なかにしあかね:今日もひとつ
小松耕輔:母
山田耕筰:この道
アレクサンドロワ:空を見上げて
トスティ:かわいい口元
レオンカヴァッロ:朝の歌
デンツァ:妖精の瞳
マシコタツロウ:ハナミズキ
グノー:この清らかな住まい
マスカーニ:母さん、この酒は強いね
プッチーニ:見たこともない素晴らしい美人
プッチーニ:星は光りぬ
プッチーニ:「誰も寝てはならぬ」
<アンコール>
ビクシオ:Mamma
カプア:'O sole mio
丸山明宏:ヨイトマケの歌
「美しきエレーヌ」(理解されぬエレーヌ(1))のパリス役での活躍が光っていた工藤和真さんによるソロ・コンサート。
声の心地よさと力強さを兼ね備えた理想的なテノール歌手で、今年で引退を表明している井上道義先生からは、「ラ・ボエーム」のロドルフォ役に指名されたらしい。
「エレーヌ」で私が感心したのはフランス語の発音の正確さだったが、今回のコンサートでは、フランス語の曲はグノーの1曲のみで、圧倒的にイタリア歌曲に偏ったセトリである。
それもそのはず、工藤さんは高校時代からイタリア歌曲が大好きだったそうである。
さて、本日のコンサートは、「母の日に捧ぐ」がテーマだが、工藤さんによれば、「母」をテーマにした歌曲というのは意外にも少ないらしい。
苦労して選んだ曲目の中に、日本語の「ハナミズキ」と、何と、アンコールのラスト「ヨイトマケの歌」が入っていたのはちょっと予想できなかった。
'O sole mio では工藤さんが客席に降りて来て、あちこち移動しながら歌うというサービスが出た。
そういえば、今月は、
・さいたま芸術劇場では「ハムレット」:客席内の通路を役者さんたちが何度も行き来するという演出で、吉田鋼太郎さんらが客席を行き来したり、客席で劇中劇を鑑賞したり。
というラッキーな月である。
なので、これを味わいたい人は、通路に面した席のチケットを買うとよいと思う。
さらに、このコンサートでは、歌っているオペラ歌手を間近で見られるという幸運にも恵まれた。
やはり、「客席への降臨」というのは、観客を喜ばせる良い演出なのである。