後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

ジオパークを楽しむために(2)海底の堆積岩が湾曲し、隆起し、山になる

2013年02月15日 | 日記・エッセイ・コラム

海底の堆積岩(水成岩)が湾曲(褶曲)して隆起して高い山々になる様子を説明した3枚の写真をお送りいたします。地質標本館の展示物です。

まず一番上の写真の説明文を熟読してから、2枚目の写真をご覧下さい。湾曲した岩の上に生えている樹木と真ん中に立っている人間と比較して下さい。岩の大きさが分かりますね。岩石の湾曲を地質学では褶曲(しゅうきょく)と言います。

この巨大な岩は宮城県牡鹿半島の海岸にありますが、今から1億1千万年前ころの白亜紀に褶曲して出来た堆積岩の写真です。なお堆積岩そのものは1億5千万年まえのジュラ紀に出来たものです。

つくば研究学園都市の地質標本館に大きな写真が展示してあります。

下の3枚目の写真は巨大な岩石が褶曲の実物大のレプリカです。褶曲の様子が明瞭に分かります。

地球上の高い山脈は海底が褶曲して盛り上がってできたので褶曲山脈といいます。アルプスもヒマラヤも褶曲山脈です。勿論、日本の北アルプ、中央アルプス、南アルプスも褶曲山脈です。

しかし日本は火山列島なので褶曲山脈の中の所々で火山が爆発して、山脈に火山が混じっています。温泉もおちこちに湧き出しているのです。

下の3枚目の写真を見ると、巨大な岩盤が飴か粘土細工のようにグニャリと曲がったように見えます。ですから塑性変形したと言いたくなります。

しかし、岩石は塑性変形しません。脆性割れをするだけです。

ですから一見、グニャリと塑性変形したように見えますが、岩盤の層と層の間に小さな脆性割れが無数に出来て岩盤全体が曲がったものです。

それは陶器の皿を割って、割れ目を少しずつ砕き、も一度接着剤で貼ると元の形とは少し違いますね。その連続が起きたのです。

平面の皿を二つに割って、割れ目を45度に磨きあげ、また貼りつけると直角に折れ曲がった皿ができあがりますね。

それと似たような現象で、巨大な岩盤がグニャリと曲がったのです。「脆性割れ」こそが盛り上がって褶曲山脈になる現象の本質なのです。

地質学とはこのような岩石の堆積や褶曲現象を研究する学問分野です。勿論、山々の生成過程における氷河による削り取り変形や水による浸食作用も研究します。

地球が生まれてからどのような自然現象が起き、地球がどのような地質構造になっていおるかを研究する自然科学の一分野なのです。

ジオパークとはこの地質学的現象が集中して明らかに観察出来る所とも言えます。従ってジオパークは地質学者の協力が無ければ指定も、認定も出来ません。

日本のジオパーク25ケ所:http://www.geopark.jp/geopark/

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下の写真の真ん中に地質調査中の人間が写っています。その大きさと岩全体の大きさを比較してください。このようにして堆積岩が盛りあがって岩山になるのです。

巨大な岩の上に生えている樹木の大きさも注意してご覧ください。

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下の写真は硬い岩石がすこしずつ割れて褶曲した様子を示していましす。

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ジオパークを楽しむために(1)地質標本館を調べみる

2013年02月15日 | 日記・エッセイ・コラム

ジオパークという広域公園が最近出来てきました。直訳すれば地質学公園ということになります。

日本には以下のような数多くのジオパークがあります。

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世界ジオパーク:洞爺湖有珠山糸魚川山陰海岸島原半島室戸

日本ジオパーク:アポイ岳南アルプス恐竜渓谷ふくい勝山隠岐阿蘇天草御所浦白滝伊豆大島霧島男鹿半島・大潟磐梯山茨城県北下仁田秩父白山手取川八峰白神ゆざわ銚子箱根伊豆半島

これらの公園を散策して楽しむためにはいささかの地質学的な知識があったほうが良いと思います。

私自身は地質学の素人ですが、以前から趣味として初歩的な勉強をしてきました。

そこでジオパークを楽しむための参考情報を連載としてお送りしたいと思います。

今日の第一回は国立地質標本館へのご案内です。

茨城県つくば市に経済産業省の巨大な研究所があります。産業技術総合研究所という規模壮大な研究所です。現役の間に仕事の都合でよく訪ねたところです。その一角に「地質標本館」という博物館があります。何年も行ってみたいと思いつつ果たせなかったので、数年前に訪れました。

地球が出来てから46億年。始めの15億年は生物の全く居ない海と陸地だけの広がりでした。約、30億年くらい前から三葉虫やオウムガイやウミユリのような原始的な生物が出てきました。その後、いろいろな植物や動物が現れ、繁栄し、衰退し、絶滅を繰り返して来ました。

そして最後の最後になって人間がやっと出現したのです。

この長い地球の歴史を解き明かすのが地質学です。地球の火山活動の歴史や、大陸の移動、海底の隆起や岩石の生成などを体系的に研究する学問です。

いろいろな地層には化石が」あります。それらを精密に調べ、考えて行くと地球の生成の歴史が明らかになるのです。

ロマンあふれる学問分野と、以前から憧れていました。

下に産業技術総合研究所の構内風景と地質標本館の入り口の写真を掲載します。そしてその下に館内の展示物の風景写真を示します。

今日は取りあえず、以下の写真だけをご紹介いたします。地質標本館で検索すると詳しい情報が出ているHPがあります。

入場料は無料の上、広い無料駐車場があります。東京からは東京駅八重洲口から つくば行きの高速バスが間断なく出ていて、「産業技術総合研究所」前の停留所で下車すると徒歩3分です。遠路行っても落胆しない立派な博物館です。

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ジオパークに見る日本列島の風景の美しさ(2)生きている火山地帯、洞爺湖有珠山ジオパーク

2013年02月15日 | 日記・エッセイ・コラム

洞爺湖有珠山ジオパークは雑にいえば洞爺湖と昭和新山と有珠山の3つからなっている生きている火山活動地帯です。

世界的にも珍しい活発な火山活動を繰り返しているので世界のジオパークとして認定されています。世界のジオパークは日本に5つしかありませんので、その珍しさは格別です。

特に昭和新山は1943年に平らな麦畑が突如噴火し、1945年には海抜400m位の山になってしまったのです。観光バスがすぐ下の駐車場まで行きますのでこの真新しい山を見上げることが出来ます。

さらにその向かい側には有珠山がありケーブルカーで頂上に上がり、1977-78年の噴火で出来た新有珠山も見ることが出来ます。

昭和新山や有珠山の山腹からは盛んに白い蒸気が上っていて、今にも噴火が起きそうで怖い思いをしながらの散策になります。

まさしく生きているジオパークという感じです。

さて有珠山の眼下に蒼く光る洞爺湖は一目見てカルデラ湖と分かります。中に島があるのでカルデラの底が何度か噴火した様子が素人にも分かります。

最初の巨大噴火は11万年前に起き、カルデラの底の噴火は5万年前に起きました。洞爺湖の底も含めて11の火山爆発があったことが分かっています。

この洞爺湖の南地区で2万年前に噴火が起き、有珠山が出来ました。その火山活動は7、8000年前に止まり、江戸時代の1663年に火山活動を再開し、2000年までに9回の激しい活動を繰り返しました。その度に溶岩ドームが出来たり、山の形が変わったのです。

江戸時代に火山活動を再開するまでの約7000間は平穏な時代が続きましたので洞爺湖周辺には縄文時代から多くの人が住みついていました。

特に洞爺湖温泉が観光地になってからはホテルや旅館が増え、火山の被害も受けるようになって来ました。

その歴史を考えて、「変動する大地との共生」がこのジオパークのテーマになっています。

従って地殻変動で使えなくなった建物を保存し、人々の教育にために公開しています。

そんな様子を写真で下にしめします。写真の出典は、(洞爺湖有珠山ジオパーク: http://www.geopark.jp/geopark/touyako/index.htmlです。

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上は洞爺湖です。

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上は昭和新山です。中腹まで遊歩道がついていますが、数年前に訪れたときは怖くて入って行けませんでした。

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有珠山の頂上までケーブルカーで上がりました。遊歩道が完備しているので荒々しい山容がよく観察できました。

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上と下は西山山麓の様子です。蒸気が盛んに吹き出しています。下のように地殻変動で変形した建物を保存し、展示しています。人々が地質学への興味をもっと、もっと強く持つようにするのがジオパークの活動目的なのでこのような展示物があちこちに保存してあります。

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今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。後藤和弘(藤山杜人)