安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

ジェブ・パットン TENTHISH, LIVE IN NEW YORK

2019-02-13 20:05:39 | ピアノ・トリオ

長野市内では、ジャズ・バーの「Musician」(ミュージシャン)にたまに寄りますが、マスターは新旧の録音を問わず新しく発売されたものを聴きたい方なので、行くときは新しく購入したCDやLPを持参することがあります。最近好評でお店でも購入に至ったのは、スコット・ハミルトン(ts)の新作や黒岩静枝(vo)さんがジョン・ヒックスの伴奏で歌ったものなどがあります。持参しようと思っているCDを聴きます。 

JEB PATTON (ジェブ・パットン)
TENTHISH, LIVE IN NEW YORK (celler live 2018年録音)

   

ハードバップ系列のジャズを録音しているレーベルに「Celler Live」があり、このところ注目すべきアルバムを出していて、たまに購入しています。前に記事にしたジョー・マグナレリ(tp)の「If You Could See Me Now」(その記事へのリンク)は傑作だと思ったのですが、ジェブ・パットン(p)のこのライブアルバムもなかなかです。

メンバーは、ジェブ・パットン(p)、デビッド・ウォン(b)、ロドニー・グリーン(ds)。リーダーのパットンは、1974年生まれで、ローランド・ハナに師事し、ジミー・ヒースなどと共演を行っています。何度か来日をしていますが、彼のホームページによるとこの5月にも来日して、ロバータ・ガンバリーニ(vo)とのデュオや中村健吾(b)とのデュオなどで演奏する予定です。

曲は、ジェブ・パットンのオリジナルが「Tenthish」と「Third Movement」、サド・ジョーンズ作「Zec」、デューク・エリントン作「Reflections in D」、「Sophisticated Lady」、ビリー・ストレイホーン作「Johnny Come Lately」、フィニアス・ニューボーン作「Overtime」、スタンダード曲の「This Can't be Love」、「I'll Never Stop Loving You」、「Royal Garden Blues~Kelly Blue」の11曲10トラックです。凝った選曲で、「Royal Garden Blues」と「Kelly Blue」(ウィントン・ケリー作)はメドレーです。

ジョブ・パットン(p)は、モダンジャズピアノの伝統を感じさせ、意気軒高で明るめの演奏を繰り広げています。高度なテクニックを身に付けているようで、例えば「Royal Garden Blues」では、ストライドピアノの技法を用いて軽々と弾いていて驚きました。ロドニー・ジョーンズ(ds)のブラシに乗ってよく弾み、ピアノのソロもメロディアスな「This Can't be Love」、ピアノの音色の美しさがよく出ているバラードの「Reflections In D」や「I'll Never Stop Loving You」、トリオの3人が一体となった「Johnny Come Lately」など、実演を聴きたくなる演奏が続きます。

    

デビッド・ウォン(b)とロドニー・ジョーンズ(ds)。

【ジェブ・パットン ホームページ】

jebpatton.com

スケジュールがしっかり記載されていて、活動の状況がよくわかる優れたホームページです。

【ある日のジャズ・バー「ミュージシャン」】

住所:長野県長野市大字鶴賀権堂町1440 SSK会館 2F
電話:026-234-2623
ホームページ:jazz-musician.net

細長いお店で、カウンターが主体です。以下スマホによる撮影で、ぼけています。

うしろの壁です。

お酒に弱いので、珈琲をいただいています。かかっているのは、ベニー・グリーン(tb)のブルーノート盤です。

スピーカーは、JBLの4312です。


レオシュ・スワロフスキー指揮ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団コンサート(2月10日 長野市芸術館)

2019-02-12 20:11:41 | 演奏会・ライブ

1月に行く予定だった2つのコンサートに所用で出かけることができず、ようやく今年(2019年)初めてのオーケストラのコンサートに行ってきました。レオシュ・スワロフスキー指揮ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団の日本ツァーにおける長野公演です。

   

(出 演)

指揮:レオシュ・スワロフスキー
チェロ:マシュー・バーリー
管弦楽:チェコ国立ブルノ・フィルハーモニー管弦楽団 

(曲 目)

スメタナ / 交響詩「わが祖国」より「モルダウ」
ドボルザーク / チェロ協奏曲 ロ短調 作品104

バッハ / 無伴奏チェロ組曲第1集より「サラバンド」(マシュー・バーリーのアンコール曲)

<休憩>

ドボルザーク / 交響曲第9番 ホ短調 作品95 「新世界より」

ドボルザーク / スラヴ舞曲第2集より第7番 (スラヴ舞曲第15番) (アンコール曲)

(感 想)

プログラムが有名曲で聴いたことのあるものばかりだったので、チケットをとるのを躊躇したのですが、結果的には出かけてよかった演奏会でした。最初のスメタナの「モルダウ」は、元々が大好きな曲なのですが、フルートによる序奏が清々しく、続くテーマの歌い出しから浪々として、次の2曲に期待を抱かせるものでした。

チェロ協奏曲を独奏したマシュ-・バーリーは、1965年生まれの英国の出身で、モスクワ音楽院で学びフランクフルト放送交響楽団やウィーン放送響などと共演をしています。奥様はヴィクトリア・ムローヴァ(vn)で、二人の共演で演奏した曲もあるようです。

バーリーのチェロですが、音色がすっきりとしていて美しく、伸びやかな明るめの演奏でした。第2楽章におけるチェロと管弦楽のやりとりは、双方ともによく歌っていて、よい流れでワクワクさせられました。多分、スワロフスキーの指揮がうまくつけていたのだろうと思いますが、至福の一時でした。アンコール曲もききやすい演奏でした。

交響曲第9番「新世界」では、スワロフスキーが暗譜で指揮し、オーケストラも慣れているだろうと思わせる演奏でした。細かいところではミスも見受けられましたが、第2楽章の「家路」の部分など、曲想どおりに郷愁が滲みでているようでした。派手なところがない堅実な演奏だと思って聴いていましたが、終楽章はガンガンと盛り上げて、結構面白い演奏でした。

ブルノ・フィルは来日回数も多く、スワロフスキーは、現在セントラル愛知交響楽団の音楽監督を務めているなど、日本と関係の深い音楽家による演奏会で、次回もあればよいなと思いました。ただ、曲目は変化をつけて、ヤナーチェクの曲やドボルザークでも交響曲第8番あたりを演奏してもらうと嬉しい。

   


エリック・クラプトン 12小節の人生 (長野市相生座)

2019-02-11 20:02:43 | 映画・DVD・テレビ

映画「エリック・クラプトン 12小節の人生」を見ました。僕は、エリック・クラプトンの格別なファンではありませんが、「いとしのレイラ」は聴いたことがあったし、熱烈なクラプトンファンの友人もいたので、興味を覚えて映画館に足を運びました。 

   

内容は、エリック・クラプトンの近年までの歩みを追ったもので、家庭におけるプライベートな映像やステージの映像と音楽を用いたドキュメンタリーです。幼少時から最近のものまで、よくこれだけの映像を集めたものだと感心させられ、そういった点ではかなりな労作だと思いました。

ヤードバーズ、クリーム、デレク&ザ・ドミノスなどと、ギターを弾いたり歌っているクラプトンが出てきて、彼の音楽的な軌跡を追うことができます。ただ、B.B.キングにクラプトンは影響を受けたようですが、そもそもどんな点に惹かれ影響を受けたのかなど、全般に深い掘り下げはないのが残念でした。

ドラックや飲酒、女性遍歴など、プライベートの関連がかなり出てきますが、そういったところから更生して立派になったというようなストーリーが見え隠れします。監督の意向かもしれませんが、プライベートに関する部分は、大きく扱い過ぎな感じがしました。音楽がもっと前面に出ていると思ったのですが。

今回のパンフレットの中の「エリック・クラプトン・クロニコル(年表)」がよく出来ていました。こういう時系列的な整理があると、映画の理解も進みます。

   

   

この年表は、パンフレットで6ページにわたり続いていて、よく出来ています。

   

貴重な映像はたくさんあったようです。

   

プレイベートな部分も多いです。

   

   

   


ベニー・ゴルソン TURNING POINT

2019-02-10 20:11:41 | テナー・サックス

JR東日本の新幹線車内誌「トランヴェール」2月号は、「最終列車で行こう! 北陸、早朝独り占め旅の勧め」が特集です。その特集もよいのですが、沢木耕太郎さんによる巻頭エッセイ【旅のつばくろ】は、「もうひとつの絶景」と題して軽井沢町の秋の「雲場池」を訪ねる経緯を書いていて、優れた読み物となっていました。ずっと続けてほしい連載です。ずっと演奏してきたミュージシャン。

BENNY GOLSON (ベニー・ゴルソン)
TURNING POINT (Mercury  1962年録音)

   

たまには振り返ることも必要かと思い、昨年(2018年)出かけた演奏会とライブの回数を数えたところ、クラシックの演奏会は17回、ジャズのライブは24回で計41回でした。ジャズのライブで、いろいろな意味で特に印象に残っているのは、いまや伝説のベニー・ゴルソン(ts)の公演でした。 そのライブを想い出して、本アルバムを聴いてみました。

メンバーは、ベニー・ゴルソン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)。豪華なメンバーの割には、あまり触れられることのないアルバムのように思いますが、ウィントン・ケリーのバッキングが素晴らしく、それだけでも聴く価値がありそうです。

曲は、ゴルソンのオリジナルが2曲で「Dear Kathy」、「Turning Point」、あとはスタンダードで「How Am I To Know」、「The Masquerade is Over」、「Three Little Words」、「Stella by Starlight」(星影のステラ)、「Alone Together」の6曲。ゴルソンのオリジナル2曲は、どちらも佳曲で、特にバラードの「Dear Kathy」は哀感があり、有名曲になっていないのが不思議なくらいです。

アップテンポでゴリゴリとしたソロをとるので、ベニー・ゴルソン(ts)のプレイはあまり好きではありませんでしたが、慣れもあり、近年そう気にならなくなり、リーダー・アルバムもたびたび聴くようになりました。このアルバムでは、ゴルソンに加えウィントン・ケリー(p)はじめサイドメンも乗っている「The Masquerade is Over」や「Three Little Words」が印象に残り、バラードの「Dear Kathy」や「Stella by Starlight」では情緒豊かで、かつ静謐な演奏をゴルソンが行っていて、昨年のライブ時における物静かで知的そうな姿を想い起こしました。

【JR東日本新幹線車内誌 トランヴェール2019年2月号】

   

表紙。永平寺を描いたもの。

   

沢木耕太郎さんが執筆している巻頭のエッセイ「旅のつばくろ」。新幹線に乗る楽しみの一つが、連載されているこのエッセイを読むことです。

   

「旅に出るなら金曜夜」とあって、東京駅から金曜日夜に出かける北陸地方への旅をお薦めしています。

   

金沢は早朝の兼六園。

   

富山は朝食。

   

福井は永平寺の朝のお勤め。

   

「江戸・東京グルメ物語」も連載が続いています。このページを読むのも楽しみです。今号は「アカシア」のロール・キャベツ・シチューがとりあげられています。


「渋谷 Swing」再訪 (ジャズ喫茶 東京都渋谷区神山町)

2019-02-09 20:05:14 | ジャズ喫茶

東京で昼食にする際に、誰かと一緒だと別のところに行きますが、一人だとジャズがかかっているお店になるべく入ります。先日の昼時は渋谷にいたので、Swingに行きました。メアリー・ジェーンが閉店して、渋谷で昼間から営業しているジャズ喫茶は、このSwingしかないかもしれません。

ランチのセットを注文し、カレーと珈琲をもらいました。ズート・シムズ(ts)の「Zoot Sims On Ducretet Thomson」がかかっていて、スピーカーからは妙なるズートのテナーが聴こえていました。スケジュールの関係で早目に出たのですが、僕にとっては渋谷のオアシスともいうべきお店です。

お店はヴィラ・メトロポリスというビルの4階です。写真の右側のビルです。

ビルの入口

奥にエレベーターがあります。

エレベーターホールを下りたところに看板があります。

扉を開けるとこの絵が迎えてくれます。

店内。

立派なカウンターがあります。

レコード。ジャズやヴォーカルの他にムードミュージックなどもあるようです。コーヒーはサイホンで淹れています。

レコードプレーヤーなどは奥にあります。

オーディオ・システムは次の通りです。(お店のホームページからお借りしました。) このシステムで、ズート・シムズやジョン・アードレ―の演奏を聴いていたら、往時のアメリカにタイムスリップしたような気分になりました。

 Speakers

Eltus TA-4181、Western Electric 555、

Eltus 596

 Pre-Amplifiers  Altec 1567 Eltus Custom
 Power Amplifiers  Altec 1569A Eltus Custom
 Turntable  RCA 70D
 Tonearm & Cartridges  Western Electric 5A + 9A Eltus Custom
 Gramophone  HMV 157

「黒いカレー」を注文。ルーが美味しかった。

珈琲。濃いめでたっぷりありました。

【渋谷 Swing】

住所:東京都渋谷区神山町16-4 ヴィラメトロポリス 4B
電話:03-5790-9544
ホームページ:shibuya-swing.com