日本列島は太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリッピンプレートがぶつかり、盛り上がって出来ました。
この事実を理解するとジオパークの地質学的面白さが分かるのです。ですからまず日本列島の出来上がり方を理解しましょう。
一般に大陸に近い列島は大陸の地殻(大陸プレート)の下に大洋の底の地殻(海底のプレート)がもぐり込み、盛り上がって出来ます。
その様子を示した図面が下にあります。つくばの地質標本館の資料から転載しました。左の褐色の部分が日本列島で右の薄い青い色の部分が海です。
注意深く見ると褐色部分の海に近い所に付加体という字があります。
この付加体はもともと太平洋の底の堆積物が列島の表層に盛り上がって付加した地層や岩石です。日本列島の多くの地質はこの太平洋プレートの付加体で出来上がっています。
ついでに何故、地震や津浪が起きるか説明しておきます。
堅い海底の地殻が堅い大陸の地殻の下に滑り込むのですから界面はギザギザに割れ、ストレスがある部分に溜まります。
それが大きくなり過ぎて突然破壊と断層滑りが地下深くで起きます。当然大きな揺れが起き、それが地表へ伝わって地震となります。
そしてそれが海底で起きれば大津波が発生します。
原因がこれほどはっきり分かっているのに地震の予知は殆ど不可能です。大陸プレートと海底のプレートの界面は地下数十キロ以上と深いので局部的なストレスの溜まった場所を探すことが不可能なのです。
上の写真の真ん中近辺に横長の四角を描いた所が3ケ所あります。そこが地震の発生源になり易い大陸プレートと海底プレートの境目です。素人の私が描き込んだので正確ではありませんが大体正しいと思います。
海底の地殻(海底プレート)がゆっくり動くのは地球の内部で熔けているマントルが流れ動いているからです。太平洋プレートは毎年10cm位西へ動くそうです。
下の写真は地質標本館の展示です。
太平洋海底プレートとフィリッピン海プレートが西方向へ動いてユーラシア大陸プレートの下に潜りこんでい様子を示しています。潜り込むとき、盛り上がり、海底の付加体から日本列島が出来あがっていることをご理解下さい。
下は南日本の様子です。
下は北日本の様子です。
地下の岩石が地割れして地すべりする現象は、「脆性破壊」というもので、予測が原則的に不可能です。ストレスが溜まった所は日本列島に沿って太平洋側の海底にあります。誰も何時、地すべりが起きるか予想がつかないのです。
つくば市にある地質標本館には感動的な展示物がいろいろあります。その中の一つ、太平洋と日本海の深さ分布を示す立体模型があります。
日本列島に沿って日本海溝、伊豆・小笠原海溝、マリアナ海溝があります。よく見ると海溝は本当に深い谷間で、深さは6000m以上になるのです。その巨大な谷の沖側は太平洋ですが、太平洋そのものもかなり深い海と分かります。
日本海の深さ分布を示す模型もあります。日本海をよく見ると、かなり凸凹した海底になっています。浅い海と思っていましたが、意外に深いので吃驚します。佐渡ヶ島や隠岐の島の近海には海底山の様なものがあり、浅くなっています。
冨山深層水というものを使った商品がありますが、嘘ではありません。しかし山形や秋田の沖の日本海の方が深いのです。
海溝は太平洋プレートとユーラシア大陸プレートがぶつかり合い出来た巨大な溝です。現在でも2つのプレートが押し合っているので、海溝近辺が地震の巣のようになっています。このような地球の海底が一目瞭然に示してあるのが大変面白いのです。
ジオパークの説明に太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリッピンプレートなどの言葉や「付加体」という地質名が出て来ますので、その概略を説明しました。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り致します。後藤和弘(藤山杜人)