山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

「彗星年」と期待された平成25年を振り返って

2014年01月08日 | 番外編
 パンスターズ彗星に始まり、今世紀最大の彗星になるであろうと期待されたアイソン彗星がやって来た平成25年は、「彗星年」として天体に興味のある者だけでなく一般の人たちも大いに期待した年だった。しかし、実際に彗星がやって来ると、発見された当初はマイナス等級までなるであろうと期待されたパンスターズ彗星は2~3等級止まりで肉眼で見ることはほとんど困難だった。そして一番の目玉だったアイソン彗星はテレビで特別番組まで予定されたものの、近日点通過時に燃え尽きて消滅してしまった。予想外に検討していたのがラブジョイ彗星だろう。サングレーザーと呼ばれる太陽のすぐ近くを通過して急速に光度を上げる彗星とは異なり、あまり太陽に近付かずに折り返してしまうためにさほど明るくはならないことがわかっていたが、4等級ほどの明るさまで増光して長期間夜明けの北東の空に輝いた。年が明けた現在でも6等級ほどの明るさを保っている。

 彗星の撮影は昨年初めて経験したが、さすがに最初はどこを飛んでいるのか全くわからず、かなり苦労した。3月にやって来たパンスターズ彗星は日本で最初に撮影してやろうという意気込みで近日点通過2日後の3月9日に金峰山山頂から彗星を狙ったが撮影できなかった。撮影に成功したのは3月12日の帯那山からで、幸いにもその時の写真は山梨日日新聞に掲載していただいた。撮影に成功した理由は、その前日に茅ヶ岳から撮影した映像を拡大して詳細に検討したところ、夕暮れの空にうっすらとパンスターズ彗星が写っている写真があったからで、この映像を基に彗星軌道、高度、そして光度を予測して、肉眼で見えない彗星をカメラで狙い撃ちして撮影したものである。

    鳳凰山地蔵岳の脇を舞うパンスターズ彗星(3月12日 帯那山) (220mm f5, 6sec, Iso320)


    白根三山を舞うパンスターズ彗星(3月15日 三ツ峠) (115mm f4.5, 6sec, Iso1000)


    富士山に舞い降りるパンスターズ彗星(3月19日 金時山) (160mm f5.0, 2.5sec, Iso1250)


 軌道計算と時間の割り出しが出来るようになると、あとはその場所に現れるのをひたすらシャッターを切りながら待つだけということになる。次にやって来たアイソン彗星は狙いすまして撮影に出かけた。ほぼ予想通りの軌道で彗星が現れ、富士山剣ヶ峰を舞うアイソン彗星の撮影に成功した。しかし、ここで思ったことがレンズの明るさと解像度である。使用していた70-300mmレンズはズームを上げると画像が暗くなってしまい、かつ口径が小さいために解像度が悪い。彗星を撮影するには星が流れないようにシャッタースピードを早く(200mmレンズで3秒以内)しないと光が流れて彗星らしさが無くなってしまうことに改めて気付いた。そこで新調したのが200mm F2.8という単焦点レンズである。これは800gほどの軽量であるのに今までのズームレンズとは全く違う写り方をする。

    富士山剣ヶ峰を舞うアイソン彗星(11月16日 毛無山地蔵峠) (300mm f6.3, 3.2sec, Iso6400)


    アイソン彗星と獅子座流星群(11月16日 毛無山地蔵峠) (80mm f4.0, 8sec, Iso4000)


    夜明けの富士山腹を舞うアイソン彗星(11月23日 竜ヶ岳) (200mm f2.8, 2.5sec, Iso1600 新レンズで撮影)


 アイソン彗星が近日点を通過した後は鳳凰山から夜明けの甲府盆地の空に尾を引く彗星を撮ってやろうと、数ヶ月前から狙っていた。しかし、インターネットの情報を見ていると残念なことに彗星消滅のニュースが入って来た。しかし、ひょっとしたら彗星のかけらや散らばったダストが写るのではないかと鳳凰山に出かけたが失敗に終わった。アイソン彗星の画像は星見隊出動して竜ヶ岳で撮ったものが最後の画像となった。

 アイソン彗星が消滅した頃にはラブジョイ彗星が見頃を迎えていた。こちらは全く眼中に無かったのだが、自宅前の田んぼで試し撮りしてみると予想外に綺麗に写ってくれた。しかも、カメラファインダーを通して彗星を確認することもできた。そしてしばらくはこのラブジョイ彗星を追いかけることになるが、相性が悪いのかなかなか写ってくれない。できれば山の上から撮りたかったが、貫ヶ岳で失敗して以来撮影に行けず、富士山頂で捉えたまともな画像は白糸の滝付近で撮影したカットのみとなってしまった。

    ラブジョイ彗星(12月1日 鳳凰山) (200mm f2.8, 3.2sec, Iso6400)


    朝靄の空を舞うラブジョイ彗星(12月7日 貫ヶ岳) (55mm f2.8, 13sec, Iso2000)


    富士山頂を舞うラブジョイ彗星(12月21日 富士宮市白糸の滝) (200mm f2.8, 2.5sec, Iso2000)


 終わってみれば期待していた2彗星はいずれも期待したほどの大彗星にはならなかった。次はいつ来るのかわからないが、長く尾を引く彗星を一度は撮影してみたいものだと思う。


 (おまけ)
 ラブジョイ彗星は現在光度6~7等級です。おそらく次の連休が最後の撮影機会になるのではないかと思っています。いつもは秘密で撮りに行きますが、今回は予告・・・天子ヶ岳山頂、午前4時ごろに富士山頂に彗星が現れるはずです。11日は左角から、翌日は山頂あたり・・・と、右(南側)に軌道がずれて行きますが3日間とも撮影可能なはずです。田貫湖だと山頂より左側になりますが、撮影は可能です。仕事の都合でいつになるかはわかりませんが、3連休のうちのどこかで行く予定です。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする