後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

ホテル物語(4)箱根、宮ノ下、富士屋ホテル

2008年05月20日 | 旅行記

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懐かしい蒸気機関車の写真につられて、鉄道マニアが書いた本をつい購入し、読み始めた。

なんと退屈な、つまらない本。始めの数ページで投げ出した。

小生も反省。「ヨーロッパ風ホテル」のマニアが書く回想文など、皆様にとってはさぞ退屈なものに違いない。それで今回限りで古いホテルの話をおしまいにしたい。(でもコメント次第では続けるかもしれない。)

書きたいホテルは宮ノ下の富士屋ホテル、日光の金谷ホテル、軽井沢の万平ホテル、上高地の帝国ホテル、白馬東急ホテルなどについて。

今回は明治11年創業の箱根、宮ノ下の富士屋ホテルのこと。訪問した5月16日は曇天で写真映りが悪い。でも、明治期の木造洋風建築のシェルエットが浮かび上がる。誰も実物を見たことの無い、「竜宮城」を連想させる。これを作った明治の人々も設計・建築の過程を楽しんだに違いない。夢多い人々。

中へ入れば薄暗い。蛍光灯を使わないで昔風の暗い照明。以前に泊まった時と何も変わっていない。ロビーのフロントの机が高くて首近くまである。西洋人の身長にあわせた家具調度。

天井は格天井。とくにメインダイニングの格天井には一枚一枚、花の絵が描いてある。

以前に泊まった時の、夕食のコースは昔の通りに丁寧に料理した西洋料理。定石通り、スープ、パン、フィッシュ、サラダ、ミート(メインディッシュ)、デザート、コーヒーで終わり。アメリカ流にサラダの大盛りが最初にいきなり出てこない!  サービスの良さについてはもう繰り返さない。

昔のホテルのサービスは良かったとよく老人が言う。本でも読んだし、老人から直接聞いたこともある。しかし昔のホテルの料金と毎月の生活費を比べてみるが良い。ホテルのお客と従業員の数の比の今昔をくらべてみるが良い。その様な背景を考えずに昔のサービスが良かったと主張するのは公平さに欠けている。

現在の宮ノ下の富士屋ホテルに平日、2名で泊まった場合の一室料金は18780円(本館)である。現在の大学卒の初任給月給がおおよそ20万円とすると、その十分の一以下である。

大都会のビジネスホテルでも食事無しで1人6000円は取る。富士屋ホテルは2人の料金で18780円だから1人あたり9390円になり決して法外な料金では無い。

明治期の人の作った洋風ホテルの雰囲気を楽しむために泊まる人々にとって決して高い料金とは言えない。それにサービスが良い。格安と言えば言いすぎだが適正な料金だ。

泊まる人々の目的に合わせて料金が設定されているのもサービスの良さの一つ。

宿泊料が建築時期によって違う。明治24年建築の本館、明治39年建築の西洋館、昭和11年建築の花御殿、昭和35年建築のフォレストロッジ、そして天皇の御用邸だった別館の菊花荘(明治28年築)と料金が区別してある。フロントへ頼んで見学・下見をしてから、宿泊の決定をするのが良い。部屋は同じ構造でも眺望が違うし、古いだけに建具の様子を見て、部屋の感じを掴んでおくほうが良い。

最後に最近のホテルのサービスについて一言。平均すれば決して悪くは無い。しかしサービスの仕方に今昔がある。

最近はケンタッキーフライドチキンやマグドナルドハンバーガーなどのチェン店が全国にあり、所謂アメリカ流のマニュアルサービス方法が浸透している。

マニュアルに従ってサービスをすれば素人でもあるレベル以上のサービスが提供出来る。アメリカ資本主義のビジネスでは「マニュアル化」が非常に重要である。職人でなく素人を使える。人件費が格安で事業展開が出来る。職種別の職人の集団である労働組合を牽制できる。利潤増大のためには全ての場面でマニュアル化が要求される。

ケンタキーチキン店で、中年の男性が、「チキン20個!」と注文した。瞬間的に、女店員が、「お店で召し上がりますか?お持ち帰りですか?」と聞く。客がア然として呟く、「チキン20個を店で食べる奴がいるのかよ!」 

マニュアル式サービスの限界を示す話。(終わり)

撮影日時:5月16日午後3時頃。箱根、宮下、富士屋ホテルのURLは、

http://www.fujiyahotel.jp です。(紛らわしいが、富士屋ホテルは同じ経営者で彼方此方にある。要注意)