山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

花咲く北信の山、岩菅山(後編)  平成30年7月16日

2018年07月18日 | 山梨無名山
 かなりゆっくり歩いて草むらの中を覗き込んでは写真を撮って登って来たので、予定では12時に到着するはずだった岩菅山山頂は1時間以上もオーバーして1時15分到着となった。ゆっくり休んで居られる時間では無くなってしまったので小休止して裏岩菅山を目指すことにした。しかしその先の稜線もお花畑が広がっており全く足が進まずさらには暑さと3連登の疲れも出てきて裏岩菅山山頂目前でバテバテである。


    岩菅山から見る裏岩菅山。近そうにも遠そうにも見える。標高は向こうのほうが高い。なにせ志賀高原最高峰である。


    クルマユリが点々と咲いている。


    クルマユリ


    そしてこちらの稜線もホソバノキソチドリがたくさん咲いていた。


    ホソバノキソチドリと裏岩菅山


    コバイケイソウと岩菅山の稜線


    コバイケイソウと奥志賀の山並。正面は大高山か?


    コバイケイソウとシラネニンジンのお花畑


    西側はスキーゲレンデのたくさんある焼額山。


    裏岩菅山に到着。時間は3時10分。

 途中で小分けに食事をとっていたが裏岩菅山でやっとまともに食事をとり、20分ほど休憩した。時刻は3時半となり、ずっと抱えて歩いて来た三脚をたたんで下山である。しかし戻りながら見る岩菅山への稜線の景色はまた登りの時とは一味違って素晴らしく、ついついシャッターを切るために立ち止まりなかなか足が進まない。約1時間かかって岩菅山に戻った。時刻は4時半、予定よりも30分ほどオーバーしているが道は明瞭なので夕暮れを過ぎたとしても下山は問題無い。


    岩菅山山頂にある避難小屋。


    なかなか快適そうだが水場が無いのが難点。


    下山しながら見つけたヨモギ。あまり見慣れないヨモギだが、調べてみたらヒトツバヨモギというものらしい。たぶん山梨県には無い。


    日没迫る頃に用水路沿いでまたまた珍しい(北信では珍しく無い?)花を発見。オオレイジンソウ。薄暗くてシャッタースピードが遅いので三脚を出した。

 途中で電話がかかってきたりしてやや時間を費やしたが、ヘッドライト点灯するギリギリの7時10分に登山口に到着した。残っていたのは当然の如く私の車だけだった。さほどの移動距離ではなかったが11時間も山の中に居たことになる。残念ながらいちばんお目当てだった花は全く見つかりそうな気がしなかったが、山梨県では見られない花にたくさん出会うことが出来て、かかった時間以上に有意義な山行だったと思う。高速を飛ばして10時前には甲府に到着した。


 こんな花にも出会えた。


    ここで出会えるとは思わなかった。さすがは北信の山!


    ほとんど蕾だったが咲き始めた新鮮な株もあった。


    山梨では富士山麓でしか見たことが無い貴重な白いラン、アリドオシラン。北信では普通にあるのだろうか?1ヶ所だけだったが数は結構あった。


    何これ?できそこないのヤマアジサイか?と思ったが・・・


    トリーミング。先端が少し白く開いているものがあるが、これで花が咲いている状態らしい。初めて見るヤマシグレ(スイカズラ科ガマズミ属)という花。


    こっちは少しブレている。もっときっちり撮っておくんだった。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花咲く北信の山、岩菅山を訪れる(前編)  平成30年7月16日

2018年07月18日 | 圏外編
 チョウジコメツツジ確認のため黒戸尾根の5合目まで登るか、それとも県外の山に行くか、かなり迷い、当日の朝まで決められずにいた。いずれにしても早起きして出かけなければ登れないので目覚まし時計を4時にかけてさっさと寝た。予定通り目が覚めて起き上がると、前日の富士北麓の森が堪えたようでふくらはぎが痛い。標高差1,500mの黒戸尾根5合目までを往復するには厳しそうである。一方、北信の山ならば場所を選べばさほど登らなくても良い場所もある。候補のひとつが湯の丸高原の池の平湿原である。たぶん、シテンクモキリが見られると思うし、ホームページを見ても見ごろと書かれていた。そしてもうひとつが日本二百名山の岩菅山である。岩菅山から裏岩菅山、さらにその先までの稜線のお花畑が素晴らしいと聞いておりいつか訪れてみたいと思っていた山である。完全フリーとなった3連休なので、ここを逃すと次はいつ行けるか全く分からなくなってしまう。距離は池の平湿原のほうが近いが高速を使うと移動時間は岩菅山も変わらない。ここはあまり行く機会が無いであろう岩菅山に行ってみることにして中央道を北に走る。

 8時に岩菅山の登山口一ノ瀬に到着した。混雑しているかと思ったが止まっている車は4~5台ほどで楽勝で駐車出来た。地図を確認し、GPSも持って出発である。足を心配していたが歩き出してみるとほとんど痛みが気にならない。不審者の如くまわりをキョロキョロして花を見ながら進む。


    一ノ瀬の駐車場。


    いざ、出陣。山頂までは普通に行けそうだがその先の稜線をどこまで行けるか?たぶん自分の足だと裏岩菅山が限界だろう。


    ちょっと登るといきなり出てきたツバメオモトの大きな葉っぱ。さすがは北信の山!


    用水路の脇を進む。


    見たことの無い花が咲いている。花はカラマツソウだが葉が??調べてみたらモミジカラマツという花だった。それと左にある蕾の花は山梨県ではほとんど見られなくなったオオガンクビソウだろう。


    川沿いに咲いていたオニシモツケ。用水路沿いにもたくさん咲いていた。


    向こうの橋を渡っていよいよ尾根に取り付き、本格的な登りになる。

 用水路沿いの道はほとんど水平だが、橋を渡ってからは急な登りになる。しかし登山道は良く整備されており、ところどころぬかるんだ場所が歩きにくい他は快適な登山道である。樹林帯の中ではあるがそれなりに花が咲いていた。


    ヨツバムグラと思って写真を撮っておいたが、後に図鑑で調べるとオオバノヨツバムグラと判明。葉が大きくて3本の筋がはっきりしている。


    樹林帯の中に咲いていたのでキソチドリと思っていたが・・・


    アップで撮った写真を良く見ると距が真直ぐに長く伸びており萼片が反り返らない。どうやらホソバキソチドリのようだ。


    コイチヨウランはほとんど蕾だったが少しだけ咲き始めているものもあった。


    稜線分岐に抜け出る手前でようやく山頂が見えてきた。結構遠くて尖っている。


    ノッキリという稜線の分岐に到着。ベンチに座って大休憩。

 かなりスローペース(というよりも三脚を担いで写真を撮りまくってきた)で来たためにノッキリまで3時間かかった。ここから山頂までは1時間ほどだろうがもともと山頂に立つことが目的では無いのでそんなに早く歩くわけがない。笹薮の中に広がるお花畑を念入りに覗き込みながら、2時間をかけて山頂に登り着いた。


    見上げる岩菅山。予想はしていたが大部分が笹で覆われている。その中に素晴らしいお花畑が広がっていた。


    まだ新鮮なゴゼンタチバナが残っていた。


    クマノミズキ?時々見かけるが名前わからず。


    ホソバノキソチドリはあちらこちらにたくさん咲いていた。


    オオバキスミレの葉か?ネットの記事を見ると変種のナエバキスミレらしい。


    初めて見る花。タテヤマウツボグサ。


    残念ながら少し時期が遅かった。一緒に花の終えたハクサンチドリが混ざっている。


    ハクサンシャジンだと思う。


    タカネアオヤギソウ(ユリ科シュロソウ属)


    カンチコウゾリナはあちらこちらにたくさん咲いていた。


    草むらの中を覗き込んでみるとタカネサギソウが咲いていた。この山の株はきわめて小型。


    小さなリンドウが咲いていた。タテヤマリンドウ。まだ咲き始めたばかりでほとんどが蕾だった。


    シロバナノニガナ。もちろん黄色もある。


    初めて見るアザミ。花が下を向いていて茎が太く、葉は丈夫で痛々しい。オニアザミ。


    シラネニンジンがたくさん。


    エゾシオガマ。見るのは久しぶりのような気がする。


    山頂間近。


    層状になった露岩。ここの地質は堆積岩。同じ岩を隣の根子岳でも見た。


    やっと山頂。

 8時過ぎに一ノ瀬登山口から出発したのに山頂到着は午後1時15分になってしまった。毎度のことだからかまわないのだが、あまりゆっくりしていると自宅に到着する時間が深夜になってしまう。なにせ甲府まで220㎞くらい距離がある。日没の7時までには下山したいところなので、この岩菅山山頂を4時に下山し始めれば十分なはずだ。裏岩菅山までなら行けそうなので小休憩して出発する。(後編に続く)



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

富士北麓の原生林を彷徨う  平成30年7月15日

2018年07月18日 | 番外編
 山梨県側の富士山麓は1合目から3合目あたりにかけて大部分がツガの植林帯になっている。その中に残っている広葉樹の原生林には貴重な植物、特に着生植物が生育している。今回訪問してみたのは植林が行われずにそのまま残っている(はずの)富士山原生林である。ほとんど訪れる人は居ないであろうからルートも無いはずだ。GPSを頼りに入山する。


    途中まで林道があるのだが壊れていてこれでは林道として機能しない。


    フジイバラ


    林道の終点を過ぎて枯れ沢を渡り原生林の奥深くまで入る。


    明瞭な道は無いがところどころに赤テープが付いている。


    咲き残っていたツルシロカネソウ。


    お目当てのカエデの木が多く生える森に到着するが・・・想定していたような大きなカエデの木は少ない。


    大き目のカエデの木。しかし、苔が少なくシダが着生していない。


    こんな木ならば着生植物が居るかと思ったが・・・


    着生していたのはソバナ(だと思う)。


    木の幹が朽ちている大きなカエデの木だが、やはり目ぼしい着生植物はほとんど居らず。


    ようやく見つけたのはヤシャビシャク一本くらいだった。


    この谷を越えてその向こうはもう県境の大沢崩れだ。ここまでで引き返す。

 航空写真でチェックしていった通りに広葉樹林の原生林が残っていた。しかし、富士南麓の森に比べると木があまり太く無く苔があまり付着していなかった。そして探している着生ランが生育し易い東から南側の木の面にはほとんど苔が生着していなかった。ノキシノブ以外はほとんどシダ類が着生していないところから見ても、この森に探しものが潜んでいる可能性は低いのではないかと思われた。もっと高度を上げると今度は本当の針葉樹林帯に入ってしまうはず、もう少し下を探したほうが良いのかも知れない。ちょっと偵察のつもりが5時間も樹林の中を彷徨ってしまった。敗退感が強い富士原生林の散策となってしまったが、ほとんど情報を持っていない中での初回の散策はこんなものだろう。いつかきっと素晴らしい森に出会える日が来るだろう。
 帰りはテープを追いかけて戻ってみたが途中で低木の藪に突入してしまい、抜け出たところで獣道のような細い道に出くわしてこれを無視して進むと草地に抜け出た。GPSで位置を確認すると横切った獣道のような細い道がどうやらルートだったらしい。草むらを踏み進み谷を横切って林道に抜け出た。


    テンニンソウの草むらに抜け出た。すぐ下でバイクのエンジン音が聞こえ、別の林道があるようだ(車は入れないはずだ)。


    林道に抜け出る直前のところに1本だけエゾスズランが咲いていた。


    大きなヤマホタルブクロ。


    標高1,800mの林道脇ならばシテンクモキリが居るのではないかと思ったのだが・・・見つかったのは普通のクモキリソウだった。残念。

 時間は5時を過ぎていたが悔しいのでいつもの場所をもう1ヶ所ちょっとだけ立ち寄ってきた。


    もう満開になっていると思っていたのだが、意外とほとんどが蕾だったコイチヨウラン。


    今度は咲いていた。アリドオシラン。少し遅かった。


    リングライト搭載のマクロレンズで接写するはずだったのだが車の中に置き忘れてきてしまった。本日は最後まで失敗。

 今年はもうお目当ての着生ランを探し当てることは困難であろうから、また来年挑戦してみたいと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする