海底の堆積岩(水成岩)が湾曲(褶曲)して隆起して高い山々になる様子を説明した3枚の写真をお送りいたします。地質標本館の展示物です。
まず一番上の写真の説明文を熟読してから、2枚目の写真をご覧下さい。湾曲した岩の上に生えている樹木と真ん中に立っている人間と比較して下さい。岩の大きさが分かりますね。岩石の湾曲を地質学では褶曲(しゅうきょく)と言います。
この巨大な岩は宮城県牡鹿半島の海岸にありますが、今から1億1千万年前ころの白亜紀に褶曲して出来た堆積岩の写真です。なお堆積岩そのものは1億5千万年まえのジュラ紀に出来たものです。
つくば研究学園都市の地質標本館に大きな写真が展示してあります。
下の3枚目の写真は巨大な岩石が褶曲の実物大のレプリカです。褶曲の様子が明瞭に分かります。
地球上の高い山脈は海底が褶曲して盛り上がってできたので褶曲山脈といいます。アルプスもヒマラヤも褶曲山脈です。勿論、日本の北アルプ、中央アルプス、南アルプスも褶曲山脈です。
しかし日本は火山列島なので褶曲山脈の中の所々で火山が爆発して、山脈に火山が混じっています。温泉もおちこちに湧き出しているのです。
下の3枚目の写真を見ると、巨大な岩盤が飴か粘土細工のようにグニャリと曲がったように見えます。ですから塑性変形したと言いたくなります。
しかし、岩石は塑性変形しません。脆性割れをするだけです。
ですから一見、グニャリと塑性変形したように見えますが、岩盤の層と層の間に小さな脆性割れが無数に出来て岩盤全体が曲がったものです。
それは陶器の皿を割って、割れ目を少しずつ砕き、も一度接着剤で貼ると元の形とは少し違いますね。その連続が起きたのです。
平面の皿を二つに割って、割れ目を45度に磨きあげ、また貼りつけると直角に折れ曲がった皿ができあがりますね。
それと似たような現象で、巨大な岩盤がグニャリと曲がったのです。「脆性割れ」こそが盛り上がって褶曲山脈になる現象の本質なのです。
地質学とはこのような岩石の堆積や褶曲現象を研究する学問分野です。勿論、山々の生成過程における氷河による削り取り変形や水による浸食作用も研究します。
地球が生まれてからどのような自然現象が起き、地球がどのような地質構造になっていおるかを研究する自然科学の一分野なのです。
ジオパークとはこの地質学的現象が集中して明らかに観察出来る所とも言えます。従ってジオパークは地質学者の協力が無ければ指定も、認定も出来ません。
日本のジオパーク25ケ所:http://www.geopark.jp/geopark/
下の写真の真ん中に地質調査中の人間が写っています。その大きさと岩全体の大きさを比較してください。このようにして堆積岩が盛りあがって岩山になるのです。
巨大な岩の上に生えている樹木の大きさも注意してご覧ください。
下の写真は硬い岩石がすこしずつ割れて褶曲した様子を示していましす。