山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

夕焼けの富士に昇る金色の月 南部町佐野峠  平成27年12月24日

2015年12月25日 | 星空
 やや雲の多い空だったが、本栖湖のライブカメラを見ると富士山が雲を纏いながらも現れていた。これならばいける!そう確信して南部町の佐野峠に向かう。この日は佐野峠でパール富士が見られる日で、しかもほぼ日没ジャストの時間で月が富士山山頂に現われるはずだ。夕焼けで赤く染まった富士山の上に出る金色の月をイメージしながら車を走らせるが、南に行くほど雲が多くなり、南部町に入った頃には空の7割くらいが雲に覆われてしまっている。果たしてパール富士は見られるのだろうか?一抹の不安がよぎる。

 細い林道を対向車が来ないことを祈りつつ佐野峠に到着すると、既に3台ほど車が止まっており撮影の準備をしていた。装備から見てかなりの達人ばかりだ。私のカメラとレンズが茶地に見える。一時は山頂部分を現した富士山だったが、やがて雲に巻かれてしまいその後は全く姿を現さない。


    一時は姿を現した富士山だったが・・・


    その後はずっと雲の中。


    これは厳しい・・・

 待っているとその後天体望遠鏡のような凄いレンズを搭載したカメラマンがやって来た。興味津々、いろいろと話を伺わせていただいた。セットした2台のうち1台は600㎜、もう1台は300㎜ほどの焦点距離で、通常は天体望遠鏡として使うものだが絞りやレデューサーといういくつかの部品を追加して使っているそうだ。パソコンで画像も見せていただいたが、その解像度が凄い!考えていることは私と似ていて、彗星やオリオン座大星雲を富士山と一緒に撮影しようと試みているそうだ。しかし、これだけの装備をもってしても追尾無しで彗星の尾を描出するのは難しいらしい。今後の星の撮影に大いに参考になった。

 さて、撮影場所は佐野峠で良いのだが、三石林道のほうを見ると杉の伐採が進んで展望が良くなっていた。ゲートがあって車は入れないのだが、歩いて行ってみると抜群の眺望が得られるようになっていた。機材を担いでそちら側に移動する。距離にして100m少々くらいだ。パール富士の時間になったが富士山は姿を現さない。待っていると、ピンク色に染まった富士山が少しずつ雲間から現れ始めた。そしてようやく山頂が見えるようになり、200㎜レンズ視野でなんとか月と富士山を捉えることができた。


    雲の切れ間から姿を現し始めた富士山


    月も見えてきた。


    夕焼けの富士に昇る金色の月


    同上

 ほんの1分ほどの差で富士山頂に輝くパール富士は見られなかったが、ひとまずは見られただけでもラッキーである。自然相手の撮影はこんなもの、遠方から撮影に来られている方もおり、その情熱には頭が下がる。天体望遠鏡での風景撮影は出来ないであろうと思っていたのだが工夫すれば撮れることがわかり、月以上にこの日の収穫は大きかった。

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冬至の精進湖の朝 平成27年12月22日

2015年12月25日 | 星空
 引き続きなかなか思うように写ってくれないカタリナ彗星を追って朝霧高原から精進湖の界隈に撮影に出かけた。翌日から月が照らし始めてしまうため彗星の撮影には条件が悪くなってしまうため、好天となったこの日の夜になんとか片付けたいという思惑があり、前日は9時に寝て未明1時に目を覚まして出発した。

 本日カタリナ彗星が富士山頂に現われる良い場所は朝霧高原のもちや公園付近、2時45分ごろだ。2時半に到着してさっそくスカイメモをセットして準備する。何カットか撮影して待っているとほぼ予定通りの時刻にカタリナ彗星が姿を現した。今度はタイマーリモートコントローラーのセットを間違えずに2秒で撮影したのは良かったが、ピントが甘くまたしても画像はいまいちである。それと、追尾せずにこの彗星の尾を撮影するのはかなり難しいということも良くわかった。そしてもうひとつ、道路沿いの場所で撮影するとトラックが通った時の微妙な振動が伝わってくるため、微妙に画像がブレることもわかった。彗星の撮影には道路から離れた場所のほうが良さそうだ。


    富士山頂に現われたカタリナ彗星。富士山が赤っぽいのは沈みかけた月が富士山を照らしたため。


    200㎜、2秒露出、Iso6400での予定通りの設定だが今度はピントが甘い。ピントが合ったとしても1ショットで彗星の尾まで写すのは困難だろう。


    55㎜で撮影した富士山とカタリナ彗星。かなり小さい。


    スカイメモで60秒間追尾して撮影したカタリナ彗星。

 場所を移動。精進湖に行く前に途中の道路脇で撮影を試みたがここも微妙に道路の振動が伝わってしまい、また電灯の明かりがあって撮影には向かない。4時半ごろ精進湖の湖畔に行く。既に30台ほどの車が湖畔に乗り付けて三脚を立てて夜明けを待っている。撮影を行っている人は少ないが、その中でスカイメモをセットしてカメラを空に向けて彗星の撮影を行う。今度は彗星がなかなか捉えられず、200㎜レンズの視野に納めるまでに30分近く時間を費やしてしまった。条件を変えていろいろと撮ってみたが、やはり彗星の尾を描出するには現在使っているレンズでは困難なようだ。


    なかなか200㎜レンズの視野に彗星を捉えられず、55㎜レンズで探してからようやくセット完了。


    カタリナ彗星。 200㎜ F2.8, 60sec, Iso1000


    同じ設定でIso2000で撮影。


    同じ設定でIso2500で撮影。

 そうして撮影を行っている中で、奇跡的に写っていた1カットがこのカタリナ彗星と流星のランデブーである。流れた流星の角度から明日極大を迎えるこぐま座流星群と思われる。


    カタリナ彗星と流星のランデブー


    もう1台のEosM2にナノトラッカーをセットし、25秒固定21秒追尾の計46秒露出で撮影した星空。下の明るい星が金星、右上がスピカ、左上がアルクトゥールス。


    5時52分、薄明の空となり、もう彗星は写らなくなってしまう。


    薄明の精進湖に輝く金星


    薄明の精進湖の朝


    同上


    夜明けが迫る


    当時の精進湖の夜明け


    同上


    カアカア


    太陽が最も富士山に近付く冬至の精進湖の日の出。

 富士の裾野から朝日が昇ったところで本日の撮影は終了。さっさと片付けてこれから勤務である。翌日が休日で、しかも天候が悪くなる予報で出かけることはまず無いであろうからこそ出来る夜を徹しての撮影である。


    
   





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