おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「7月4日に生まれて」(古きよき映画シリーズその17)

2013-01-09 21:07:56 | 素晴らしき映画
 ロン・コービックの同名の自伝的小説を映画化した作品で、ベトナム戦争をもとにした映画。「プラトーン」のオリバー・ストーンが監督し、トム・クルーズが熱演している。
《あらすじ》
 1946年7月4日、アメリカの独立記念日に生をうけたロン・コービック。高校時代、学校にやってきた海兵隊の特務曹長の言葉に感銘し、海兵隊に入隊。13週間の訓練を経て、熾烈な戦闘が続くベトナムに身を投じる。
 67年10月、軍曹になったロンは、部下を率いて偵察に出かけ、激しい銃撃戦の後、子供を含む農民を惨殺した事実にショックを受ける。この混乱に乗じたベトコンの攻撃にパニックになったロンは、部下のウィルソン伍長(マイクル・コンポターロ)を誤って射殺してしまう。
 68年1月、激しい攻防のさ中、ロン自身も銃弾に倒れ、脊髄を損傷、下半身不随の重傷を負ってしまう。ブロンクス海兵病院に運び込まれたロンは、人間らしい扱いをしてもらえない苛酷な現実に直面する。
 69年、故郷に戻って来たロンは家族に温かく迎えられるが、ヴェトナム戦争を批判し、反戦デモを繰り広げている世間の様相に大きなショックを受ける。ロンは幼なじみのドナを訪ねるが、彼女も大学での反戦運動に加わっていた。
 世間の冷たい風当たりに、ロンは次第に酒に溺れ、両親の前でも荒れ放題。逃避するように70年にメキシコに渡ったロンは、退廃しきった気分の中で酒と女で孤独を紛らわせる。
 しかし、メキシコの砂漠でほっぽり出されたとき、チャーリー(ウィレム・デフォー)からの厳しい言葉を浴びせられる。それをきっかけに、ロンはウィルソンの両親を訪ね罪を詫びる。
 そして、ニクソン再選を決定する「共和党大会」会場に向かって、車いすを操って仲間とともに反戦デモに立ち上がる。


 7月4日アメリカの独立記念日に生まれ、毎年、誕生日に行われるパレードで、第二次世界大戦などに従軍したアメリカの英雄達が街の人々から歓迎されるようすを見て育ち、従軍した父に大きな期待をかけられながら育った少年。大学に進学せずに高校卒業とともに海兵隊に志願、ベトナム戦争に。
 しかし、現実のベトナムでの戦争は、想像を絶する極限状況。ベトナムの農民、ついには同僚の命まで奪ってしまうことに。結局、自らは下半身不随に。人間としての尊厳を奪われるうような海軍病院での扱われ方。さらに車椅子で故郷に戻ってきても、自分のような障害者としてのベトナム帰還兵を英雄として崇める時代は終わっていました。
 今後一生、車椅子の生活を送ることになった自分の惨めな身体を実感し、幼い頃からの信念は揺らぐことに。親愛する家族との諍い、精神的な退廃、・・・。
 ベトナム反戦運動に参加することで、戦争によって障害者となった自分の存在が、世界に向かって何を言い、行動すべきかを見出していくことになります。
 大いなる夢、希望、使命感。その後の現実の中でわき起こる葛藤、挫折。そして、苦悩の果ての蘇生・・・。
 
 場面、場面で使われる当時のヒット曲の数々。遠く離れたアジアの地での不毛な戦争と多くの犠牲者・・・、その物語の進行とともに、「すてきな」アメリカ音楽(「マイ・ガール」「ムーン・リバー」「ビーナス」・・・)が、その時代のムードと主人公の心境を(時には裏腹の世界を)映し出しています。オリジナル曲も印象的です。
 


コメント
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