのはあまり好ましいとは思わないが、できるだけ自然な形でこの峠の景色を楽しんでいただけたらと願う。
コメント (2)
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