おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「ニューシネマパラダイス」(古きよき映画シリーズその16)

2013-01-06 21:22:12 | 素晴らしき映画
 映画監督のサルヴァトーレは、母からアルフレードが死んだことを知らされ、シチリアのジャンカルド村での少年時代の思い出が甦ってくる。
 戦争から戻って来ない父。母マリア(アントネラ・アッティーリ)と妹の三人暮らしだったサルヴァトーレ(「トト」)は映画好きの少年だった。そのトトを魅了していたのは映画館パラダイス座の映写室。当時は司祭の検閲があり、映画のキス・シーンは御法度。トトと映写技師・アルフレードの間には不思議な絆が結ばれていき、トトはカットされたフィルムを宝物のように集める。



 ある日、フィルムに火がつき、パラダイス座は一瞬のうちに燃え尽きてしまう。トトの懸命の救出にもかかわらず、アルフレードは火傷が原因で失明する。やがてパラダイス座は再建され、アルフレードに代わってトトが映写技師になった。検閲もなく、フィルムも不燃性になっていた。
 青年に成長したトトは、銀行家の娘エレナに恋をし、幸せなひと夏を過ごすが、彼女の父親は2人の恋愛を認めようとせず、トトは兵役についた。除隊後村に戻ってきたトトの前に、エレナは姿を現わすことがなかった。アルフレードに勧められ、トトが故郷の町を離れる。
 それから30年の月日が経った。アルフレードの葬儀に出席するためにジャンカルド村に戻ってきたサルヴァトーレ(トト)は、取り壊されることになったパラダイス座の前に立つ。
 ローマに戻り、試写室でアルフレードの形見のフィルムを見つめるサルヴァトーレの瞳に映ったのは、検閲でカットされたキス・シーンのフィルムを繋げたものだった。

 印象的なのは、少年時代。
 映画を心から楽しみ、カットされてもらったフィルムと語り合う少年・トト。そして、映画技師アルフレードとの心温まる交流。

 映画の黄金時代を彩った名画とともに進む展開。広場を中心とした日々の暮らしの中で、存在感のあったパラダイス座。その古ぼけたイメージやそこに出入りする人達の、貧しくとも笑いのある日常描写も加わって、映画の黄金時代への郷愁あふれる場面が続く。

 エレナとの恋愛にメインを置いた青年時代編は、二人をそっと見守るアルフレードの存在が光っている。
 そして、壮年時代。30年ぶりに我が家に帰り、自分の部屋に飾られた様々な少年・青年時代の思い出の品を見つめるサルヴァトーレ。取り壊されるパラダイス座の中央に立って物思いにふける。長編作品ですが、たたみかけるように展開するストーリー。そして、アルフレードの形見のフィルムを上映するラストシーンは、それまでの長いストーリーの集大成として見事なエンディング。フィルムにこめられたアルフレードの映画に対する熱い思いとトトへの深い愛情・・・。
 全編に流れる音楽も、実に感動的でした。
 劇場公開から20年以上も経っていますが、DVDでその時の感動を再び味わいました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする