後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

フォトアルバム「中古ヨットの見分けかた写真集」へ写真3枚追加しました

2008年05月26日 | 写真

小生が10年前に100万円で購入した26Feetのクルザーは1982年進水で、今年はもう26年も古くなりました。しかし帆走の様子は新艇と同じではないでしょうか?そんな様子の写真を3枚追加しました。中古艇でも雨漏り以外はあまり大きなトラブルは有りませんでした。ジーゼルエンジンの排気弁の修理はしましたが。

撮影日時:5月24日、撮影者:Mrs.藤山


外国体験のいろいろ(44)アメリカの中小企業とベンチャー

2008年05月26日 | インポート

○独自の特許・技術

オハイオ州コロンバス市郊外にジーゲルコーンを世界中へ出荷している小さな会社があった。この商品は陶器やセラミックなどを高温で焼き固める時に炉内の温度を推定する角錐形の材料。その成分の配合によって先端が軟化し曲がるので炉内温度が計れる。コロンバス郊外のトウモロコシ畑の中に赤レンガの美しい平屋建て工場がゆったりと広がっている。社長のアメリカ人を何度か訪問し、共同研究の相談をした。

雑談の中で小生が聞く、「日本の中小企業は大会社傘下が多いが、この会社はどこの系列なのですか?」彼が答える、「アメリカの中小企業は大会社が持っていない独自技術や特許に基づいて、世界中で売れる商品を製造している。大会社とは一切関係ありません」「中小企業へは銀行が融資してくれないのが普通だと思うが、経営が難しくありませんか?」「アメリカでは独自の特許や技術を持って出荷している場合、特に担保物件が無くても投融資してくれます。独自性があれば企業は安泰なのです」

       ○発明者を敬う社会

アメリカの大学で働いていると、同僚のアメリカ人はよく特許の話をする。特許を取った研究者のうわさ話もよくする。日本の大学で特許の話をすると、金もうけ主義の誘惑に負けた学者として軽蔑されるのが普通であった。本物の学者は特許に関心を持ってはいけない。産学連携の重要性が叫ばれる昨今ではそうでもないが、十数年前までは大学内での特許の話は禁句であった。

以下、1990年ごろ、オハイオ州立大学でのアメリカ人教授とのやりとり。

「日本の大会社の技術者はやたらとアメリカ特許の申請書を出すが、中身が非常に薄い」「薄いとはどんな意味ですか?」「新製品を作るための新しい原理の発見ではなく、既にある技術の組み合わせで新製品を作るという、改良技術特許の性質のものが多い。これでは尊敬されない。従って特許が成立しないことが多い」「毎年、日本人の特許申請総数は世界でトップクラスだが、それでも尊敬されないのですか?」「内容が貧弱な特許は人騒がせに過ぎない。それが証拠に、日本が外国特許へ支払う額は外国から受け取る特許使用料の十倍ぐらいあるではないか」

       ○教育の改革が必要

アメリカのベンチャー企業の活躍は第二次大戦以前から普通であり、資本主義の根幹を成している。一方、日本のベンチャー企業は1990年ごろのバブル経済の崩壊を機に盛んになった。特にIT分野では、新しいビジネスモデルで情報サービスのベンチャーが急成長を続けている。日本にも担保なしで投資するベンチャーキャピタルが多くあり、起業資金を支援している。

最近は起業し、新しい技術シーズを実用化し、それを他の企業へ売るという達成目標の明快なベンチャーも増加している。このように、日本でも大会社と関係のない新しい形の中小企業が隆盛を極めつつあり、日本の資本主義もアメリカ型へと変化しつつある。しかし、製造業分野のベンチャーは相変わらず特許の国際競争力が貧弱な場合が多く、苦戦を強いられている。

独創的な基本特許を数多く取得するには、やはり小学校から大学までの教育内容を改革しなければならないと主張する人々も居る。しかし、それは東洋文化へ深く根を下ろしている側面もあり、一朝一夕に変革できるものではない。ベンチャー企業の隆盛を見て、日米の技術格差も小さくなったと思うのは早計も甚だしいのではないか。

(続く)


合法的に真似る日本、法律無視の中国

2008年05月26日 | 旅行記

皆さんが日常使う電化製品やコンピューターのような工業製品は、普通多くの特許によってその製造方法が出来上がっている。製法を発明した人々の利益を特許法によって守る。これが欧米資本主義の重要な条件の一つ。

特許は国際的に売買、輸出・輸入できる。日本の会社は高価な特許をアメリカ、ドイツ、英国、フランスなどから現在でも買って製品を作っている。

勿論、日本の特許も外国へ売って、輸出している。

しかし、日本が外国から買っている特許の総額(輸入総額)は日本が外国へ売っている特許の総額(輸出総額)の約10倍であることを決して忘れてはいけない。言い換えれば、日本は外国から高価な特許を買って工業製品を作っている。この状態は現在でも変わらない。テレビの自動車も多くの外国特許を購入して作っている。

このような事実は政府もマスコミもなるべく秘密にして置きたい。しかし工業界で働いている技術者の間では皆が知っている常識である。

特許の金額は製品や特許の独自性によって決定されるので一概には言えないが、大体、製品の売り上げ高の1%から3%である。日本の大小の会社が毎年莫大な金額を特許料として外国の個人や会社へ契約に従って支払っている。いくら日本製の乗用車が優れていて、もこの事実を忘れてはいけない。

ただ、絵画や芸術作品の著作権が芸術家の死後50年で消滅するように特許権もある年限(15年や20年の場合もある)で消滅して、その後は誰でも自由に使用できる。例えば、ガソリンエンジンやジーゼルエンジンの特許権は自然消滅しているのでトヨタが使おうがニッサンが使おうが自由である。しかしエンジンを始めて作った人々を尊敬する精神を失ってはいけない。

日本の工業界はあくまでも国際的な特許法を遵守して製品を作っている。

しかし、中国の幾つかの会社が時々、国際的な特許法を無視して製品を使ってしまう。これは倫理の問題でもあるが、その国の伝統文化に深く関係している部分もある。別に中国を弁護するのではないが、日本でも特許法を無視しようとした時代があった。特に第二次大戦の最中は戦争なので特許料を敵国へ払う必要は無い。それが当然と多くの日本人が思っていた。これと東洋の「模倣を善とする伝統文化」が融合して未だに特許へ対する考え方が欧米と日本とはなにか本質的に違う。

皆さんはどのようにお考えでしょうか? (終わり)