これら3枚の絵の出典のURLは、http://wp1.fuchu.jp/~zenshoji/danna_g3.htm です。
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ykawa/3nen2000/groupe-g_jp.htm からです。
これら3枚の絵の出典のURLは、http://wp1.fuchu.jp/~zenshoji/danna_g3.htm です。
http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/ykawa/3nen2000/groupe-g_jp.htm からです。
油絵を見て感動する人もいる。シスレーやピサロの静かな風景画は好きだが、ゴッホの絵はどうも、と感ずる人もいる。でも、小生は上のような「星月夜」を見るたびに感動する。シカゴの美術館で思いがけず見たときは、思わず涙が頬をつたわった。何故感動するのか言葉では説明出来ない。1890年自殺する前に描いた「アルルのゴッホの寝室」や歪んだ教会の絵などなど、どの一枚も感動を覚える。理由は分からない。
人の連想は不思議だ。先日、氷川丸の5500馬力2基のエンジンルームでこの2枚の写真のような機械を見た時深く感動した。そしてゴッホの絵を見た時の感動を連想した。それだけの話である。これから先は大型船の離岸、着岸に興味のある方にはご理解頂けると思う。興味が無ければ実につまらない話である。
左の円形の機械は「エンジン・テレグラム」というもので、全く同じものが船の最上階にある操舵室にもある。出港しようと舵輪を握った船長がエンジンとスクリュウの回転速度を機関士へ伝達する機械装置である。Aheadは前進、Asternは後進で、Stand by、Dead Slow、 Slow、Half、Full とはエンジンの回転数を、中立、微速、ゆっくり、半分の速度、あるいはフル回転である。それらの船長の指示を示す機械である。機関士はその指示に従って即刻エンジンへ供給する燃料の量を右の写真のようなレバーで調節する。この機械装置はエンジンコントロールが完全電子化されていない全世界の大型船で100年以上にわたって使用されている。
操舵室のあるブリッジと機関室は遠く離れている。おまけに機関室は巨大なエンジンが唸っていて、声による指示は不可能である。離岸や着岸しようとする大型船を岸壁と衝突させてはいけない。岸壁を擦って船腹を傷つけてもいけない。全ては船長の責任である。スクリュウの回転速度を瞬間的に変えたい。また慎重に動かすために「死ぬほどユックリ」回転させたい。そんな船長の悲鳴にも似た指示がDead Slow である。これほど感情のこもった英語を見たことがない。日本語に約して「微速」と書くとなにか間違いのような気がする。
欧米人の知恵の結晶のような機械装置である。舵輪を握った船長と轟音うずまくエンジンルームでアクセル・レバーを握った機関士の瞬時の連係動作が要求される。
ゴッホの絵は彼の感情や情念を伝えている。Dead Slow は船長の感情を伝えてくる。関係ないものだがDead Slow の英語を見て、ゴッホの絵を連想した理由かも知れない。人間の連想には明快な脈略が無いというが、その一例かも知れない(つまらない話の終わり)
上の絵の出展のURLは、
5月7日、快晴、東北の風時速20km位、気温24度、暖かい。
今日は快適なセイリングへお誘いします。でもいきなり禁じ手。係留中にジブとメイン・セールの2枚を上げてしまう。風が弱く。船首方向から吹いているのでこんな危険な出港をする。
時々これをするが、沖で風に吹かれながら2枚のセールを上げるよりは楽である。エンジンで港を出るといきなり強い風でヒール(傾く)する。今日は冒険をせず心地よいセーリングだけをする事にしている。そこで、ジブを半分巻き上げてヒールを戻して、エンジンを止め、快調に走り出す。
東北の暖かい風が一定して吹いている。風上45度へのぼるクローズホールドで快走。5.0から6.0ノット(時速9Kmから12.8km)である。波がバウに当たりザワザワと心地よい。
これこそヨットの醍醐味。90分走る。走りながら日本丸のこと、昔の帆船のことをあれこれ考える。大型帆船は戦いをするためか、物資を運ぶために少しずつ発達して来た。でもこのヨットは遊ぶためだけに改良されて来た。一人でセイルを2枚あげ、無理なく、快適に走れるように出来上がっている。大砲も積めないし、荷物を積む船倉がない。無駄と言えばこんな無駄なものがない。遊びに徹底した設計になっている。
90分、風上へ登ったところで何時も引き返す白いビルの前に来た。港から10kmくらいの所である。帰りはメイン1枚でユルユル帰ろうとジブを巻き取ってしまった。ところが風がピタリと止まる。仕方が無いのでキャビンへ入り水を飲んでしばし休憩。コックピットへ上がってみるとヨットが独りで沖の方向へスルスル走っている。そうか、そうか、もっと沖へ出たいのだな。行こう! 風の吹いて来る方向が南東へと、しだいに変わって行く。帰りが楽になる方向だ。
沖へ30分走り、左に白い大型ポンプ棟が見えたところで船首を180度、上手回しで返す。
風が弱いので2kmしか走っていないが、帰りの時間を考えて戻ることにする。追い風でランニング。波が後ろから来て船体を押しやるように砕ける。大河を流れ下っているような錯覚を覚える。豊かな気分になる。はるか12kmさきには土浦市のビル群がかすんでいる。
岸の出島村(現在は霞ヶ浦市という)の新緑を眺めながら、全身の力を抜いて体を大きく揺れる船へ任せる。ヨットに癒されているようだ。何も心配が無い。恐れることも無い。風が暖かく吹いている。快晴だが暑くは無い。行きは120分、帰路は90分である。
今日は快適な気温で、風の強さも一定していたので危険な目に会わなかった。鼻歌まじりの
快適なセイリングだったので疲れない。余裕があるので帰りながらヨットマリーナの方へ寄り道をする。なにか珍しい船でも係留していないか?何時もの通りだ。多分40フィート位の大きさの優美なヨットがいる。こんなに大きいとキャビンも広くて泊まるのが楽しそうだ。でも独りでメインセールは上げられないなあ、などどツマラヌことを考えながら帰港する。
係留してメインセールをブームの上にきちんと畳んで、青い香港製のカバーを被せて、お終い。11時出発で、3時間30分のセイリングであった。何時のように常磐高速、三郷で東京外環高速、練馬で降りて保谷、田無を通って、1時間45分で帰宅。