老人になると毎日の新聞やテレビのニュースには関心が無くなります。同じような事件が起き、頭の良さそうな解説者がクドクド話をしています。その内容も異口同音で新鮮味がありません。そうして月日が流れて行きます。それよりも早咲きの梅の花を探し歩くほうが楽しいものです。
しかし大騒ぎしているニュースがあれば、何故大騒ぎしているか?その原因を考えてみるのが癖になっています。すると成程大騒ぎすべきだと納得するのです。
今朝は敦賀活断層報告書漏洩事件とオリンピック女子柔道選手への暴行事件が何故大騒ぎになるか?その原因を書いて見ます。この2つの事件は伝統的な日本文化に根差した いかにも日本的な事件なのです。
こういうふうに書くとこの先は読まない人もいると思います。そこで一休みするために下の美しい写真をご覧ください。出典は、http://www.jiji.com/jc/d4?d=d4_quake&p=gen300-jlp10345210 です。
上はパリから少し離れた田園地帯にあるフランスの原子力発電所です。白い煙は発電タービンを回転した後の高温蒸気を冷却するときや他の冷却水の再冷却の時に発生する大量の蒸気です。決して放射性セシウムは含んでいません。
さて下の写真はフランスの大手造船会社が発表した海底に作る予定の原子力発電装置の想像写真です。原子力潜水艦を何隻か並べて、海底に固定したようなものです。
フランスは電力の75%が原発なので、流石に原発には前向きです。
さてそれはそれとして、オリンピック女子柔道選手への暴行事件は何故大騒ぎになったのでしょうか?
事件はこうでした。オリンピック選手候補の15人の女子柔道選手が男性監督に練習中に叩いたり蹴ったりの暴行を受けたのです。そこで女子選手は監督を任命した日本柔道連盟へ文書で訴えたのです。ところが日本柔道連盟は醜聞を外部へ出さないために事件を矮小化し、監督へ口頭で戒告しただけでした。
女子選手は不満に思い、同じ訴えを日本柔道連盟の上部機関の日本オリンピック委員会へ直訴したのです。
この行為は男性監督だけでなく日本柔道連盟の体質を直訴した結果になります。組織対組織の大騒ぎになったのです。
その上、本オリンピック委員会の傘下には陸上、水泳、スケート、スキー、ヨットなどオリンピックの全ての分野の全日本的な団体があるのです。そのすべての選手団の強化合宿でも監督による選手への暴行の可能性が問題になるのです。今度の事件は柔道だけではないのです。
スポーツ技術の向上には体罰が必要だというのが日本文化です。欧米でもその考えがあったのに違いありません。それを克服した時代があったのでしょう。
選手の欠点を責めるよりは良い点を褒めてスポーツ技術を向上させるという欧米流の監督文化に改善すべき時代が日本にも来たと理解すべきです。
このニュースは園田監督の謝り方がいさぎよいからといって忘れてはいけない事件です。水に流さないで日本のスポーツ界は考えを変えるべき事件なのです。大騒ぎすべき事件です。
さて一方、原子力安全規制委員会の事務職員が敦賀の活性断層の報告書の漏洩事件に移ります。電力会社のために漏洩したのは原子力規制庁の審議官の名雪哲夫審議官です。審議官は事務次官になれなかった人が就任する官僚のトップの地位です。その上彼は原発を推進してきた旧科学技術庁の原子力局にいた人です。その彼は電力会社の為なら何でもするという思想の持ち主のようです。品の悪い言葉でいえば確信犯なのです。
原子力安全規制委員会の委員長は田中俊一さんという会津精神の持ち主です。会津っぽなのです。
最近発表された新しい安全規制の内容が厳しすぎるくらい厳正なのです。安全第一主義の立派な精神の持ち主です。電力会社の利潤など毛頭考えていません。
そんな骨っぽい委員長がまとめた厳正な敦賀活性断層の報告書なのです。それを原子力安全規制委員会の事務を担当する名雪哲夫さんが日本原子力原子力発電という電力会社へ公開前に漏洩していたのです。
この事件には殺人も傷害も起きない平穏な事件です。しかしこれは原子力安全規制委員会の厳正中立性を足元から瓦解させる大事件なのです。
これは氷山の一角です。官僚の多くは原発を早期再稼働すべしという思想の持ち主です。
原子力発電を推進してきた学者も官僚も会社の人も皆団結して「原子力村」を作っています。その村社会が日本の伝統的な農村と同じ文化なのです。集団で作業をし、それに違反する人は村八分です。
原子力安全規制委員会の委員長の田中俊一さんは、その経歴を調べると「原子力村」の主流の村人ではなかったのです。東北大学の原子力工学科卒ですが。放射線物理を専門にしていたので「原子力村」の主流には入れて貰えなかったのです。「原子力村」の主流派は原子力発電工学です。放射線工学は立場上その主流から白い眼で見られる性質を持った分野なのです。「原子力村」の主流派にはなれない傍流なのです。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘