山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

おとめ座スピカとアイソン彗星を追って 未明の朝霧高原  平成25年11月19日

2013年11月19日 | 番外編
 光度を少しずつ上げてきたアイソン彗星だが,明るい月の影響でしばらくは観察しにくい期間が続く.しかし,11月18日,19日とおとめ座スピカの近くを飛ぶアイソン彗星は是非ともカメラに収めておきたい.特に18日はしし座流星群の極大直後であり,流星群とスピカ,彗星の3つが同時に楽しめる極上の日だ.

 ということでアイソン彗星とスピカの軌道を綿密に計算し,富士山の中腹から昇って山頂で薄明を迎えそうな場所をシュミレーションすると,朝霧高原道の駅の山梨県側に寄ったところが良さそうだ.11月18日、眠い目をこすりながら未明3時に起床し朝霧高原に向かう.ところが,精進湖トンネルを抜けたところで見る富士山は・・・見えない.月明かりに照らされて美しい三角錐が見えるはずだったのだが,薄白く見えるのは雲がかかっているということなのだろうか.とりあえずは予定地まで行って星空撮影の設定でシャッターを切ると・・・完全に雲に巻かれている.時折雪の積もった山腹が写るが,山頂は全く姿を現さずスピカも見えない.朝6時前にあきらめて撤退する.

   11月18日の朝霧高原の様子.富士山は姿を見せず,まさに朝霧.左上の星は牛飼い座アルクトゥールス.

 懲りずに翌日も2時半に起床する.昨日の失敗を踏まえてまずはネットで富士山ライブカメラをチェックすると,三ツ峠,本栖湖とも月光に照らされた富士山がバッチリと見えている.2日連続はさらに眠いがこれは行くしかないだろう.少し早く到着したので,まずは精進湖湖畔に立ち寄る.車が10台ほど止まっており,皆富士山の裾野から昇る朝日を待っているようだ.風が少なく,幻想的な月光ダブル富士山が撮れた.

    精進湖の月光ダブル富士山

 朝霧高原の撮影予定地に移動する.空には北斗七星と牛飼い座アルクトゥールスが昇っているが,おとめ座スピカはまだ昇っていない.昨日よりも200mほど山梨県側に移動し三脚を立てようとすると,道路脇でなにやら大きなものがゴソゴソと動いている.恐る恐る近づくと,可愛そうに車と衝突したらしい雄の大きな鹿だった.もう虫の息だ.また車に引かれそうな場所だったので歩道まで引きずり上げたが,間もなく息を引き取ってしまった.
 三脚を構えて待っていると富士山頂には雲が巻き始めた.その雲間を透かしておとめ座スピカが昇り始めた.その下にアイソン彗星がいるはずだ.肉眼では見えないので,モニターで確認しながらひたすらシャッターを切る.

    すっきりと晴れた朝霧高原.北斗七星と牛飼い座アルクトゥールスの曲線の延長上におとめ座スピカがある.(春の大曲線という)


    雲の上に現れたおとめ座スピカ.その上の筋はしし座流星群


    高度を上げるスピカ。そろそろアイソン彗星がみえるはずだが・・・。


    雲の間に光る小さな光、アイソン彗星登場。


    雲の上に緑色の小さな光。月光が明るいためやはり見えにくい。

 液晶モニターで彗星を確認したところでズームレンズに交換する。先日の地蔵峠からの撮影でシャッタースピード4秒以上に上げると彗星が流れて写ってしまうことがわかったので、Iso感度を上げて2秒から4秒以内でシャッターを切る。

    富士山頂に昇ったおとめ座スピカとアイソン彗星


    同上


    同上


    同上


    ズームを変えて撮影


    空が明るみ始め、次第に彗星は朝の空に消えて行く

 スピカと彗星が高く昇ったところで広角レンズに交換するが、その頃にはもう彗星はほとんど写らなくなっていた。やがて水平線が赤く染まり始め、星は夜明けの空に消えて行く。星が消えた頃に、日の出を待たずに撤収し、そのまま職場に出勤した。

    薄明の朝霧高原。まだ星が少しだけ輝いている。


    薄明の富士山


    毛無山塊に沈む十五夜の月


    朝焼けの空


    山頂に巻いた雲が輝く。本日はここまで、撤収。


 満月の月明かりがあっても彗星は写ってくれた。まだ尾は小さいが、これから光度が上がって来ると期待される。今週末は水星、土星とアイソン彗星が接近し、さらにエンケ彗星もその近くを飛ぶ。良い景色が見られると良いのだが・・・。
コメント (4)
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