山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士山頂に沈む地球照の月 石割山  平成25年11月6日

2013年11月10日 | 山梨百名山
 月齢3の月が南西の空に沈むこの日、石割山に登るとちょうど富士山頂の右隅に月が沈むはずだ。仕事が早く終われば行きたいと思っていたところ、午後1時には片付いた。Uさんに電話すると文化洞トンネルから入山して十二ヶ岳と鬼ヶ岳を越え、もうすぐ根場に下山するところだそうだ。バスで文化洞トンネルまで戻る予定だそうだが、石割山に誘うと行くとの事なので、根場の駐車場でUさんを拾って石割山に行くことにした。石割神社からでもなんとか間に合いそうな時間ではあるが、日没に間に合わせるために最短距離の二十曲峠から登ることにする。こちらからならば山頂まで1時間とかからない。

 ところが、二十曲峠の林道を進むと、2.6㎞手前で工事のため通行止めの看板が立っていた。住居のある方のみ通行可で観光や写真目的では通行できない。ならば・・・30分ほど余計に時間がかかってしまうが、林道を歩くことにする。午後3時40分、出発。黙々と林道を歩き、4時20分に二十曲峠に到着した。ちょうど富士山の裾に陽が沈んで行くところだった。

    通行止めになっている林道


    もうすぐ二十曲峠。影が長く伸びる。


    二十曲峠到着。富士の裾野に夕陽が沈んで行く。


    同上


    日没後の夕焼け

 二十曲峠は写真家たちの大勢集う場所で、バイオトイレが新しく設置されたばかりだ。水場もあったのだが、現在水は止められていた。既に日が沈んでしまったので、30分もすれば月が輝き出す。トイレ休憩後、急いで山頂に向かう。一度休憩を入れたが40分ほどで山頂に到着した。時間は5時10分。まだ夕焼けの空が残っている。そして、雲の切れ間から三日月が姿を現す。

    向こう側に見える鉄塔が山頂。もう少し。


    石割山から見る夕暮れの富士山。雲間から月と金星が姿を現す。


    その後富士山は雲に巻かれて姿を消してしまう。

 肉眼で見ると三日月だが、カメラで捉えるとある一時だけ月の欠けている部分が白く写ることがある。これは地球照という現象で、地球の反射で照らされた月の欠けた部分がカメラでは写し出される現象である。露出を明るくするとこの地球照の部分も白くなってしまうため、富士山と一緒に撮れるのは夕暮れのほんの30分ほどである。雲隠れしてしまった富士山だが、再び姿を現すのを信じてシャッターを切り続ける。

    雲間から再び姿を現した富士山


    そして再び雲の中。露出オーバーだと地球照は白くなってしまう。


    富士に輝く月と金星

 富士山頂付近に月が近付いたところでレンズを70-300㎜ズームレンズに変えて山頂の部分だけを狙う。しかしこのレンズは性能が悪く、月の反射のゴーストが出てしまう。こんな時は月の明るい部分をど真ん中に持ってくると比較的抑制できる。

    ズームレンズで捉えた月光照の月と富士山。しかし、ゴーストが出てしまっている。


    月を真ん中の構図に、さらにうっすら雲がかかってゴーストが抑制された。


    富士山頂に沈みかけた月


    半分ほど沈む


    地球照の部分だけ見える


    月が沈んだ後、雲が輝く。

 頭上には白鳥座と夏の大三角形、それを貫く天の川が昇っていた。富士山の左側、金星の少し左あたりを夏の天の川が流れているはずなので狙ったが、霞と街灯りで天の川は写らなかった。これにて本日は終了、ヘッドライト点灯して夜道を下山した。


    雲巻く富士山。天の川は写らず。飛行機が頻繁に飛び交う。


    雲巻く富士山と金星


 地球照の月を撮るには月齢3の月(三日月)が最も適していると思うが、季節によって、また月の軌道によって日没時間と月の見え方が違ってくるため、富士山と地球照の月を同時に写し込むには綿密な計算が必要である。今回は若干月没が遅いだろうと思っていたのだが予想通り、富士山は暗くなってしまった。その差は約15分。なかなか思い通りには撮らせてくれない。


コメント (6)
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紅葉の丹沢 檜洞丸から蛭ヶ岳へ(2日目)  平成25年11月3日

2013年11月10日 | 番外編
 未明4時から檜洞丸山頂に行き、朝の6時を回る時間まで富士山に朝日が射し込むのを待ったが、残念ながら陽は差さなかった。6時15分ごろに青ヶ岳山荘に戻ると、宿泊客の大部分はもう出発した後だった。パンで軽く朝食を済ませ出発する。本日は蛭ヶ岳を越えて姫次、袖平山を経て神ノ川に下山するややロングコースだ。

 蛭ヶ岳はすぐそこに見えるのだが、急下りの後にいくつかピークを越えて行かなければならない。距離にして4.6㎞、コースタイム3時間ほどだ。さほどたいしたことはないコース・・・のはずだった。


    青ヶ岳山荘から見る蛭ヶ岳(左)


    階段激下り


    紅葉の向こうに見える蛭ヶ岳


    下ってまた階段の登り


    前方に立ちはだかるのは臼ヶ岳(ぶながたけ)

 丹沢の道は良く整備されていて、道標がしっかりと付いており道も明瞭、急傾斜には階段やハシゴ、鎖がしっかりと備わっている。しかし、このコースの良さがかえって仇になってしまったようで、歩幅を狭くしてピッチを落として歩く私にはこの階段のステップ幅は緩傾斜、急傾斜にかかわらず相当な足への負担となり、寝不足も相まって臼ヶ岳への登りの階段ですっかり体力を消耗してしまった。それでもなお、折角の紅葉と富士山が姿を現しているこの素晴らしい景色、三脚を出して撮影せずにはいられない。


    臼ヶ岳中腹から見る富士山と檜洞丸


    臼ヶ岳山頂への階段。傾斜は緩いが体力は相当消耗した。


    臼ヶ岳山頂の道標。実際にはここを右側に少し行ったところのほうが高く、そちらで写真を撮る。


    臼ヶ岳山頂から見る檜洞丸の山並と富士山


    臼ヶ岳から見る富士山


    これから登る蛭ヶ岳

 9時、臼ヶ岳を出発。この先が蛭ヶ岳への急登となる。鎖が連続する急斜面だ。階段で体力消耗し、いつになく息があがる。しかし、高度を増すごとに位置を変えて檜洞丸の上に並ぶ富士山の眺望は素晴らしく、振り返っては写真を撮りつつ山頂を目指す。傾斜が緩くなったところで最後の階段が待っていた。またまた息が上がってヘトヘトになり、10時40分、コースタイムより1時間ほど遅れてようやく蛭ヶ岳山頂に到着した。


    眼前に迫る蛭ヶ岳


    鎖場


    鎖場の連続。


    振り返って見る紅葉の稜線と富士山


    檜洞丸と並ぶ富士山


    見上げる紅葉の蛭ヶ岳


    檜洞丸と富士山


    神ノ川側の紅葉の谷。真ん中に見える山は大室山。


    ユーシン側の谷の紅葉。向こうにうっすらと見えるのは箱根の山々。


    山頂裏側から見る檜洞丸の上に立つ富士山

 山頂はまずまずの混雑だったが、休憩テーブルを確保でき、昼食となる。水5リットルを担ぎ上げてくれたUさんに水を分けてもらい、ラーメンを作って食べる。そして、山頂の神奈川県最高峰の標柱を挟んで、富士山をバックに記念撮影する。


    神奈川県最高峰で記念撮影

 11時半、蛭ヶ岳山頂を出発し、姫次に向かう。5年ほど前にもこのルートを歩いているが、その時は姫次側の階段は壊れていて歩きにくい個所がいくつかあった記憶がある。しかし今回はすっかり綺麗に修理されていて、延々と階段道が続く。相当な費用をかけて造ったであろうこの階段と木道、登山者の安全を確保することもあるが、もうひとつは登山によって道が荒れて植生が変化してしまうことを防ぐ目的があることを途中の看板に書かれていた注意書きで知った。確かにこの方法ならば道がえぐれて幅が広がってしまうことや、側副ルートが出来て山が荒れてしまうことは防ぐことができる。階段登りは大変だが、山を守り自然を守るためには辛抱しなければならない。それよりも、自分自身の体力をつけなければならないことを痛感した。


    姫次側の階段道


    樹林帯の中も階段が続く。


    途中から見る檜洞丸と富士山。今度は檜洞丸の右手に富士山。


    見上げるモミジとカラマツの紅葉。


    原小屋平。前回は雷で停滞しここまでしか来れず、ここでテント泊ビバーク。向こうに下りると水場がある。


    姫次手前から見下ろす谷の紅葉と富士山。犬越路の向こうに富士山が見える。


    姫次。休憩ベンチがあり、カラマツの紅葉が美しい。


    姫次から見る富士山

 午後1時20分、姫次到着。ベンチはいっぱいなので写真だけ撮って袖平山に向かう。神ノ川側に下りる人は少なく、袖平山の休憩ベンチはおそらく独占できる。30分ほどで袖平山に到着し、やはり誰もいない。休憩後、いよいよ最後の神ノ川への下りとなる。ところどころ急傾斜の通過しにくい場所があった記憶がある。


    休憩ベンチのある袖平山。山頂はカラマツ林を少し登ったところだが、まだ行ったことは無い。


    袖平山裏側から見る紅葉の尾根と富士山。これから下山する尾根で、先に見えるピークが風巻きの頭。


    風巻きの頭の休憩所。ここへの登り返しがちょっときつい。


    風巻きの頭から急傾斜500mを下りると橋に出る。これを渡って林道に至る。


    林道にようやく到着。正面に見えるのが風巻きの頭。

 鎖の付いた崖のような急傾斜を下った記憶があったが、ルートが変わったのか、傾斜がきついところはあるものの、ロープや鎖場は無く普通の道だった。樹林帯の中の単調な道、紅葉は美しかったが他にあまり見るものは無かった。4時15分、林道に到着、ヘッドライト点灯ギリギリの4時40分、駐車場に到着した。かなり疲れたが、1日中富士山を見ながら歩くことができた、ラッキーな1日だった。


 道が良く整備されているというイメージの強い丹沢、まさに良く整備されたルートだったが、思ったよりもアップダウンが激しく、鎖場やハシゴ場が多数あった。階段は疲れるが、何よりも自分自身の体力の無さを痛感した。
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