安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

清水栄一著「信州百名山」(カシヨ出版センター)

2017-04-13 20:16:30 | 読書

平安堂書店長野店に立ち寄ったら、郷土の本の棚に清水栄一著「信州百名山」という本があり、どんな山が掲載されているか興味が湧いたので、購入して読んでみました。

   

著者の清水栄一さんは、1918年長野市生まれ、柏与印刷(現カシヨ株式会社)に勤務し、73年より同社社長、83年より会長を務め、93年にお亡くなりになりました。「信州緑を守り育てる会」会長に就任するなど、自然保護にも力を注いだ方です。まえがきには、「日本百名山」を書いた深田久弥さんを自宅に招いて山の話を伺った時から、「信州百名山」を綴ろうと思ったと、その動機を書いています。

(感 想)

身近な里山から、南、北、中央アルプスの険しい山まで、よく登ったものだと驚嘆しました。全て自ら登っており、しかも、一度だけでなく、二度、三度と訪れているところが多く、山の様子が説得力をもって記されています。戦前、戦中の麓の村里や学校についても描かれていて、個人史の範囲を超えており、興味深く読みました。

著者は15歳の時に冠着山に登ったのが初めで、昭和10年代から昭和50年代まで登り続けていますが、旅館に泊まったり、テントで泊まったりと、道も定かでないところを長い日数をかけて山に行っていて、山(自然)とのかかわりが濃密です。

それだけに、自然保護への想いは強く、例えば岩菅山の章で、『岩菅山頂から眺めるあの日本の山でも類の少ない原始林のもつ美しさは、志賀高原側は今や殆ど失われ、魚野川流域も開発が進んで次第に失われつつある。どうかこれ以上樹を伐らないようにとは、私一人の願いなのだろうか』と記しています。

国師岳(国師ヶ岳)の章では、戸隠や、上信国境の山々を歩いてから、奥秩父、南アルプス、最後に北アルプスと順序を踏んで登ったのが山の愛好者として幸運だったとし、『初めから北アルプスに登って、山の華やかな面ばかり見ると、すべての山に、各々その美しさを見だすことができず、少し生活環境が忙しくなるとそれで登山を止めてしまう』と書いていて、共感しました。著者は、戸隠や飯綱といった身近な山を大事にしています。

(信州百名山の中から登ってみたい山)

体力や技術面も考慮し、これから登りたい山を拾ってみました。どこまで実現できるかは難しいところです。

頚城・戸隠山群:黒姫山、荒倉山、虫倉山
八ヶ岳山群:鉢伏山、天狗岳
飯山山脈:斑尾山、鍋倉山
上信越高原:鼻曲山、荒船山
奥秩父:御座山、甲武信ヶ岳、小川山
北アルプス:爺ヶ岳、常念岳、蝶ヶ岳、焼岳
木曽山脈:御嶽山
中央アルプス:経ヶ岳、恵那山、茶臼山
伊那山脈:鬼面山
南アルプス:甲駒ヶ岳、仙丈ヶ岳