「22/3末の運用資産残高は229.6兆円となり、21/3末対比+9.0兆円。 外国証券等や預け金等の増加が主因。外国証券等のうち投資信託については、特に、不動産ファンド(デット)及び プライベートエクイティファンドの積み上げが進捗。預け金等は、貯金の増加等に伴う日銀当預残高の増加によるもの 。」(p13)
ゆうちょ銀行の運用資産約230兆円のうち何と約74兆円が外国証券等に充てられており、特に不動産ファンド(デット)及びプライベートエクイティファンドの伸びが著しい。
これを見ただけで、兄弟会社である日本郵政で起きた”事件”を思い出す。
「15年2月18日、日本郵政がトールの買収を発表。高橋社長はオーストラリアの現地へ飛び、トール社幹部と共に華々しい会見に臨んだ。買収金額は実に6200億円に上り、社運を懸けた一手であることは疑いようがなかった。
しかし、これが悲劇の始まりとなった。結論から言えば、この巨額買収は大失敗に終わった。当時を知る日本郵政関係者の証言からは、あまりにもずさんな「デューデリジェンス(資産評価)」「投資計画」の下で進められた買収であることが明らかになりつつある。」
私は、ゆうちょ銀行も、日本郵政と同様に、
”リスク資産、特に不動産ファンド(デット)及びプライベートエクイティファンドの積み増し”
を至上命題として「自己目的化」しているのではないかと懸念する。
現場の職員にはノルマが課され、かんぽの「自爆営業」のような事態が起こっているかもしれない。
グループとして見たときの企業風土は、(元金融庁長官が絶賛していた)S銀行と大きく違わない。
そのうち、「いつか見た光景」が再現されるのではないか?
もっとも、またあの時のように、「公的資金」が注入されるから大丈夫、という魂胆なのだろうか?
木庭先生によれば、むしろ「破綻後の手打ち」を正当化するために、経営陣を含む「自己犠牲」が奨励されているということなのかもしれない。
「一生懸命やりました。国債のような安全資産を買うと批判されるし、かと言って、運用しないと赤字になってしまうので、利益を出すための唯一の選択肢として、外国証券等に投資したのです。堪忍して下さい!」